178 / 200
第二十六話 ルウドの選択
7
しおりを挟む旅人のロズは街で宿をとり情報収集をしている。
ルウドは昼食後、彼に会いに街へ出た。
彼がいる宿の食堂で飲み物を貰って世間話などをする。
「あはは、ルウドも大変だね。そんなに人気者なんだ?」
「そんな気は全くしないが何故か上官や同僚から言われるんだ。よく分からないのだけど」
「あちこちから引く手あまたか。退屈しなさそうでいいね」
「せっかくの休みなのでもっと静かに過ごしたいのに心配が絶えない」
「大変だねルウドは。騎士ってそんな忙しいんだ?」
「要人の護衛が仕事だからね。大変ではある」
「ふうん、でも何か楽しそう」
「それでロズはどうなんだ?街でいい情報は入ったのか?」
「うーん、それがねえ…。城内の面白情報はたくさん手に入るのだけど欲しい情報は微塵も手に入らない。何でだろうねえ…」
「欲しい情報って何だ?そもそもこの国に頑なに隠さねばならない情報なんてあるのか?私はずっと城に住んでいるが聞いた事もないぞ?」
「他国人の交流の多い国だから簡単に見つかるような隠し方はしてないだろうね」
「…ロズは国が隠すような情報が欲しいのか?」
「僕の欲しい情報が国が隠すようなものかどうかは分からない」
「そうか」
「もしよかったら調べ物を手伝ってほしいな?」
「この時間は暇なのでいいよ。今休暇中だし」
「わあ本当?ありがとう」
暇なルウドの予定が決まった。この日からルウドは街へ出てロズと共にぶらぶらと情報収集を始める。
物音がする。すぐ傍で人が動く気配がする。
殺気こそはなかったが気配だけで目が覚めてしまった。
それでもルウドは眠ったふりをする。
取られる様なものはなにもないのだがとにかくさっさと出て行ってくれないと眠れない。
捕まえて問いただす事も出来るがあとが面倒なので知らぬ顔をしていた方がいい。
しかしそれからが長かった。
盗人は随分諦めが悪く何かを捜していた。
やっと出て行ったとほっとした頃には夜明けの頃になっていた。
深くため息をつくのをロズに見られて笑われた。
「何だいルウド?疲れているのか?」
「この所眠れなくて…」
「眠れない?何で?」
「人が忍んできて…」
「…ああそう言うことか。まあほどほどにしときなよ?」
「……」
誤解だか細かい説明はできないので黙るしかない。
ロズは街で得た情報と資料を見て説明する。
「アルメディアの最後の血族の軌跡をたどっていくとある貴族の所までたどり着くことが出来たんだ。そしてその貴族達はこの国にも何度か足を運んだ形跡がある。
この国にもその痕跡が残っているはずだから調べてみたい」
「ロズ。言っては何だが貴族だろう?別にこの国でなくとも幅広く交流があるのではないか?」
「勿論、だけどこの国を訪れた事を最後に姿を消した人がいる。その人を捜し出せばきっと答えに行きつける」
「……まさか、アルメディアの血族に?」
「血が途絶えているという可能性もある。だけど結果は必ずあるはずだ」
「……それを見つけてロズはどうする気だ?」
「ううん?そうだねえ…?」
彼は意味ありげに微笑む。
「…‥まあそれは答えを見つけてから教えてあげるよ?」
ルウドは不穏に感じる。
遠い遠い昔話がある日突然現実となり目前に訪れる。
それは一体どんな気分だろうか?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】え?今になって婚約破棄ですか?私は構いませんが大丈夫ですか?
ゆうぎり
恋愛
カリンは幼少期からの婚約者オリバーに学園で婚約破棄されました。
卒業3か月前の事です。
卒業後すぐの結婚予定で、既に招待状も出し終わり済みです。
もちろんその場で受け入れましたよ。一向に構いません。
カリンはずっと婚約解消を願っていましたから。
でも大丈夫ですか?
婚約破棄したのなら既に他人。迷惑だけはかけないで下さいね。
※ゆるゆる設定です
※軽い感じで読み流して下さい
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
起きたら猫に!?~夫の本音がだだ漏れです~
水中 沈
恋愛
(猫になっちゃった!!?)
政務官の夫と大喧嘩した翌朝、目が覚めたら猫になっていたアネット。
パニックになって部屋を飛び出し、行き着いた先は夫、マリウスの執務室だった。
(どうしよう。気まずいわ)
直ぐに立ち去りたいが扉を開けようにも猫の手じゃ無理。
それでも何とか奮闘していると、マリウスがアネット(猫)に気付いてしまう。
「なんでこんなところに猫が」
訝しそうにするマリウスだったが、彼はぽつりと「猫ならいいか」と言って、誰の前でも話さなかった本音を語り始める。
「私は妻を愛しているんだが、どうやったら上手く伝えられるだろうか…」
無口なマリウスの口から次々と漏れるアネットへの愛と真実。
魔法が解けた後、二人の関係は…
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
死ぬ瞬間にだけ、愛してほしい
しょくぱん
恋愛
「代わって。死なない程度に、ね?」
異母姉リリアーヌの言葉一つで、エルゼの体は今日もボロボロに削られていく。
エルゼの魔法は、相手の傷と寿命を自らに引き受ける「禁忌の治癒」。
その力で救い続けてきたのは、初恋の人であり、姉の婚約者となった王太子アルベルトだった。
自分が傷つくほど、彼は姉を愛し、自分には冷ややかな視線を向ける。
それでもいい。彼の剣が折れぬなら、この命、一滴残らず捧げよう。
だが、エルゼの寿命は残りわずか。
せめて、この灯火が消える瞬間だけは。
偽りの聖女ではなく、醜く焼けた私を、愛してほしい。
【完結】広間でドレスを脱ぎ捨てた公爵令嬢は優しい香りに包まれる【短編】
青波鳩子
恋愛
シャーリー・フォークナー公爵令嬢は、この国の第一王子であり婚約者であるゼブロン・メルレアンに呼び出されていた。
婚約破棄は皆の総意だと言われたシャーリーは、ゼブロンの友人たちの総意では受け入れられないと、王宮で働く者たちの意見を集めて欲しいと言う。
そんなことを言いだすシャーリーを小馬鹿にするゼブロンと取り巻きの生徒会役員たち。
それで納得してくれるのならと卒業パーティ会場から王宮へ向かう。
ゼブロンは自分が住まう王宮で集めた意見が自分と食い違っていることに茫然とする。
*別サイトにアップ済みで、加筆改稿しています。
*約2万字の短編です。
*完結しています。
*11月8日22時に1、2、3話、11月9日10時に4、5、最終話を投稿します。
あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~
けいこ
恋愛
密かに想いを寄せていたあなたとのとろけるような一夜の出来事。
好きになってはいけない人とわかっていたのに…
夢のような時間がくれたこの大切な命。
保育士の仕事を懸命に頑張りながら、可愛い我が子の子育てに、1人で奔走する毎日。
なのに突然、あなたは私の前に現れた。
忘れようとしても決して忘れることなんて出来なかった、そんな愛おしい人との偶然の再会。
私の運命は…
ここからまた大きく動き出す。
九条グループ御曹司 副社長
九条 慶都(くじょう けいと) 31歳
×
化粧品メーカー itidouの長女 保育士
一堂 彩葉(いちどう いろは) 25歳
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる