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第十四話 不思議の森の魔女と騎士
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しおりを挟む昔々ある国のお城に年頃のお姫様がいました。お姫様はとある騎士に恋をして告白しました。ですがそれは身分違い。騎士はあっさり断りました。
しかし姫は諦めず、騎士に猛アタックし続けました。騎士はそれが姫の為と、姫の猛攻を拒絶し続けました。
想い届かずとも騎士への気持ちを募らせて、拒絶され続けて弱り果てた姫の身体は次第に病に蝕まれ、とうとう命尽き果て亡くなってしまいました。
それが姫の為と信じて姫の気持ちを拒絶し続けた騎士は後悔の淵に落ち、思い悩み苦しみ続けた挙句、とある暗い森の湖に身を沈め、自害してしまいました。
その後、この森では思い悩み苦しみ続ける騎士の苦悶の声が聞こえたり、その姿が湖の波紋となって映し出されたりするという……。しかしそればかりでなく、この湖に足を踏み入れた男女は必ず見境なく結ばれてしまう呪いが現れた。
「だから危険なのよここは?噂ではここに足を踏み込んだ恋人同士は必ず結ばれるという話よ?その危険度と言ったら、昔うっかりここに踏み込んだ敵対する国同士の姫と皇子が憎しみ合っていたはずなのに突然愛し合い始めたという奇跡の湖で」
「そういう話はもっと早く言って下さい。ホントに危ないところだったじゃないですか?」
「知らないなんて知らなかったんだもの」
「……あなたの時代ではともかく今はそんな噂も知りません。こんな場所をデートに使うものなどなかなかいませんから」
「使ってたじゃない?」
「……ティア様だからまあいいかなんて思って気軽に…‥…まさかあんな事になるなんて」
ルウドではあり得ないほど饒舌に言葉がするすると出た。普段思ってても口にはしない様な事をティアに散々言って口説いた挙句、唇を奪って更に先へ進もうとした。
「ロヴェリナ様が呼んでくれて正気に戻らなかったら大変な事になっていました」
「余計なことだったかしら?ティアが聞いたら怒るかしら?」
「とんでもない、寝ている姫をどうこうなんて私の名に傷がつきます」
「そうね、今度は起きてるときに頑張ってね?」
「……」
ティアは朝から納得のいかない疑念を抱えていた。
「なぜ昨日の出来事の記憶がないのよ。うーん悔しい。ルウドとデートしてたのは確かに覚えているわ。なのに最後まで覚えてないなんて!」
「途中で眠ってしまったのでしょう?疲れていたのでしょう?」
「大切なルウドとのデートで寝こけるなんて!最悪」
「途中までは覚えているでしょう?どうだった?」
「………もう懲りたわ。デートなのに薔薇の世話なんて。幽霊の出る森で釣りって、やっぱり嫌がらせかしら?」
一家は黙ってティアを見る。
「……それってデートなの?本当に」
「良く入ったわね、あんな森に。幽霊のいる呪いの森って言われているのに」
「ルウドは普通にいつも入っているみたいよ?幽霊なんているのかしら?」
「もうとうに呪われているかもね。幽霊が付いているって噂だし」
「美人の幽霊って、誰が流したのか知らないけど聞き捨てならないわ」
「……ルウドって……、やっぱり嫌がらせじゃない?」
人気があってももてないのはティアだけのせいではなく当人に問題があるからだと姉達は納得する。
「まあいいわ。ルウドにこれ貰ったから。綺麗な石でしょう?」
「……ええ、綺麗ね」
本当に嬉しそうなティアを見ると何も言えないが、ティアの高価な宝石はいくらでもある。贈り物にも沢山ある。
「ルウドの荷物から出て来たんだって。中に模様が書いてあるの。何の模様かしらね?」
「さあ…?」
アリシア姫はにが笑う。
荷物から出てきたようなものを姫様にあげるのか普通?ティアは幸せそうだが、高価な贈り物をしてくる皇子達がこの事実を知ったら嘆き悲しむに違いない。
「…‥模様か、ティア、ちょっと見せてみなさい」
「まあお父様、ルウドの贈り物に興味がありますの?」
王は白い石を受け取ってじろじろ眺め、すぐに姫に返す。
「安物過ぎる。ティア、甲斐性のない男の元へ嫁ぐとものすごく苦労するんだぞ?もう少し考えなおして周囲を見回してみなさい。地位も金もある皇子の方がいいとすぐに気付くぞ?」
「まあ、そんな事を言う為に見たかったの?でも私はルウドでなきゃいやよ?甲斐性がないって言うならもっと給料上げたらいいじゃない」
「ティア、そんなこと言っているのでは……」
王は口を噤んでスープを啜る。王は説得を諦めた。
しかしそれまで黙って食事をとっていた兄がティアに言う。
「ティア、もうすぐ他国へ訪問だろう。ちゃんと準備は進んでいるだろうね?忘れたふりしても通らないよ?約束は約束だからね?」
「…‥えっ、覚えてたのね…。ええと、やっぱり行かなきゃダメ?」
「当たり前だろう。もう相手国に君が行くと返答を出したよ。招待してくれた皇子も首を長くして待っているよ?」
「……」
「ほう、皇子の招待か。それはいいな。ティア、友好を存分に深めてくるといい。……まさかルウドは連れて行かないだろう?」
「……お父様、ルウドは護衛よ。連れていくに決まっているでしょう」
「国を出た事のない者に護衛が務まるのか?もっと適任者がいるだろう?」
「――――なによそれ?お父様、ルウドに国を出て欲しくないみたい」
「なにをいう、ルウドがお前の側に居たら邪魔だと言っているのだ」
「……嫌よ。知らない国へ行くのにルウドが護衛でないと不安だもの」
「……‥」
それはそうだ。王はしぶしぶ引き下がった。
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