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レアネー市救出作戦
レアネー市救出作戦②
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時々少年と言葉をかわしながら、キングクレイフィッシュの身をせっせと切り分ける。この身は、今朝彼が土の神殿の術者から受け取った浄化済のやつだ。
巨大ザリガニの身と、アボカドを使って何を作ろうとしているのかと言うと、何を隠そう、カリフォルニア・ロールだ。この料理を選んだのは、日本人の寿司職人がロサンゼルスの地で考案したこの料理を、異世界の地でマリが作る事に何らかの意味がありそうな気がしたからだったりする。
料理は、マリの世界で生まれた物だが、この世界の食材をメインに据える事で、ちゃんと敬意を示したい。
それに巻き寿司だからこその利点もある。マリの料理には浄化の力が宿るらしいが、それがどの程度の効き目なのかは不明だ。だから状況に応じて、食べさせる量を調節してみたいのだ。
__ポーン!
「マリさん、何か鳴った……」
「あ! 炊飯器使ってた!」
カリフォルニアロールを大量に作るため、ご飯を五升炊こうとしている。普段だったら、なるべく美味しいご飯を炊くため、土鍋を使っているのだが、今回は流石に多すぎるため、一升炊きの炊飯器を利用する事にした。
炊飯器の蓋を開けると、大量の湯気が顔を直撃し、思わず目を瞑る。だけど怯んではいられない!
炊き上がったご飯を炊飯釜から寿司桶にセッセと移し、カウンターに運ぶ。お酢の瓶を掴んだ時、マリの横顔に視線が刺さった。その方向を向くと、エイブラッドが興味深そうな表情でマリを観察していた。
「エイブラッドさん、暇してるなら手伝ってよ」
自分が汗を流して働いているというのに、涼しい顔で立っていられるのはあんまり良い気分じゃない。見るなと文句を言うんじゃ、自分の印象が悪くなるだけだし、巻き込むのがベストだろう。
手招きすると、エイブラッドは嫌そうに近付いて来た。
「手伝うといっても、さっきから貴女がやっている作業を一つも理解出来無いのだが」
「大丈夫大丈夫。白いご飯に、酢を330ミリリットルくらい入れて、しゃもじで混ぜてくれたらいいだけだから」
「は……? ご飯? お酢?」
耳慣れない単語に混乱しているのだろう。マリは少し反省した。彼の眼の前で、計量カップに酢を注ぐ。
「これがお酢。ほら、目盛の300を少し超えたくらいでしょ? このくらい計って、白い……ご飯っていうんだけど、この上に満遍なくふりかけて」
「なるほど……。ビジョンが出来てきた」
「それから、さらにこの木のシャモジっていう調理道具で、切る様に混ぜてね」
「偏らせてはダメという事なのだな。切る様にというのは、潰さぬ様にか!」
理解力は高いらしい。マリは「うむ」と頷く。酢飯は彼に任せてしまっても問題ないだろう。
マリはシンクで炊飯釜を洗い、水に浸しておいた米を入れ、再び炊飯器にかける。
(ふぅ……。思ったより大変だな。手伝ってくれる人達がいて良かったー)
「これでいいか?」
自信なさげに聞いてくるエイブラッドの元に行き、スプーンで桶の中の酢飯を掬い取る。パクリと食べるとちょうどいい感じだ。几帳面そうな彼にはピッタリな作業だったのかもしれない。
「ん。バッチリ! 次のご飯が炊けたら、また頼むよ!」
「まだあるのか!?」
「どんどん行くよ!」
酢飯や、具材は揃った。一度形にしてみようと、マリは巻き簾を広げる。その上に酢飯を敷き、海苔を被せる。端っこにキングクレイフィッシュの身とアボガド、マヨネーズを乗せ、クルクルと巻く。仕上げにギュッと抑える様にしてから、巻き簾を取り去ると、一本の白ご飯の棒が現れた。それをさらに包丁で一口大に切り分ける。
「それが完成形……?」
白髪の少年が、近くに寄り、マリの手元を覗き込んできた。
「味見してみたい?」
「減ってもいいの……?」
「手伝った人には特別に食べる権利をあげるんだ!」
「やった……」
切れ端部分を少年の口に放り込んでやる。いきなりの事に驚いたらしい彼は目をパチパチとさせる。慎重に噛み、ゴクリと飲み込んだ後、顔が綻んだ。
「……美味しい。初めて食べたかも」
「自分で処理したアボカドが入ってるから、余計に美味しいんじゃないかな」
「そうなのかな? そういうのは良く分からない」
相変わらずフワッとした回答だ。マリは少し可笑しくて吹き出す。
手持ち無沙汰なのか、再びノコノコと表れたエイブラッドにカリフォルニアロールを鑑定してもらうと、無事に浄化作用が認められた。マリはレアネー市に着くまでの間に出来るだけ量産しようと、気合いを入れ直したのだった。
巨大ザリガニの身と、アボカドを使って何を作ろうとしているのかと言うと、何を隠そう、カリフォルニア・ロールだ。この料理を選んだのは、日本人の寿司職人がロサンゼルスの地で考案したこの料理を、異世界の地でマリが作る事に何らかの意味がありそうな気がしたからだったりする。
料理は、マリの世界で生まれた物だが、この世界の食材をメインに据える事で、ちゃんと敬意を示したい。
それに巻き寿司だからこその利点もある。マリの料理には浄化の力が宿るらしいが、それがどの程度の効き目なのかは不明だ。だから状況に応じて、食べさせる量を調節してみたいのだ。
