ヘイそこのいっぺん死んだ彼女! 俺と一緒にドラゴン狩らない?

尾形モモ

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大物

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 ――森の中、ミシェルに連れられたレイチェルは息を潜める。

 ここはフェスタ―がミシェルとレイチェルを引き合わせた場であり、ミシェルにとっては使い慣れた狩場だった。



 実は、ミシェルは不安に思うことがあった。それは野生動物をろくに見たこともない、レイチェルを狩りに同行させることだ。

 いつも一人で狩りをしているミシェルにとって、素人のレイチェルを連れてくることなど本当ならありえない行為だが……フェスタ―の言う「ヘパイストスの加護」の力を試すためだ。愛用の弓を片手に、矢筒を背負ったミシェルはレイチェルと共に獲物が通りがかるのを待つ。

 ――一方、レイチェルはレイチェルで、そんなミシェルに失望されないか不安で仕方なかった。慣れない森歩きに、話に聞いたことしかない狩猟。何もかも今までのレイチェルには想像もしなかったような出来事だ。

 加えて自身の能力が本当に役立つか、迷信だと思っていた「加護」が本当に存在するのか……考え始めればきりがない。とにかくミシェルの弓を信じるしかないこの状況で、沈黙だけがその場を支配していく。



 ――そのうち、何か草木が揺れるような音がした。


 レイチェルが思わずミシェルの方を向けば。ミシェルは「しっ」と人差し指を唇に当てるジェスチャーをする。

 現れるのはウサギか、鳥だろうか?

 咄嗟にそう考えたレイチェルだったが――その予想を呆気なく覆す獣が、二人の前に姿を現す。



 ガサゴソと音を立てながら、登場したのは一頭の熊だった。レイチェルは悲鳴を上げそうになった口を、咄嗟に両手で塞ぐ。その横でミシェルは冷静に弓矢を構え、狙いを定めた。



「まさか、いきなりこんな大物が来るなんてな。――頼りにしてるよ、『ヘパイストスの加護』」



 その呟きと共に、ミシェルは矢を放った。
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