God's Will!

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神天地編

第11神話(前書き) 背負う者と背追う者

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「……ふぅ。さてと…マガミ、大丈夫か?」



 広い草原の中、一人の神獣マガミは元の人間態の姿へと戻り気を失っている。
 致命傷になるような所は狙っていないから無事だとは思うが……



「……ダメそうだな。はぁー……」



 溜め息を吐きながらマガミの後ろに周って脇下を持ち、そのまま上半身を起き上がらせた状態をキープさせる。

 そして素早くマガミの前に周り込んでしゃがみ、脇下に腕を通す。



「よいしょっ…」



 そのまま、マガミの体をおんぶするように持ち上げる。



「さてと……こいつを一旦部屋に戻して……」



「う……ん…」



 裂け目を展開して戻ろうとしようとした瞬間にマガミが微かにだが反応を示した。



「…起きたか。」



「……ラルバ。」



 俺の名前を呼ぶ小さな声が耳元で囁く。



「…ごめん。」



 マガミの短調とした、言い訳もしない謝罪の言葉を聞くと懐かしのの顔が彷彿とするが、すぐに頭から切り離して今やるべきことに専念する。



「…ま、お前の部屋へ行こうか。回復させよう。」



 そう言うと空間の裂け目を開き、マガミの自室へと移動する。



ーーーー



「ふぅ……」



 一瞬でマガミの部屋に着くとマガミのマイベットに寝かせ、俺は空間の裂け目に向けて手を突っ込み、青色の回復ポーションを取り出す。



「ま、暫くは安静にしとけ。ほらヒール星の回復薬。後数分もすれば傷も疲労も完全に完治するはずだ。」



 ポーションの簡単な説明をしながらマガミに手渡す。



「あ、ありがとう。」

 

 マガミはもらうとともに勢いよく口に流し込む。
 すると一瞬で傷口が塞がり、顔色も健康的な血色の良い顔色へとなる。

「気分は良くなったか?」

「う、うん大丈夫。」

 何やらしどろもどろに応答する。自分のした過去の行為にそこまで気にするか。

「…マガミ、大丈夫だ。感情をコントロールが難しくなったのは決してお前の所為じゃない。あの人間の殺意が原因だ。」

 励ます言葉を掛けてやる。ありがちな方法だが、他人の感情を理解するのが苦手な自分にとってこれが最大限に寄り添える方法だった。

「そ、そうだね……うん。…あぁ…クソぉ……情けない……」

 だが俺の励ましも虚しく、悔しそうな声を出しながら両手で目を覆う。

「……す、すまん。いらない励ましだった。」

 未だにこういう時になんと声を掛けてあげるべきなのか分からない。
 そんなマガミは暫くすると子を覆った手を剥がす。
 心をある程度落ち着かせるためか、少し間を取って話し始める。



「いや、良いよ……。気遣ってくれてありがとう。」

 マガミの感傷的な性格は最近になって更に顕著に現れるようになった。昔のマガミならこんなことは無かっただろう。それほどの与えたショックはでかい。

 俺もその影響もあってか、昔より焦りの気持ちが大きくなることが多くなった。あいつを絶対に救えるのか。本当にこの方法で良いのか。
 そんなことを考え続けて今回だってあんなに余裕をかましたのに、結局危険に晒してしまった。
 本当に俺はこのままで大丈夫なんだろうか……


 
「…あぁぁ!ダメだダメだ!また考え込んじまう!」

不純な考えを排除するために、大きな声を出して紛らわそうとする。
落ち込んでいたマガミは奇行をした俺に、反応を示さない訳がなかった。


「ど、どうしたのさ?」



 急な奇行にマガミは驚いたようで、こちらを首だけ動かして見据える。



「一旦瞑想だ。心を落ち着かせる!」



 そう言葉を発して自分に言い聞かせる。
 そして目を閉じ、呼吸に意識を集中させる。



「ちょ……ラルバったら……」



 マガミが何か言った気がするが気にしない。そのまま俺は目を閉じる。
 ここは口出しなどせず、素直に見守ってて欲しいものだ…


○○○○





「……っ!?」



 俺は目をかっぴらいた。
 瞼が完全に閉じ切った瞬間に、俺は一瞬だけ夢?のようなものを見た。やけに鮮明な映像が一瞬で流れたのだ。
 原因はマガミの強力な第六感の影響によるもの?それがデジャヴュとして今の一瞬にして現れた?
 考えれば考える程謎が深まる。



「……ラルバ?」



 マガミが何か言った気がしたが、この時は一瞬だけ見た映像が衝撃的な内容すぎてそんなことにかまっている余裕が無かった。

 あれは……



「ねぇ、ラルバ。」



 一体……



「…ラルバ?」



「…!」



 ここで俺はようやく現実に戻された。



「………顔色悪いよ?大丈夫?」



「い、いや…なんでもない。」



「全く……一度やり始めたらきりないんだから。」



 そう言ってマガミは俺に向けて話してくれる。

 俺は何気ないこの時間がいつもより安堵できる最高の時間だと感じたのだった。

 
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