15 / 28
4.バルドへイム王国
6.君の涙を見ると胸が苦しくなるんだ グランツside(3)
しおりを挟む
そして俺は、騎士団に入隊。寮生活をすることになった。
父上は寮に入ることを反対したが、それでは兄上がかわいそうだと言うと頭を抱えてしまった。
兄上も出来は悪くない。ただ、俺と比べられてぐれただけだ。俺がいなくなったらきっと自信を取り戻してくれるだろう。人となりについては……父上と周りの人で何とかしてくれ。
兄上のことは丸投げにしてしまって申し訳ないが、俺も時間がないので仕方ないだろう。
俺自身、人間の体だから鍛える必要がある。
そして仲間を作る必要がある。一人でできることにも限界がある。ただ、仲間作りは苦手だ。できるとも思えない。
暗い顔をしているとツツミ伯が「コミュ症だな」とつぶやいていた。
秘密裡の会議が終盤に差し当たってきたころ、従者が来客を伝えるノックをする。
了承の言葉を告げる前にゴードン・バルデック男爵が勢いよく入ってきた。エルサの父だ!
「アレク!なんだ?用って?」
国王にも相変わらずは話し口調にクスクスとテレシア王子が笑う。
「ゴードン!おまえな……まあ、ここではいいけどな。それより!そろそろ伯爵位を受けてくれ。あと、近衛隊の隊長を受けてもらう」
「伯爵位?いらん!変に高い爵位があると娘たちが泣く。自由にできないだろう」
「あ……。自由はなくなるな。ソフィアとエルサには酷か。なら仕方ない。だが、近衛隊の隊長は受けてもらうぞ。ゴン爺が疲れたから後方に周りたんだってさ」
「ゴン爺が……。それは……俺じゃなくても……」
「ゴン爺からのお願いだ。聞いてやれ」
「ん……。今は娘たちとの時間を大切に……」
「わかってるよ。娘たちの身の安全を守るためにも騎士団長になるべきだと思うよ。サツキ嬢の忘れ形見だ。狙われているぞ」
国王のこの言葉にゴードンが言葉を失う。
「狙われているとは……なんですか……」
今知ったことに俺の声が震える。
(誰に?どいつだ!)
「殺気を押さえろ、グランツ。“渡り人”の子供を欲しがる家はたくさんいる。今のところ大丈夫だ。陛下が2家門を地下牢に押し込めている」
父上が殺気を押さえるために掛けた言葉は火に油を注ぐようなものだった。
(2家門?は?まだいるのか?)
「グランツ。何お前が殺気立ってるんだ。落ち着け。娘たちには手を出させん。アレク、隊長を受けたら保護してくれるんだな。約束しろよ」
「問題ない。ただ、王宮敷地内の別宅に移り住んでもらうぞ。サツキ嬢との思い出の家はちゃんと管理してやるから」
「しかしだな……あの家は思い出があるから……」
「ゴードン、サツキ嬢の思い出も大切だが、娘たちの方がもっと大事だろう。サツキ嬢の忘れ形見を守らなくてどうする」
「……すまん、アレク。その通りだ。隊長を受ける」
「うん。じゃ、ついでにグランツの教育もよろしくね」
「は?グランツの教育を?」
「うん。今日から騎士寮に入るからよろしくね」
アレクサンドル国王は、仕事が早いようだ。
エルサの安全を確保するという言葉に国王を見直した。
悪い奴ではない。
ただ、ゴードンさん改めゴードン隊長の教育って……大丈夫なのだろうか。
「グランツ!お前、家を追い出されたのか!仕方ないな!面倒見てやるぞ!」
一抹の不安を拭えないのは俺だけじゃないはずだ。
父上は寮に入ることを反対したが、それでは兄上がかわいそうだと言うと頭を抱えてしまった。
兄上も出来は悪くない。ただ、俺と比べられてぐれただけだ。俺がいなくなったらきっと自信を取り戻してくれるだろう。人となりについては……父上と周りの人で何とかしてくれ。
兄上のことは丸投げにしてしまって申し訳ないが、俺も時間がないので仕方ないだろう。
俺自身、人間の体だから鍛える必要がある。
そして仲間を作る必要がある。一人でできることにも限界がある。ただ、仲間作りは苦手だ。できるとも思えない。
暗い顔をしているとツツミ伯が「コミュ症だな」とつぶやいていた。
秘密裡の会議が終盤に差し当たってきたころ、従者が来客を伝えるノックをする。
了承の言葉を告げる前にゴードン・バルデック男爵が勢いよく入ってきた。エルサの父だ!
