意地悪姫の反乱

相葉サトリ

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第二十話 勝敗の行方

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 第四試合はクライブ皇子対マルスの騎士ジル。
 前試合の片付けが終わったらすぐに試合が始まった。

「……」

 クライブ皇子はローリーに剣を教わったと言うから彼なみに強いらしいし、実際ここまで来ているのだから強いに違いないと思うが実際のところ余り彼の実力が分からなかった。
 ともあれローリー並の実力だろうと認識して応対する。
 試合前、ティア姫が鬼のような形相でやってきた。
 とうとう姫の防波堤が二人になってしまった。

「刺し違えても勝ちなさい!黒の皇子も騎士も倒すのよ!」

「………」

 前試合の不憫すぎる彼は再起不能だ。
 もちろんジルも勝てる気がしなかったが結構冷静だった。





「――――くっ、もう我慢ならないわ!こうなったら会場ごと爆破して…」

「…落ち着いて下さい。ただの剣技大会ですよ?」

「ルウド!騎士の誇りはどこに行ったの?このまま負けて笑ってるつもり?マルスの騎士としてどうなのよ?私の顔をつぶすつもり?」

「そんなつもりはありません。ジルも死ぬ気で全力でしょう?少しは信じてあげて下さい」

「……」

 姫は黙って試合を見詰める。
 ジルは必死でクライブ皇子に応戦している。

「やあ、ルウド、次フレイだろ。楽しみだな」

「ベリル皇子…」

 ティア姫がぎろりと皇子を睨む。

「私のルウドに何の用よ?このヘタれ皇子」

「お姫様に用はないよ?どうせ何も出来やしないんだ。せいぜいここで喚いているくらいだろ?」

 ベリル皇子は姫を見てふふんと鼻で笑う。

「素直に謝るなら賭けを無かった事にしてやってもいいんだぞ?まあもっともルウドの勧誘は止めないがな」

「ヘタレに謝る位なら自分で片を付けるわよ。人の物を取ろうなんてなんて厚かましいのかしら」

「騎士はものじゃないぞ?あんたみたいな意地悪姫の傍よりロレイアの騎士になる方が幸せに決まってる。ルウドだけじゃなくてなんか不憫なマルスの騎士達も引き取ってもいいぞ?」

「ヘタレがふざけた事言ってんじゃないわよ」

「一人で帰れよ?ロレイアの騎士が送ってやるから」

 ベリル皇子とティア姫が火花を散らす。

「私は何も出来ない姫じゃないわよ?黙って騎士を奪われたりはしないわ」

「ああそう、せいぜい喚いてるんだな。僕は何もしなくても騎士が手に入るのか、楽でいいな」

「………!」

 皇子が笑いながら去って行った。

「…‥ひ、姫様?」

「このままでは済まさないわ!けして!」

「……‥」

 姫の怒りは頂点にまで達していた。
 一体何をするつもりかと、ルウドは不安になった。

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