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神天地編
第20神話 ウラン①
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「…………」
その後私はハウワ達の後ろ姿が見えなくなったと思い、先程創造神の女が開けていた窓から元の部屋に戻った。
「…………」
私は沈黙したまま、先程座っていた位置に戻り天井を虚ろな目で見つめる。
また人間を不幸な目に合わせてしまったとで、報復としてまた負の連鎖が始まっていくのだろう。すぐに終わることはないループが。
自分の起こした行動がまさかあんなに最悪な状況になるとは思いもしなかった。今すぐにここを逃げ出したい気持ちで山々だ。
だがここから逃げ出した所でどうせ他の人間に狙われるのは目に見えている。逃げ出すと余程痛い目に遭う気がしてならない。
「あぁ……折角のチャンスが………」
ついには人間にも話し合えるような奴を見つけれたと思ったのに、結局は自らの所為で大事なチャンスを逃してしまった。
「………ふぅー。」
おちょぼ口にしながら吐き出した、空気の多いため息は、この狭い空間からすぐに消えていなくなった。
コッ コッ
人間の姿になっても聴覚は優れているようで、ドアの外からこちらに向かってくる足音が2つ聞こえる。
間違いなくハウワ達だろう。
コッコッコッ
だが一人の足音の音が大きくなっていき、恐らく早歩きなのか足音の音が早くなる。
この足音の正体の見当はついている。
バンッ!!
ドアがけたたましい音とともに開き、そこには創造神の女とは違う女がそこには立っていた。ハウワだ。
今思えば、初めてその全体像を見ることになる。
「………!!」
創造神の女と同じような白衣を着ており、胸元からは黒色のシャツが見える。輪郭はシュッとしており、どこにでもあるようなメガネを着用。
靴は白のナースシューズで、色白の美脚をミニスカートで強調している。
顔はとにかく色白で綺麗な鼻筋に栗色のきれいな目を持っていて、顔立ちはかなり整っている。
「あなた……!!」
女はツカツカとこっちに歩み寄り、近くに来ると立ち止まった。
女の方に目線を合わそうとするがその前に私は目線をあわすのが怖くなって途中で目を逸らした。
「…ッ!!いい加減にしなさい!!」
「うぐっ……!」
次の瞬間に声を荒げて、私の胸ぐらを右手で掴んでハウワの目線と同じ位置にまで強制的に持ってくる。先ほど逸らした目線からは私に対する怒りしか伝わらなかった。
(く……苦しい。)
「さっきここへ帰る途中に聞き出しましたよ……マケ様から。あなたの所為でマケ様があんな状況に陥ったんですって……?」
「う、ぐ……」
何とかハウワの腕を振りほどこうとして下半身をバタバタ動かす。それでも全く微動だにしない。
(な、なんて握力…!)
「あなた……なんで紙を窓から放り投げたんですか…?」
予想通りに私に動悸を聞いてきた。
「……退屈だったから私が調子に乗って紙を捨てた……」
「…ッ!!ふざけるな!!!」
そういうと、ハウワは左手で私の右頬に強いビンタを喰らわせた。
バチン!!
「痛っ………!」
鳥の頃よりもすべすべで肉厚な頬は部屋で良く響き、ジンジンと頬に痛みの余韻が残る。
「あなたの所為で……!マケ様はここを異動され…!今まであの人が積み上げてきたものが全て台無しになった…!どう責任取ってくれるんですか!?」
ハウワの胸ぐらを掴む力が強まり、そのま腕力によって、ハウワの目線よりも頭一つ分上に持ち上げられる。
「うぅっ……!!」
「どうして!?あなただったら…!まだあの男に弁明をしたり…!少なくとも今の状態よりもよくなる未来はあった筈でしょう!?」
(……っ!そんなこと言ったって…!)
