ヘイそこのいっぺん死んだ彼女! 俺と一緒にドラゴン狩らない?

尾形モモ

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嫉妬

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「へぇ、もう『加護』を発揮したのかい? ……これは予想以上だね」

 ミシェルの報告を聞いたフェスタ―王子――レイチェルの『ヘパイストスの加護』の話より先に、解体した熊の運搬の方を先に頼まれたので少し疲れたようだ――は美しい目を丸くしながらレイチェルをまじまじと見つめる。

「フェスタ―王子が連れてきたとはいえ正直、ここまでとは思わなかった。僕の『アルテミスの加護』だって毎日、弓矢の練習をしてそれなりに努力してるから発揮できるものだと思っていたけど……まさか本当に、そこにいるだけで発揮できる加護があるなんてな」

 正直、嫉妬しちゃうよ。

 冗談めかしてそう語るミシェルに、レイチェルは内心ドキリとする。



 嫉妬。やきもち。妬み、僻み。レイチェルがナナリーとの扱いの差に不満を述べた時、周囲の人間――特に両親はそう言ってレイチェルの話をまともに取り合わず、それどころか叱責することすらあったのだ。

「可哀想な妹を勝手にやっかむ、醜い姉」

 勝手にそう決めつけられたレイチェルは、常に両親への不満を燻ぶらせ生き辛さを感じていた。だが、それと同時に「自分は本当にナナリーがただ羨ましく、こうして不平不満を言うのもナナリーを僻んでいるからではないのか」という疑念にも答えを出せないでいた。

 わかっている。ナナリーの耳が聞こえないことも、それが原因で実の両親に捨てられたことも、紛れもない事実だ。その過程でレイチェルには想像もできないような苦労や、悲しい思いや辛い経験をしてきたことだろう。

 それでも、両親に注がれるはずの愛情が姉妹で明らかに差があること。レイチェルがやっても「そんなことできて当たり前」と言われるようなことが、ナナリーのやったことなら手放しで褒めちぎられること。その光景を目の前で繰り広げられては――どうしても「ナナリーばかりズルい、羨ましい」と感じてしまうことは否定できない。

 自分に与えられないものを、当然のように享受している人間を見て「なぜ私には同じようなものをもらえないのか」「なぜ私では駄目なのか」――そう考えることは罪なのだろうか。「浅ましい」と断定され、忌み嫌われるような行為なのだろうか。考えれば考えるほど、レイチェルは自分で自分の心がわからなくなっていった。



「……そん、な。ただミシェル様の、『アルテミスの加護』の力がすごかっただけです。私はただミシェルさんが矢を作ったり狩りをしたりする時に居合わせただけですから……私の加護は、そんなにすごいものではないですよ」



 俯きがちに、小声でそう語るレイチェルにミシェルとフェスタ―王子が同時に沈黙した。
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