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第二十五話 姫の心と秋晴れの空
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しおりを挟む夏の暑さが通り過ぎ、秋の風が静かに訪れる。
お城の日常も表面上は平穏に過ぎていく。
「ところでお前達、誰かそろそろミザリーを迎えに行ってくれないか」
「そう言えば忘れてたわ」
あまりにも穏やかで静かな日常にゆったり依存する余りにあの煩い姫の存在自体を忘れ去っていた。
「……ティア。仮にも一国の姫が何日も男の屋敷に停泊なんて評判に傷がつく」
「それは男の所へ泊りに行く時点で気が付いて欲しかったわ、お兄様」
「……‥」
「そうは言っても相手はクロード公爵よ?その点で誰も何も気にしていなかったのよね…」
アリシア姫がお茶を飲みながら呟いてパラレウス皇子が頷く。
「……私もあまり気にしていなかったわ。ミザリーお姉さまの事だし。
あまり知らないのだけど、クロード公爵ってどういう人?」
兄と姉はそろって困った様子でティアを見る。
「クロード公爵家は西方に広大な領土を持つ資産家で、他にも様々な事業、経営にも関わっている一族だよ。今の当主は十五代目だったか。元々個性の強い人たちだったと言う話だったけれど今の当主もまた変わっているという噂だ」
「変わっている?で、噂?」
「ミザリーを迎えに来たときお会いしたのだけど、まあ見た感じは普通だったかな。と言うより普通でないミザリーの隣に並ぶと全く普通に見えた」
「恰好が黒ずくめで余り目立たない感じだったわ」
「…噂と違い案外普通なのでは?」
「普通でミザリーと付き合えるかしら?」
「……」
「普通の男だったらミザリーに手を出すだろうか。出したら怖いな」
「……」
「ともあれ事実確認をしなければいけないし、まず迎えに行かなければ」
「手を出してたらどうするの…‥?」
「どうしよう?クロード公爵責任とってくれるかなあ?」
「その覚悟がないと手は出せないでしょう?」
「……」
一家は沈黙した。
要はアルバ=クロード公爵次第で、彼は何をどう考えているのかで全てが決まる。
「……で、なぜ私が?」
「君暇だろう?行ってくれよ」
「……」
借りた馬の世話をしながらルウドは悩む。
「……どうしても行かないと駄目か?」
「ミザリー様が帰ってこないのだから仕方ないだろう?」
ハリスに目を向けると苦笑いされた。
「お前が命じられたのではないのか?」
「まあそうなんだけどね」
「嫌なのか?」
「あまり乗り気ではないな、何しろ個性的だと評判だからね」
「何が?」
「クロード公爵家が。噂なんだけれど一度行ったらもう二度と行きたくない場所らしい」
「噂だろう?行ってみないと分からない」
「だから行って来てよ?」
「私一人でか?義務的にはハリスも同行するべきだろう?」
「やはり行かないと駄目か…」
「当然だ」
「なら一緒に行ってくれよ。とても一人で乗り込む勇気はないよ」
「分かった。仕方ない、早く済ませよう」
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