意地悪姫の反乱

相葉サトリ

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第十九話 悪夢の剣技大会

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「そう言えばスティア皇子はどうしました?大会に出ているはずですよね?全くお見かけしませんが?」

 クライブ皇子に聞くと彼は何故か顔を引き攣らせた。

「…ああ、ええと。初戦がすんだらまたすぐに宿舎に籠ってしまってね。優勝するまで訓練を続けるんじゃないかな………………‥?」

 歯切れが悪い。どうしたのだろうか?
 ルウドがふと第六競技場の方を見ると未だに対戦が続いていた。黒騎士隊長相手に意外にもしぶといポールである。

「やるなあ君の部下、どれ参考までに見ておこう」

 クライブ皇子は第六の方へ行った。

 ルウドは第八競技場に向かう。

「ベリル様、状況はどうなっていますか?」

「ルウド、フレイの方は終わったのか?」

「はい、フレイ殿の勝利で」

「まあ当然だな」

 ルウドがフレイの対戦から目を離せないのでベリルは先に第八を見学していた。
 第八競技場の対戦は赤騎士と緑騎士の対戦である。

「どちらも中級レベルだ。強いぞ。同等の腕を持つ相手とはいい勝負が出来る。なかなか見ものだぞ」

 確かにいい勝負をしている。しかしなにかがおかしい。

「……集中力が散漫だな。何か心ここにあらずな。何かあったのかな?」

「そう言えば何か周囲の空気も変だったな」

「ちょっと前の試合の毒気に当てられてるんだよ、強烈だったからさあ…」

 隣の見物人が教えてくれた。

「前の勝負とは?」

「スティア皇子と青の騎士だった。皇子がちょっともう…‥あれで。何と言うか…‥」

「何なんだ?」

「まあ見れば分かる。あまりお勧めしないが」

 見物人が言葉を濁した。一体スティア皇子が何だと言うのか?
 とはいえ剣技場の二人は互いに集中し始め、決着を付けるべく激しく打ち合う。
 赤騎士の勝利で勝負は終わった。






 ルウドは昼食を取りに騎士宿舎の食堂へ入った。食堂は薄紫とマルスの騎士達で一杯だった。
 空いた席に座り、昼食を取りながらぼそりとルウドは聞いてみる。

「何人負けた?」

 あたりは一気に静まり返った。

「…ジル、ロディオ、アイサ、ポール、マディアス」

「私勝ちました!青騎士に」

「私、負けてしまいましたが相手紫の精鋭ですよ?」

「私黄色の騎士で、勝ちました」

「私なんか黒騎士隊長ローリーだぞ?負けて当然すごいだろ?」

「何の自慢だ、私は紫に勝ったぞ?」

「……」

 運の善し悪しが如実に出ている。

「残っている者は?」

「全部で二十三人です」

「そんなに負けたのか、これは本格的に鍛え直さないといけないな。罰ゲームは何にしよう?」

「ルウド隊長、私の相手黒騎士隊長ですよ?」

「私だって赤の精鋭だぞ?」

「私なんか黒騎士だぞ?」

 騎士達がざわめく。

「―――黙れ、運も実力のうちだ。運がなくとも実力で押し切れるやつもいるんだ。がたがたぬかすな!」

 騎士達は黙った。不満ではあったが確かに運のなさを実力でカバーしている者は居る。
 例えばことごとく対戦相手が強豪であるがその彼らより上を行く実力で先に進む某隊長とか。

「ルウド隊長初戦黒騎士を一撃だったって話だぜ?」

「良く油断したよなその黒騎士。生きてんのか?」

「生きてるようだけど、黒騎士隊長に殺されるって話だぞ。生きた心地してないだろうな」

「負けた俺らも似たようなものだけどな…‥」

 ひそひそ話す騎士達の声を聞き流しつつ、ルウドは昼食を取りながら考える。
 罰ゲームが二十六人にもなるとは思っていなかった。幾らなんでもこの人数を一人で扱くのは大変だ。どうしよう?

「ルウドさん、バツゲームするって?厳しいなあ。ところでそれ、紫の騎士も混ぜてくれないかな?」

「フレイさん、いいんですか、助かります。人数が多くてどうするか考えていたのです。一緒に考えて下さい」

「うんいいよ、うちの訓練は色々あるからね。山とか谷とか崖とか」

 ルウドとフレイは楽しげに話しだす。
 その罰ゲームの内容を初戦負けした薄紫とマルスの騎士達は身が縮む思いで聞いていた。





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