__ポーン!
「マリさん、何か鳴った……」
「あ! 炊飯器使ってた!」
カリフォルニアロールを大量に作るため、ご飯を五升炊こうとしている。普段だったら、なるべく美味しいご飯を炊くため、土鍋を使っているのだが、今回は流石に多すぎるため、一升炊きの炊飯器を利用する事にした。
炊飯器の蓋を開けると、大量の湯気が顔を直撃し、思わず目を瞑る。だけど怯んではいられない!
炊き上がったご飯を炊飯釜から寿司桶にセッセと移し、カウンターに運ぶ。お酢の瓶を掴んだ時、マリの横顔に視線が刺さった。その方向を向くと、エイブラッドが興味深そうな表情でマリを観察していた。
「エイブラッドさん、暇してるなら手伝ってよ」
自分が汗を流して働いているというのに、涼しい顔で立っていられるのはあんまり良い気分じゃない。見るなと文句を言うんじゃ、自分の印象が悪くなるだけだし、巻き込むのがベストだろう。
手招きすると、エイブラッドは嫌そうに近付いて来た。
「手伝うといっても、さっきから貴女がやっている作業を一つも理解出来無いのだが」
「大丈夫大丈夫。白いご飯に、酢を330ミリリットルくらい入れて、しゃもじで混ぜてくれたらいいだけだから」
「は……? ご飯? お酢?」
耳慣れない単語に混乱しているのだろう。マリは少し反省した。彼の眼の前で、計量カップに酢を注ぐ。
「これがお酢。ほら、目盛の300を少し超えたくらいでしょ? このくらい計って、白い……ご飯っていうんだけど、この上に満遍なくふりかけて」
「なるほど……。ビジョンが出来てきた」
「それから、さらにこの木のシャモジっていう調理道具で、切る様に混ぜてね」
「偏らせてはダメという事なのだな。切る様にというのは、潰さぬ様にか!」
理解力は高いらしい。マリは「うむ」と頷く。酢飯は彼に任せてしまっても問題ないだろう。
マリはシンクで炊飯釜を洗い、水に浸しておいた米を入れ、再び炊飯器にかける。
(ふぅ……。思ったより大変だな。手伝ってくれる人達がいて良かったー)
「これでいいか?」
自信なさげに聞いてくるエイブラッドの元に行き、スプーンで桶の中の酢飯を掬い取る。パクリと食べるとちょうどいい感じだ。几帳面そうな彼にはピッタリな作業だったのかもしれない。
「ん。バッチリ! 次のご飯が炊けたら、また頼むよ!」
「まだあるのか!?」
「どんどん行くよ!」
酢飯や、具材は揃った。一度形にしてみようと、マリは巻き簾を広げる。その上に酢飯を敷き、海苔を被せる。端っこにキングクレイフィッシュの身とアボガド、マヨネーズを乗せ、クルクルと巻く。仕上げにギュッと抑える様にしてから、巻き簾を取り去ると、一本の白ご飯の棒が現れた。それをさらに包丁で一口大に切り分ける。
「それが完成形……?」
白髪の少年が、近くに寄り、マリの手元を覗き込んできた。
「味見してみたい?」
「減ってもいいの……?」
「手伝った人には特別に食べる権利をあげるんだ!」
「やった……」
切れ端部分を少年の口に放り込んでやる。いきなりの事に驚いたらしい彼は目をパチパチとさせる。慎重に噛み、ゴクリと飲み込んだ後、顔が綻んだ。
「……美味しい。初めて食べたかも」
「自分で処理したアボカドが入ってるから、余計に美味しいんじゃないかな」
「そうなのかな? そういうのは良く分からない」
相変わらずフワッとした回答だ。マリは少し可笑しくて吹き出す。
手持ち無沙汰なのか、再びノコノコと表れたエイブラッドにカリフォルニアロールを鑑定してもらうと、無事に浄化作用が認められた。マリはレアネー市に着くまでの間に出来るだけ量産しようと、気合いを入れ直したのだった。
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