God's Will!

manta_ei

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神天地編

第19神話   HOW?②

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「ま、マケ様!?あ、あなたっていう人は……!?」

「いっ……!!!! 」

 創造神と呼ばれている女の推測を立てている最中に、私の頭をガッチリホールドしていた女も創造神と言われていた女の暴挙に驚いたようで、私の頭を掴む力が少しだけ強くなり思わず私は声を洩らしてしまった。
 
(な、なによこいつ!?あれかしら?オランウータンとかゴリラとかのそこら辺の系統の神獣?あの創造神とか言われている女、元獣だったような奴を人間にして楽しむ趣味でもあるのかしら!?)
 
 そう心の中で陰口を言うが、そんな自分は陰口を言う暇があるほどまだ事の重大さに気づけていない馬と鹿キメラの神獣に変わっていたことへの自覚はこの時にはこれっぽっちも無かった。
 
(ほんとなんなの……なんて言ってたっけ……ハウワ…そうだ、ハウワ。)

 確かあの女が創造神と呼んでいた女はハウワと呼んでいたはず。
 そのハウワは創造神と呼ばれている女に対して敬語を欠かさずに使ったり、ここまでして自分にも責任を被せて謝ろうとするのは相当にハウワとやらはこの女を相当尊敬しているようだ。
 こんな凶暴そうな女さえもここまで従順にさせるのは、きっとこの創造神と呼ばれている女が相当な人格者だからだろう。これを見て私は確信した。

(やっぱり……イカれてる。)

 この創造神…さっき戦った時にも思ったがやっぱり優しい。そんな彼女は確かにハウワのように着いていきたいと思えるような者が存在するのは、まぁ当たり前だろう。
 だがこの女の場合その優しさというものが行き過ぎている。
 だから私みたいな敵対意識を持つ相手でもなるべく傷つけることもなく、なんなら安全な場所に置いてくれる。
 この時点だけだったらまだ百歩譲って人間嫌いの私からしても尊敬に値するものだった。
 だが本当のことを捻じ曲げてまで私を庇い、自分にとにかくヘイトを集めて私に攻撃を向けないようにするのは優しさなんてものでは無くただの無駄な自己犠牲を払うだけの馬鹿を晒しているだけだ。
 そうすることで確かに私はこの男から直接受ける罰は無くなり、私はあまり責められることもないだろう。
 この激怖男から逃げることが出来るという面だけで見れば有り難い話ではある。
 けれどもそんな行動は感情を持つ上では 自殺行為に等しい。
 まず他人を庇ったり、助けるような自己犠牲というのは相当なリスクを抱えた上でするもの。つまり諸刃の剣なのだ。

『その相手は本当に助けるべきだと思うのか?自分にとってその助けた時間は価値になるものなのか?』

 これを念頭に置いて行動するべきであり、そんなことも考えずに動いたらただ自分に負担がかかるだけだ。
 相手によっては自己犠牲を払ってまで助けてくれることに付け入って都合の良いように扱う輩がいる可能性だってあったり、逆にそんな自己犠牲ばかりを払う自分を見て心配させ、相手の心に負担をかけるパターンだって大いに有り得る。
 だから基本的にはデメリットしかならない。

「………まぁもういい。……はぁ、君に給料を上げる位なら私の犬の餌代に使ったほうが良かったな。」

 男はまだ懲りずに文句を言う。
 そんなタラレバ文句をこの女に一々言う時点でお前のオツムの程度が知れるわ。

「ま、とりあえずは頑張りたまえ。諦めなけりゃうまくいくからな。ハハハ。」

(……………)

 あまりの低レベルな皮肉を言いながら嘲笑う男に呆れてしまい心の中までも沈黙することしか出来なかった。
 
(やっぱりクソみたいなやつらばっかね…人間ってのは…)

「…………!!!」

 隣にいるハウワは何とか感情には出していないが、相当怒りを抑えているようで頭を鷲掴みにしている手が震えている。
 男はそんな様子を見て、ひたすらにスカした顔をしている。そこまで他人を下に見てまで優越感に浸る神経には心底理解が出来ない。

「あぁ、あと、明日にはあなたの部屋は全てお片付けしますのでね。今日中には全て荷物を持って出ていってくださいね~」

「………っ!!」

 ハウワは今にも怒りの限界を迎えていた。まずい、このままじゃさらにまずいことになりそうな気がする。

「じゃ、私はこのまま戻りますのでね。後はあなた達だけで勝手にじゃれて、遊んどいてください。仕事はもうしなくて良いですからねぇ。ははは。」

 ついにやっと満足でもしたのか、颯爽とこの場を早歩きで去っていった。その後ろ姿を見るだけでも不快な気分になっていく。

「……ハウワ……行くよ。」

 そして彼女は土下座をする形から起き上がり、創造神の女は顔を俯けたまま元いた部屋へと足を運ぶ。

「……………!!!!!はい…っ…!」

 ハウワの顔には明らかに怒りの顔が表れていた。
 それでもこの女の為か、怒りを抑えて創造神の後を追う。
 
「……………」

 私はすぐにハウワ達の後を追わず、ハウワ達と男の背中が見えなくなるまで立ち止まることしか出来なかった。
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