あの男のオーラを見ると、話し合いなんていう甘ったるいものじゃ絶対に抑えることなんて出来ない。
勝てる筈もない。だから私は一瞬だけでも男の気を引いて助けがくるのを待った。
私も私なりの責任を取ろうとはした。あの状況じゃ私はあれぐらいしか出来なかった。
それに創造神の女だって全く反論しなかったことだって悪いじゃない。
「確かに……私が悪いとこもあるわよ……」
相手に抵抗するために腹筋に力を入れ、声をはっきりと出す準備をする。
「……けど!私だって最低限の行動はした!あなたが来る前に咄嗟にあの男の前に出て、時間を稼いだ!」
「それにあの女がどうなろうと知ったこっちゃない!そもそも助ける義理なんて一個も無いのよこっちには!少しでも助けようとしたことにあなた達は感謝するべきよ!」
「…っ!よくもまぁ偉そうな口調で上から語りますね……。」
「…あなただって私のことを全然理解できてない癖にそうやって私に当たるのね…!本当そんなんだから罰が当たるのよ…!」
「…この馬鹿ガキ……!」
私の煽った言葉が癪に障ったのか、より一層握力が強まる。
着用している病衣の胸元がしわだらけだ。
「…良いですか!?あなたは時間を稼いだのなんだの言ってますが、そんなのあなたが助けた気になっているだけです。あなたが助けるために行動したと口で言っても、私からしたらそんなの結局何も変わってないんですよ!」
「じゃあ、どうすれば良かったの!?教えてよ!」
この時にはもう人間との関係だのこれから先の自分の未来なんて考えることは出来ておらず、勢いよく捲し立てる。
そこにあったのは自分を正当化させるための意地。
これにハウワは
「なっ……そ、それは……」
勢いに負け、言葉を詰まらせる。
それを見たネヴァンは
「ほら、結局は言えないんじゃない!テキトー抜かすんじゃないわよ!ボケ!」
と、容赦なく煽るような言葉を吐く。
これに効いたのか、
「こ、このガキッ…!」
言い負かされ、もう一度ネヴァの頰に目掛けて平手打ちをしようとしたその時、
その後私はハウワ達の後ろ姿が見えなくなったと思い、先程創造神の女が開けていた窓から元の部屋に戻った。
「…………」
私は沈黙したまま、先程座っていた位置に戻り天井を虚ろな目で見つめる。
また人間を不幸な目に合わせてしまったとで、報復としてまた負の連鎖が始まっていくのだろう。すぐに終わることはないループが。
自分の起こした行動がまさかあんなに最悪な状況になるとは思いもしなかった。今すぐにここを逃げ出したい気持ちで山々だ。
だがここから逃げ出した所でどうせ他の人間に狙われるのは目に見えている。逃げ出すと余程痛い目に遭う気がしてならない。
「あぁ……折角のチャンスが………」
ついには人間にも話し合えるような奴を見つけれたと思ったのに、結局は自らの所為で大事なチャンスを逃してしまった。
「………ふぅー。」
おちょぼ口にしながら吐き出した、空気の多いため息は、この狭い空間からすぐに消えていなくなった。
コッ コッ
人間の姿になっても聴覚は優れているようで、ドアの外からこちらに向かってくる足音が2つ聞こえる。
間違いなくハウワ達だろう。
コッコッコッ
だが一人の足音の音が大きくなっていき、恐らく早歩きなのか足音の音が早くなる。
この足音の正体の見当はついている。
バンッ!!