「アレク!なんだ?用って?」
国王にも相変わらずは話し口調にクスクスとテレシア王子が笑う。
「ゴードン!おまえな……まあ、ここではいいけどな。それより!そろそろ伯爵位を受けてくれ。あと、近衛隊の隊長を受けてもらう」
「伯爵位?いらん!変に高い爵位があると娘たちが泣く。自由にできないだろう」
「あ……。自由はなくなるな。ソフィアとエルサには酷か。なら仕方ない。だが、近衛隊の隊長は受けてもらうぞ。ゴン爺が疲れたから後方に周りたんだってさ」
「ゴン爺が……。それは……俺じゃなくても……」
「ゴン爺からのお願いだ。聞いてやれ」
「ん……。今は娘たちとの時間を大切に……」
「わかってるよ。娘たちの身の安全を守るためにも騎士団長になるべきだと思うよ。サツキ嬢の忘れ形見だ。狙われているぞ」
国王のこの言葉にゴードンが言葉を失う。
「狙われているとは……なんですか……」
今知ったことに俺の声が震える。
(誰に?どいつだ!)
「殺気を押さえろ、グランツ。“渡り人”の子供を欲しがる家はたくさんいる。今のところ大丈夫だ。陛下が2家門を地下牢に押し込めている」
父上が殺気を押さえるために掛けた言葉は火に油を注ぐようなものだった。
(2家門?は?まだいるのか?)
「グランツ。何お前が殺気立ってるんだ。落ち着け。娘たちには手を出させん。アレク、隊長を受けたら保護してくれるんだな。約束しろよ」
「問題ない。ただ、王宮敷地内の別宅に移り住んでもらうぞ。サツキ嬢との思い出の家はちゃんと管理してやるから」
「しかしだな……あの家は思い出があるから……」
「ゴードン、サツキ嬢の思い出も大切だが、娘たちの方がもっと大事だろう。サツキ嬢の忘れ形見を守らなくてどうする」
「……すまん、アレク。その通りだ。隊長を受ける」
「うん。じゃ、ついでにグランツの教育もよろしくね」
「は?グランツの教育を?」
「うん。今日から騎士寮に入るからよろしくね」
アレクサンドル国王は、仕事が早いようだ。
エルサの安全を確保するという言葉に国王を見直した。
悪い奴ではない。
ただ、ゴードンさん改めゴードン隊長の教育って……大丈夫なのだろうか。
「グランツ!お前、家を追い出されたのか!仕方ないな!面倒見てやるぞ!」
一抹の不安を拭えないのは俺だけじゃないはずだ。
1
あなたにおすすめの小説
ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!
タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。
姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。
しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──?
全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!
【完結】公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
ギルド回収人は勇者をも背負う ~ボロ雑巾のようになった冒険者をおんぶしたら惚れられた~
水無月礼人
恋愛
私は冒険者ギルド職員ロックウィーナ。25歳の女で担当は回収役。冒険者の落し物、遺品、時には冒険者自体をも背負います!
素敵な恋愛に憧れているのに培われるのは筋肉だけ。
しかし無駄に顔が良い先輩と出動した先で、行き倒れた美形剣士を背負ってから私の人生は一変。初のモテ期が到来です!!
……とか思ってウハウハしていたら何やら不穏な空気。ええ!?
私の選択次第で世界がループして崩壊の危機!? そんな結末は認めない!!!!
※【エブリスタ】でも公開しています。
【エブリスタ小説大賞2023 講談社 女性コミック9誌合同マンガ原作賞】で優秀作品に選ばれました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
捨てられた悪役はきっと幸せになる
ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。
強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。
その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。
それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。
「ヴィヴィア、あなたを愛してます」
ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。
そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは?
愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。
※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる