米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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火の神殿へ

火の神殿へ⑨

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「ドワーフ達は、イヴンナ山にアースドランゴンが居た方がいいの?」

 アースドラゴンとの関係性について気になり、ドワーフの族長に尋ねてみると、彼は腕を組んで思案顔になった。

「ドラゴとは、持ちつ持たれつの関係だからな。でも今アースドラゴンによるイヴンナ山での牽制がうまくいってない。何があったんだ……」

「瘴気に侵されたとか?」

 あり得そうな可能性だ。だが、ドワーフの族長はそうは思わなかったようだ。

「それはない!! ドラゴン族は瘴気への耐性が結構高いんだぞ! 亜人並か、個体によっちゃあ、それ以上のはずだ!」

「でも今は、風の神が別の世界に行っちゃったから瘴気の濃度が高まっているんだよ。だから――」

「な、なんだってー!? モイス殿、本当なのか!?」

「そうやで。イヴンナ山のモンスター共が鉱山に下りて来よるのは、瘴気の濃度のせいやろし、アースドラゴンもおかしくなってる可能性は高いんちゃう?」

「まじかぃ……。っていうか! その状況なら俺達もヤバいんじゃ!? どうしたらいい!?」

 ブルブルと震え始めた族長の背中を、彼の母親がぶっ叩いた。

「我等には火の神様が付いているだろう! 弱音を吐くでない! 今はモンスター共からどうやって里を守るかを考える時ぞ!」


「ソソソウダナ! その通りだ!」

 族長はサボテンジュースを一気飲みし、荒々しく立ち上がる。
 動きがいちいちコミカルなので、人形劇を見ている気分だ。

「アンタ達の腕を見込んで頼みがある! イヴンナ山に登って、アースドラゴンの様子を見て来てくれ!」

 なかなかいい流れかもしれない。
 マリは交渉を持ち掛けることにした。

「別にいいよ。ただし、一つお願いを聞いてくれたらね」

「グゥ……。なんだよ!?」

「ドワーフの加工技術で、オリハルコン製の剣を一振り打って」

「剣!? グググ……。っていうか、アンタ達が必要としているアダマンタイトはアースドラゴンの身体にくっついているんだぞ!! それを取りに行かなきゃならないんだから、ついでに様子を探ってみてくれたっていいだろう!?」

「セーブス!!」

 プタマの怒声で空気がビリビリ震えた。

「彼女の言う通りにしな!! 我等に力がないから、この方々に縋らねばならぬのが分からぬのか!? オリハルコンの剣なら魔王との戦いにも役立つかもしれないんだ! 最高の剣を用意するのは我等の義務だろう! だいたいお前は昔から――」

 話が何故かワルガキだった頃の族長のダメ出しになったが、マリは彼女の力強い援護射撃に感謝した。

(いいね、いいね! プタマさん頑張れ!)

 心の中で彼女に声援をおくる事5分程で、ついに族長が折れた。

「チッ……。分かったよ! しょうがねぇな。加工の為に最低3日間は貰うからな!」

「やった!! 二人とも有難う!」

 望む物が手に入りそうだと、マリは喜んだ。
 しかし……。

「……もし、アースドラゴンが瘴気に侵されていたら、倒してもいい?」

 重要な質問を投げかけてくれたのはグレンだ。
 たしかにこの辺をハッキリさせておかないと、いざという時に判断に迷うだろう。

 グレンの質問に族長は本気で困ったようだ。黙りこくったまま、円卓の傍を歩き回る。

 ドワーフとアースドラゴンの関係はどうやら複雑そうなので、下手に口出し出来ない。マリは黙って彼の回答を待つことにした。

「――――出来れば、殺さないでやってほしい!! だが、アンタ達がやばい状況に陥ったら……、自分達の命を優先した行動をとれよ!!」

 族長は早口で言い切り、家の奥へと駆けて行った。目が赤かったかもしれない。

「アヤツは子供の頃、一度アースドラゴンに命を助けられたのです。だから複雑な心境なんでしょう」

 溜息交じりにそう言ったプタマは、「少し待っててほしい」と、族長とは別の通路へとユックリと歩いて行き、たっぷりと時間をかけて戻って来た。その手には、キラキラと輝く丸っこい物が握られている。

「マリ・ストロベリーフィールド様。これを貴女に」

 差し出されたのは、黄金色の石だ。

「これは?」

「金です。1000年前にこの里を訪れた選定者様は、錬金術の力で水銀を金に変えて見せた。それがコレであると、言い伝えられています」

「水銀を金に……? そんな事が可能なんだ?」

 受け取った鉱石はずっしりと重い。これが元々水銀だと言うなら、その名残があるかもしれないと回転させてみるが、全く粗がない。完璧な純金のようだ。

「なにぶん、大昔の出来事なので、真偽は不明です。だが、それを貴女に渡さねばならぬと、何故か思えてならない。受け取ってもらわねば、私の気が晴れないのです」

「そうなんだ……。これだけの重量なら、高値が付きそうなのに、なんか悪いね」

 何故これを渡してくれるのかピンとこないが、プタマの表情は頑なで、返すのは不可能に思える。

(貰って行くかぁ)

 マリはせめてものお礼にと、昨晩作ったマロングラッセを彼女に渡した。
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