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第十九話 悪夢の剣技大会
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しおりを挟むスティア皇子が秘密特訓を始めてしまい、ティア姫を外へ出す口実がなくなってしまった。
リリアナ嬢の件はサラ王妃がすべていいように手配してくれるそうで悩みの消えた姫はまた図書室に籠り始めた。
「姫様、少しは外に出て下さいよ」
「出るわよ、たまには散歩に。ルウドは訓練しなくていいの?行っていいのよ?」
「……そうですね、では行ってきます」
姫の護衛は城内警備に任せてルウドはスティア騎士団の兵舎に向かう。
途中リリアナ嬢に会った。
「ルウドさん、スティア様が兵舎に籠って出てこないのよ。これじゃ計画が大無しよ?」
「皇子は訓練中ですよ、仕方ありません。剣技大会でいい所を見せてくれるでしょう」
「詰まらないわ、ティア様はどうなさっているの?」
「図書室で調べ物です。終わる作業ではないので時々遊びに誘って外へ出して差し上げて下さい」
「分かったわ、ルウドさんはどこへ行くの?」
「訓練に行ってきます、皇子も頑張っているようですし、部下も鍛えなければ」
「そう」
リリアナ嬢と別れて、ルウドはスティア騎士団の兵舎へ入る。
スティア皇子の秘密特訓。とても気になる。
ルウドが地下へ降りようとすると、騎士に呼び止められた。
「ルウド隊長、行っては駄目ですよ?」
「邪魔はしない、ちょっと見るだけ」
「それじゃ秘密特訓の意味無いじゃないですか」
「……特訓が秘密ではなく特訓内容が秘密なのか?」
「そうですよ、わが騎士団は独特の特訓内容があり、それが秘密なんです」
「少しだけ、駄目か?」
「いけません、普通の騎士が見るものではありません」
すると突如、地下から得体の知れぬ呻き声と轟音がとどろいた。
「うごわおおおおおおおっ!うえええっ!し、死ぬ!もう…!」
「死んでる場合かあああっ、時間の無駄だ早く立てえええっ!」
「うひやああああっ!」
「………」
ルウドが騎士に疑問の目を投げかけると騎士は首を横に振った。
「見ちゃいけません、決して」
「……」
一体地下で何が行われているのか?
ルウドは諦めて兵舎を出て訓練場へ向かう。訓練場には沢山の騎士達が訓練に励んでいる。ルウドもその中に混じり、数日鍛錬に励んだ。
剣技大会は広い訓練場で行われる。訓練場の中に柵を幾つか打ち立ててその中で戦うのだが今回出場者が多く、隣の牧場にまで柵を打ち立てて行う事になった。
試合方式はくじ引きでの組み合わせ。勝者は先に三本とった方。
勝ち続けて残り八人になったところで王や王妃達の前で一組づつ大戦する。
そして勝者には何か褒美が与えられるという。
「今回は異例の出場者が多い。マルスの騎士五十人はともかく、いつも出ない紫の騎士達五十人とスティア皇子まで出る。さらに赤騎士と配下二十人、黒騎士と配下十人、さらにクライブ皇子。あとは緑、黄、青の隊長と隊員数十名。
総勢二百五十人の決戦になる。とても一日ではかたが付かないから三日間を使う事になった。
「おおがかりですね」
「もはや祭りですね。しかしここ数年は勝者も定番で自ら参加しようと言う騎士もほとん
どいなかったのです。ルウドさんのお陰ですね。うちの騎士達をここまでやる気にさせてくれた」
「ヤル気あるロレイアの騎士ですか。怖いですね」
「ははは、まあせっかくですので楽しんで行って下さいね」
出場者は初日に番号札を貰い、その札の番号で相手が決まる。
初日に試合順番と相手が決まり勝ち抜き戦で進んでいく。
訓練所と牧場は試合を見るための見学者で一杯だ。
初戦はすでに始まっており、対戦は順次行われている。
なかなか勝負の決まらない対戦もあれば一撃で勝負の決まる対戦もある。
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