【完結】【R18】沼に落ちたら恋人が出来ました。

mimimi456/都古

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第十八話

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着替える、と言った青海に手を引かれ明らかに、彼の私室に招かれた。
広い古民家みたいな和室の二間続きのひと部屋で、襖越しに衣擦れの音がする。

「テレビ、が有る。」

「月曜日の今頃は何も無いな。」

「チャンネルまで把握してる。」

「娯楽だからな。」

このオッサン、いや。
青海が一体何の番組を見るんだよ。
もしかして日曜日の昨日は、ご長寿アニメを見たりしたんだろうか。


「うわっ。」

「何だ。」

「青海がスーツ着てる。」

あ。肌着はちゃんと着る派なんだな。
しかも白。
けど、なぁ。あんたの肩とか胸の筋肉とかが見えて、やらしいんだけど。

「スウェットも着るぞ。」

「パンツは?ボクサー、トランクス?」

思わず涎を垂らしそうな勢いで聞くと、目の前まで歩いて来た青海に手を取られ、ベルトに押し当てられた。

「確かめてみれば良い。」

「ぃっ、!?」

「俺はお前の褌がまた見たい。」

「... ... ...」

「紐の方が脱がせやすくて良い。」

ゴムは扱いが難しい、とぼやくとまたしゃがみ込んで今度は俺の腰を抱いて座り直した。

「何が有ったんだよ。」

俺も首に腕を回して、全然隙間が無いくらいしがみついた。

俺はちゃんと祝詞を100回唱えたらしい。
途中、何度か山が揺れ、落石もしたが気付いた時には結界は解かれ、俺はそこに居なかったらしい。

代わりに残っていたのは、あの墓石だった。
青海は紺の言う通り、墓石に触れた時、二人の兄弟に会ったと言う。

「俺達兄弟が稲置様と松様を祀る事にした。」

「なんで。」

「俺は巫女で、弟は神の遣いを謀った罪を持っていた。」

「俺は失敗したのか?」

「いいや。お前は成功した。祟り神は確実に祓われていた。」

「けど俺は、祀るまでが仕事だった筈だ。」


確かにその筈だった。
だがそれは、沢山のイレギュラーにより新たな道が開かれた。
紺が寄越した採用通知書に、そう書いてあった筈だ。

「イレギュラーは3つ有った。」

「イレギュラー、」

「ひとつ目は俺と父を襲った猪だ。」

人語を介し、巫女だと告げた青海の目を封印し、父と母を亡くしたあの猪。

「あれが松様の遣いだった。その牙が鱗太郎と俺を繋いだ事も予想外の事だった。」

俺が落ちた沼は、青海の居た世界への入り口であって出口では無かった。
一方通行のみで、俺が祟り神を祓って祀り上げるまで双方の移動は出来ないと思われていた。

「だが、祟りが無くなった事で、この牙によって俺達が渡れるだけの細い道がもたらされた。これが二つ目だ。」

俺は元々、稲置様の遣いだから。
祓って祀れば自動的に、この神社に戻って来られる予定だった。


「三つ目は、弟の罪だ。」

「アイツ容赦無かったんだな。」

紺は言った。
神の遣いを謀った罪は重い、と。

「紺様は罰を与えられた。その間、弟は紺様の預かり物となった。」

青海は、俺と分け合った猪の牙で繋がっている。
けど、どうしても弟とこの場所を繋げる物が無かった。

そこで、紺が彼を自分の支配下に置いた。
彼は紺の物に、紺は稲置様の配下なので。
つまりは稲置様の守備範囲内となった訳だ。

難し過ぎるだろ。

「弟は、長い時間を今世で巫女として遣える事を言い付けになられたが。その結果、本物の巫女としての力が備わり、与えられた罰は半分の年月で済んだ。そうして、只の人間から巫女へと格が上がった所で紺様の妻に相応しいと、少し前だが稲置様の赦しを得た。」

待って。
アイツ人間と結婚したの!?