ドアがけたたましい音とともに開き、そこには創造神の女とは違う女がそこには立っていた。ハウワだ。
今思えば、初めてその全体像を見ることになる。
「………!!」
創造神の女と同じような白衣を着ており、胸元からは黒色のシャツが見える。輪郭はシュッとしており、どこにでもあるようなメガネを着用。
靴は白のナースシューズで、色白の美脚をミニスカートで強調している。
顔はとにかく色白で綺麗な鼻筋に栗色のきれいな目を持っていて、顔立ちはかなり整っている。
「あなた……!!」
女はツカツカとこっちに歩み寄り、近くに来ると立ち止まった。
女の方に目線を合わそうとするがその前に私は目線をあわすのが怖くなって途中で目を逸らした。
「…ッ!!いい加減にしなさい!!」
「うぐっ……!」
次の瞬間に声を荒げて、私の胸ぐらを右手で掴んでハウワの目線と同じ位置にまで強制的に持ってくる。先ほど逸らした目線からは私に対する怒りしか伝わらなかった。
(く……苦しい。)
「さっきここへ帰る途中に聞き出しましたよ……マケ様から。あなたの所為でマケ様があんな状況に陥ったんですって……?」
「う、ぐ……」
何とかハウワの腕を振りほどこうとして下半身をバタバタ動かす。それでも全く微動だにしない。
(な、なんて握力…!)
「あなた……なんで紙を窓から放り投げたんですか…?」
予想通りに私に動悸を聞いてきた。
「……退屈だったから私が調子に乗って紙を捨てた……」
「…ッ!!ふざけるな!!!」
そういうと、ハウワは左手で私の右頬に強いビンタを喰らわせた。
バチン!!
「痛っ………!」
鳥の頃よりもすべすべで肉厚な頬は部屋で良く響き、ジンジンと頬に痛みの余韻が残る。
「あなたの所為で……!マケ様はここを異動され…!今まであの人が積み上げてきたものが全て台無しになった…!どう責任取ってくれるんですか!?」
ハウワの胸ぐらを掴む力が強まり、そのま腕力によって、ハウワの目線よりも頭一つ分上に持ち上げられる。
「うぅっ……!!」
「どうして!?あなただったら…!まだあの男に弁明をしたり…!少なくとも今の状態よりもよくなる未来はあった筈でしょう!?」
(……っ!そんなこと言ったって…!)
あの男のオーラを見ると、話し合いなんていう甘ったるいものじゃ絶対に抑えることなんて出来ない。
勝てる筈もない。だから私は一瞬だけでも男の気を引いて助けがくるのを待った。
私も私なりの責任を取ろうとはした。あの状況じゃ私はあれぐらいしか出来なかった。
それに創造神の女だって全く反論しなかったことだって悪いじゃない。
「確かに……私が悪いとこもあるわよ……」
相手に抵抗するために腹筋に力を入れ、声をはっきりと出す準備をする。
「……けど!私だって最低限の行動はした!あなたが来る前に咄嗟にあの男の前に出て、時間を稼いだ!」
「それにあの女がどうなろうと知ったこっちゃない!そもそも助ける義理なんて一個も無いのよこっちには!少しでも助けようとしたことにあなた達は感謝するべきよ!」
「…っ!よくもまぁ偉そうな口調で上から語りますね……。」
「…あなただって私のことを全然理解できてない癖にそうやって私に当たるのね…!本当そんなんだから罰が当たるのよ…!」
「…この馬鹿ガキ……!」
私の煽った言葉が癪に障ったのか、より一層握力が強まる。
着用している病衣の胸元がしわだらけだ。
「…良いですか!?あなたは時間を稼いだのなんだの言ってますが、そんなのあなたが助けた気になっているだけです。あなたが助けるために行動したと口で言っても、私からしたらそんなの結局何も変わってないんですよ!」
「じゃあ、どうすれば良かったの!?教えてよ!」
この時にはもう人間との関係だのこれから先の自分の未来なんて考えることは出来ておらず、勢いよく捲し立てる。
そこにあったのは自分を正当化させるための意地。
これにハウワは
「なっ……そ、それは……」
勢いに負け、言葉を詰まらせる。
それを見たネヴァンは
「ほら、結局は言えないんじゃない!テキトー抜かすんじゃないわよ!ボケ!」
と、容赦なく煽るような言葉を吐く。
これに効いたのか、
「こ、このガキッ…!」
言い負かされ、もう一度ネヴァの頰に目掛けて平手打ちをしようとしたその時、
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