【完結】【R18】沼に落ちたら恋人が出来ました。

mimimi456/都古

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第十一話

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結界を張ると言うことは“境界”を作ると言う事。
俺たち人間と
イナギ様の弟だという祟り神との境界。
もしくは、
マツリ様である俺と祟り神と、それ以外。
もしくは、神の住まう土地とそれ以外との境。

どの境を作るにも、結界が必要だと紺が言う。
だから俺たちはまずその結界を張る事にした。

その為に、東西南北から山頂を目指した。
だが、瘴気の中では碌に息も吸えない。
嫌な匂いがして、咳が止まらないのだ。
しかも近付けば近付くほどに、寒気が襲う。
肌がゾワついて、脳みそがぐわんと揺れる。

「鱗太郎っ、!」

俺の三半規管が軟弱なせいで、さっきからよろけてばかりだ。
その度に青海が支えてくれる。

こうして手を握り合っていれば、青海が勝手に力を流し込んでくれる。
この力のやり取りも随分と慣れた。
最初はキスしながらじゃないと出来なかったのに。
でもそのお陰で、村での青海の株が上がったみたいだ。

「大丈夫、もう少し行こう。」

最初はいかにもな筋肉ムキムキのマッチョさん達が、俺たちの護衛を申し出てくれた。
紺と俺と青海だけじゃ山は危険だから、と。

だが、それはただの建前だ。
噂のマツリ様と神の遣いのお狐様、それから巫女を殺した野蛮な息子・青海を笑いに来たのだろう。

結果、彼らには可哀想な事をした。

「待て、鱗太郎。少し楽にした方が良い。」

その時もこう言って俺たち二人は彼らの目の前で、熱いキスをかました。
青海曰く、力を吸う時の俺の顔はかなりいやらしいらしい。
その日までは嘘だ、と思っていたがどうやら本当だったみたいで。
マッチョさん達があっという間に顔を赤くして、前屈みになっているのを見て思わず笑ってしまった。

でも、これは必要事項なんだ。

俺は巫女の力がないとHPがどんどん減って。
終いには昏倒する。
胸が痛くなって、頭の血管が切れそうに痛むんだ。
その後、紺にすごく怒られた。

しかも結界を張るのが3日も伸びた。

無理をするなら謹慎させる、なんて言われて。
青海が仕事の合間に何度も顔を見せにきて、何処か痛くないか、具合は悪くないか、眩暈はしないかなんて繰り返し聞くもんだから、その時にやっと気付いたんだ。

「心配かけてごめん。」

迷惑かけた、じゃなくて
心配かけてごめん。

初めてそんな事を考えた。
俺は人の気持ちがあんま良く分かんないけど、多分青海は俺が思ってる以上に俺の事を心配したんだと思う。

俺も青海が見せ物みたいになって、マッチョ達にジロジロ見られると胸がムカムカした。
青海はマッチョより使える大事なひとだ。

…俺は、俺の大事な物が害されるのが好きじゃない。
だから青海も、俺が俺を害するのは好きじゃないと思うんだ。

だから俺が、ぶっ倒れるまでやったりするのは、青海が困るんだと思う。

「んふ…っぅ」

コクン、と甘い唾液を飲み込んで俺は体に力が入るのを感じる。

「平気か?」

「うん。良くなった。」

ありがとう、って囁いて俺はもう一度。
唇に触れるだけのキスを贈る。

これはお礼だ。
俺に俺を大事にするきっかけをくれた男への、
ささやかなお礼。

口に出すのは恥ずかしいだろ。

ーーー俺を大事にしてくれてありがとう、って?
言うわけないじゃん。
そう言うのはちゃんと布団で、言う。

多分、明日、とかにでも。

「大丈夫か。」

「へっ、?」

「ぼぅっとしてるが、まだするか?」

「い、いや大丈夫!元気満タンっ、!」

焦って変な言い方をする俺を、青海は不審そうに見るが、様子から大丈夫だと認識したらしい。

「今日中に二本目の杭を打ちたい。」

「分かった。行こう。」

「もう少しだ、頑張れ鱗太郎。」
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