「お、俺より先に結婚したっ、」

「数年前の話だ。あいつも自分は神の遣いと結婚した、とテレビで零してからは一時、大変な騒ぎだった。参拝客も増えたが、あいつのファンも増えて。」

「お、おぅ、大変だったな。」

デカいため息を俺の首に吐いた。
息の熱さが、目の前で抱き締める男が本物の青海だと意識させる。

「それで、青海は俺を追って来た訳。」

「あぁ。細い糸を辿って、大変な役目を仰せつかっても。」

「俺に会いたかった?」

「そうだ。」

ぐぅ、と腹回りを締め付けられる。
回された腕に力を込められたんだ。

「く、るしいって、」

それでも腕は緩まなくて、タシタシ背を叩いて促した。

「お前にとっては、ほんの一瞬なのだろうと紺様が仰っていたが。俺達はあの日から100年を過ごした。」

「ひ、ゃくねん、うそだ、」

「嘘じゃ無い。」

「なんだよ、それ100年って笑えない冗談...」

「後悔はしていない。当然の取引だった。」

「何だよ、青海が何の罰を受けるって言うんだよ。」

俺は今度こそ、青海の背中のシャツを引っ張り。
しがみつく男を引き剥がし、その顔を正面から見る。

「なんで、笑ってんの、」

「お前に会えた。それが嬉しい。」

痛い程巻き付いていた腕は緩み、胸と背を抱かれ確かめるようなキスが落ちて来た。

吸うタイミングも、力加減も、息の熱さもあの日々と同じ。

「俺は罰を受けた訳じゃ無い。待っていればお前に会える事は決まっていた。只、弟をひとりにはさせられなかったから、稲置様と松様に取引をして頂いた。俺達二人の記憶をそのままにして下さるように。」

「そっか。」

「もっと吸っても良いか。」

「良いぜ。100年の埋め合わせをしよう青海。」

ワックスなんて洒落たモンを付けた青海の髪を、俺は盛大に見出して、キスをした。
シャツも肌着も捲り上げて、ベルトのバックルを掴むと、青海の息が乱れた。

「興奮してる?」

「あぁ。初めて洋服を好きになった、うっ、」

「はぁ...何その声。えっろ。」

ベルトをグッと引っ張っただけで、眉を寄せて喘ぐ青海の顔がめっちゃえろい。

そう言えば。
この身体があの日沼に落ちる日のままの身体なら、なんて良いタイミングだ。

「もしかして、ローションなんて有る?」

ほほう。
何だその冷や汗は。

「青海っ。」

「ゴムも有る。」

「まさか誰かに使ったのか。」

ブンブン首を振って否定した。

「紺様が日付を覚えていらしたのだ。俺はお前以外を抱く必要は無い。」

「じゃあゴムも要らなくね?」

「駄目だ。俺は現代医学と科学を尊敬している。」

要するに、俺のために用意したローションとゴムって事か。

「青海。」

「今、取ってくる」

「ゴムだけで良いよ?」

「何故、だ...っ。」

カチャカチャとベルトを外して、もう元気になってる青海のものをスリスリ、親指で撫でる。

「多分、ローション入ってる。この身体、今朝まで一人遊びしてた筈なんだよね。確かめてみる?」

「あぁ。また痛い目に合わせてたくはない。」

麻布の服を着ていた筈の男は、俺のTシャツを脱がしベルトの無いズボンを造作も無く足から抜き取り、靴下を剥いだ。

「もしかして、2回目の初めてかも、?」

「そうだな。今度は痛くしない。」

「でも、あんたのデカいからなぁ。」

下着越しでも分かる。
散々、味わって強請った奴だ。

「布団、敷くか。」

「嫌だ。俺、畳の匂い好き。それに、100年待ったんだろ。早く確かめたら?」

俺、知ってるんだよ。
あんたが俺の足、好きだって。
だからこうやって、足を揃えて抱えて、あんたに見せつれば。

「鱗太郎。玩具はどのサイズだったか覚えているか。」

「えっ、?」

「やはり少し待ってくれ。」

すたっ、と立ち上がると襖を開けて隣の部屋へ入っていく。
何やらガサゴソと音がして。
戻って来たその手には、ちゃんとローションを握って来てる。
ゴムもな。

どさっ、とまた寝転がる俺の足元に座り直すと。
膝にちゅぅ、と音を立てて吸い付いた。

「100年待ったんだ。あと2時間くらい待てる。」

「2時間前戯はムリだって、」

「無理じゃない。お前なら出来る。」

そう言って、本当に始まった愛撫は結局乱れに乱れて、3時間楽しんだ。
その後の2回目の初めても、大いに熱を上げ。

二人して汗だくで、息を荒げてキスをした。

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