God's Will!

manta_ei

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神天地編

第10神話   決闘②

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(一瞬だけ脳の一部……恐らく前頭葉から予知は見える筈……)
 
 時間を操るような能力はある程度勉強していた為、原理は理解している。
 そして覚えた通りに、前頭葉に裂け目を自分の脳内と繋ぐ。
 その瞬間に怪物の叫び声が脳内で響く。がんがんともの凄い勢いで音が巡る。

「…ッ!!」

 思わずふらつくが、確かめたいことは確かめれた。

(間違いない!こいつの脳内には何も投影されていない!予知だったら脳内に未来の事象が投影される筈だ。)」

 これで予知のような時間干渉に関わるような物では無いことが分かった。そこまでは良いのだが、こいつの先読みの正確性の正体が未だに分からない。何だ?時間干渉以外で先を読めるち……。

「……っ!?」
 
 うるさく鳴り響く脳内の中に、何かの信号を突如として神経がキャッチした。
 そしてすぐに右方向から違和感を感じる。その直後に空間が崩れ始めた。裂け目だ。

 ぱりぃ!

「グラァァアア!!」

 その直後に空間から不意打ちを狙ってか、俺の真横から爪が飛んでくる。違和感を感じて俺は咄嗟に屈んで避ける。

(………まさか?)

 俺はとある推測を立てて、前頭葉を繋いだままにしておく。するとまたもや違和感を感じる。次は背後から…とみせかけて……

 パリパリ

 すると背後から裂け目の音が聞こえるが、これはフェイクだ。ここから飛び出てくるんじゃなくて………

(上!)

 マガミが俺の頭上から出てきて両爪で攻撃をしようとするが、違和感の力で攻撃が来ることが分かる。そして俺は真横に軽々しく避ける。

「……なるほど。お前のその力の正体は理解した。良いだな。」

 そう独り言を言っている間にまた前方から違和感を感じる。いや、正面だけじゃない。背後、右斜め、左斜め後ろ……。

 パリパリパリ!
 
 そして、違和感を感じた全ての方向から光弾が0距離で飛んでくる。

「よっと。」
 
 俺はその光弾達を別空間に全て飛ばす。
 そして最後は……

(右斜め後ろにお前!!)

 裂け目から出てくるタイミングを見計らい、俺は武器を構える。

(今!!)

 目にも止まらぬ速さでマガミがこちらに特攻して来るのを利用して、カウンターで斬撃を喰らわせようとする。

「ぐあぁッ!」

 今のこいつには俺の今の攻撃が生命の危機に瀕していると感じたのか、焦った様子でギリギリで躱した。  
 こいつは相当防御本能が覚醒していやがる。だが
 
(動揺したな?)

 なんとかマガミの動揺を誘えた。動揺してたらまともに勘を働かすことは難しい。隙が少しは生まれる筈。
 そして俺はマガミの力を借りて、違和感を集中して探る。だが暫く経っても違和感を感じることが出来なかった。

(………来ないな)

 急な静寂が訪れる。戦場だったこの広大な土地にまた平和が訪れた。そよ風が吹き、木々がざわめく。先程までの戦闘が信じられない。まぁこっちはお前を倒す作戦を考える時間を与えてくれるのは嬉しい…

「と油断してるとこを……」

「ガァっ!」

 次の瞬間に自分の足元に裂け目が展開され、そこからマガミが特攻してくるが少し跳んでギリギリで避けた。
 そういう行動をしてくれると次に起きる行動も予測しやすくて良い。

(パターンとしては裂け目を使って、俺をあいつ自身の前に転移させるぐらいかここから光弾を出すぐらいか。)
 
 ギュオン!ギュオン!ギュオン!

 案の定、後者の仮説が当たった。大きめの光弾が3発出てくる。
 
(…何処か遠くへ裂け目を使って転移させるか。)
 
 そうして光弾を別空間へ移動させようとするが、3発とも意思を持つように裂け目を避けながら向かって来る。

「……真正面から受け止めろという意思表示か!受けて立つ…!」

 そうして俺は飛んでくる大きな光弾を全て切り裂く。だが、切り裂いたと同時に光弾は分裂した。そしてまた俺を狙う。
 一旦瞬間移動をして光弾から距離を離す移動すると共に此方に向かって来る。

「よし、どんと来い!」

 パリ……

 構えた時に、突如空間の割れる音がした。
 そして音の方を確認すると、奴が姿を消した。
 上手く気配を隠しているのか、中々あいつの存在を感じ取れない。ここで俺は予測を立てる。
 
(俺を大量の光弾とお前で挟み撃ちか?それとも裂け目を使って0距離まで分裂した光弾を転移させて囲うか?俺に勘で探られないように自分の脳感覚が繋がっている脳の一部分を別空間に移動させながら、空間ごと俺を斬るか?もしくは……)
 
パリィ!パリィ!パリィ!

 全部か

「グァアアアアアアアアア!!」
 
  裂け目の割れる音と共に、俺の前方から大量の公弾と後方からマガミが向かってくる。
 避けようとしようにも、俺の周りから裂け目を通じて光弾が囲うことによって牢屋の様になり、避けるには瞬間移動しかない。 
 だがお得意の勘で俺が瞬間移動しても、どこに出てくるか感じ取って先読みして回り込むだろう。
 じゃあ、そろそろ潮時か。
 
「お前の暴走した能力値は把握した。中々面白かったぞ。」

「グァァァァ!!」

「…さて、あいつらも待っていることだし、締めくくるか。どういう技名が良いか……よし狂犬とかけて……」

 俺は剣を軽々と回しながら呑気に技名を考える。そして、マガミにもう一度

「グゥアアアァァァアアアアアア!!!」 

 マガミと光弾が約3メートル付近まで近づいていた。
 並大抵の奴なら恐怖で動くことすらできなくなっている頃だろう。だがそんな中でもこの人間の皮を被った化け物は技名の思考の整理をし、まとまったのかキメラに向けて真っ直ぐな視線を向ける。

「さてと………マガミ!!」

 この綺麗で爽快な三原色が揃った空間で俺はマガミの名を叫ぶ。マガミはそれでも理性を取り戻さず、容赦なく近づき、ついに切り刻もうとする寸前だった。
 それでもキメラは動揺の一つすら見せない。

きょう………

 全速力でマガミと光弾が同時に飛んでくる。だがそれでもこの化け物は怖気付かない。
 大地を踏みしめ、腰を深く落として構える。

「グァァァァァァァッッ!!!」

 …けん!」

 この綺麗な三原色のある空間は一人の化け物の回転斬りによって紫色と言う概念が生まれた。その斬撃は美しく、また強大な破壊力により空間に亀裂が入り、段々とひび割れていく。
 ゆっくりとひび割れていく空間を何故か一匹の狼が見惚れていた。
 自分が斬られたことに気付かず。
 その狼は暫くの間意識を保っていたが、数秒経つとピクリとも動かなくなった。
 立ったまま意識を失い、倒れたのだ。
 化け物自身の彼は化け物に化かされ、敗北を決した。

 
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