米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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嵐の傷跡

嵐の傷跡③

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 魔人を倒してから三日が経ち、街は予想以上の早さでその機能を復活させつつある。
 そのスピードの理由は、街の財産である住人達がドンドン健常になっているからに他ならない。

 それもその筈、食べたら即浄化出来るマリの料理が効果的すぎたからだ。
 一日二百人という驚異的なペースで浄化を進めるので、すっかり街の有名人になってしまった。

 マリがセバスちゃんと共に市場に買い物に訪れると、道行く婦人に祈りのポーズをとられる。

「うわ、あの人祈ってますよ。マリお嬢様は、この街の聖人として見做される様になったんですねぇ」

「異世界から来ただけの、普通の人間だよ!」

「やってる事が普通より優れてるから、有り難がる者が出てくるんですよ。自信持ちましょう!」

「普通より優れてる……かぁ。このスキル、意識して使っているわけじゃないから、ピンと来ないんだよな」

 土の神殿のエイブラッドによると、マリの料理に浄化効果が付与されるのは、錬金術スキルが発動して、食材の成分が魔改造さているかららしいが、勿論狙ってやっているわけではない。ON/OFFの制御が出来るなら、多少は胸を張れるのに、この状態だと、若干他人事めいている。

 隣を歩くセバスちゃんは、言葉を濁すマリに、首を傾げた。

「結果が全てだと思いますけどね。というか、マリお嬢様は魔力量がかなり多いですね。私は、捕まっていた時、かなりハンバーガーを出しましたが、連続して二時間がせいぜいでしたのに、マリお嬢様は一日中スキルを使い続けてますよね? 超人感あります」

「え、やめてくれる? 私はただ親が金持ちで、可愛くて、料理が上手いだけの女子高生なんだからさ」

「ガチャで言う、SSRって感じですけど!」

「この世界のシステムにガチャとか無い!」

「あ、そうでしたっけ。まぁいいじゃないですか。そうそう、システムで思い出しましたが、レベル確認しました?」

「忙しすぎて全然見てない」

「私達二人共、レベル7からレベル15までジャンプアップしてます!!」

「ガーゴイルいっぱい倒したからかな。でもさ、レベル15って大した事ないよね? 雑魚? 試験体066なんてレベル66だったし」

「試験体殿は、レベル68になってましたよ。私達よりも、上がり幅が少ないって事は、レベルが上がるにつれ、レベルアップに必要な経験値量が増えてるんでしょうな」

「ってことは、私達、アイツのレベルにガンガン近付けるっ」

「追い抜いてやりましょう!」

「おう!」

 試験体066とはちょっとしたトラブルを起こしてしまったので、顔を合わせ辛く、世話はセバスちゃんに頼んでいる。
 聞く話によると、傷はだいぶ良くなっているようだ。毎日訪れる公爵が、食事の礼として治療して帰ってくれるし、試験体066自身が回復魔法を使って治しているからだろう。
 昨日からはマリの作った料理も食べているそうだ。

(食事をとれるようになってるって事は、結構順調に治ってるんだろうな。私の料理を食べてもらえて、こんなにホッとするとはね)

 彼に殺されかけたので腹が立ったのだが、忙しくも充実した日々のお陰で、その感情は薄らいできた。また二人で話して、危険な行為に及ばない様に働きかけたいと考えている。

「おはよう、お二人さん!」

 肉屋の前で、声をかけられ、ハッとする。
 すっかり顔馴染みになった、店主がニカリと笑っている。
 レアネー市に始めて来た日に、豪快な調理でオーク肉を食べさせてくれた彼は、魔人が現れた後もずっとここで営業していたらしい。当然危険があったと思われるが、自分の力で自衛していたのだろう。彼は相当な手練れなんじゃないかとセバスちゃんと二人で予想して楽しんでいる。

「今日は何にする?」

「おはよ! 今日はソーセージを90本ちょうだい」

「お? えらく量が減ったな。足りるか?」

「余裕! 今買っていく分は、私達と土の神殿の人達の食事用。浄化分は、昨日の夜作っておいたので足りるはずだから」

 昨日徹夜で作った浄化用の料理は、先程キャンプカーまで来てくれた顔見知りのレアネー市民に手渡した。
 それが、行き渡れば、レアネーの人達は全員元どおりになる。

 最後の一人が浄化されるのを、この目で見届けたい気持ちが少しあったものの、また大袈裟に感謝されるのを予想出来たため、付いて行かなかった。

「頑張ったな、嬢ちゃん! 餞別にコカトリス一頭分の肉を持ってきな!」

「やった!」

 店主が巨大な肉の塊を氷漬けにしていく様子を眺めていると、頭の上に何かが乗った。

「私の頭に何か居る!」

「この鳥、確か公爵の使い魔だった気が……」

「公爵? どうしたんだろ?」

 セバスちゃんがマリの頭の上の使い魔をつつこうとするのを、避けると、ソレは可愛い声で話し出した。

『マリちゃ、需要なコト、伝えるー、公爵の家まで来テ!』

 使い魔はそれだけ言い、飛び去った。
 公爵とは毎日会っているわけだが、直ぐに伝えたい事とは一体なんだろうか? 嫌な予感がし、マリはセバスちゃんと目を合わせて、肩を竦めた。
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