182 / 200
第二十七話 ロズの訪問
2
しおりを挟むティア姫の首筋にはしっかりルウドの付けた痕が残っている。
「あんな事までしておいて、逃げ道とかもうないわよ。観念したら?」
「……」
ルウドは背中に冷たい汗をかく。
どうしよう?どう言い訳したらいいんだ?
「…‥ええと、それは、ですからお仕置きと……」
「……へえ…‥?」
ティア姫の目が据わっている。
「愛しい人って言ったわよね?これを証拠にルウドに責任とってもらっていいかしら?」
「なななな、何を…?」
「お父様に言えば確実よね?私の勝ちだわ」
「―――――!なななななな、何言っているのです?大体あなたが悪いのでしょう?夜中に男の部屋に忍び込むようなまねをするから。
そんな事をしたと知られたらお叱りを受けますよ?」
「ルウドの部屋にしか忍び込まないわよ」
「やめてください!それなんて言うか知っていますか?それが姫様のする事ですか?」
「だってルウドが悪いのよ?私のものを取り上げたりするから…」
「…って、あなたまだ…!」
二人の会話に耐えられなくなってきたロズが、速やかに退避したゾフィーのいる外へとそそくさと逃げ去って行った。
ルウドは姫の視線から逃げられずに対峙する。
「……あれの事はもう忘れて下さいと……」
「忘れないし、諦めないわ。けして。ルウドも、真実の書も」
「…………諦めが肝心な事もあるでしょう?」
「私の辞書にはそんな言葉はないわ」
「……お願いですからやめて下さい」
「いやよ。ねえルウド、ロレイアで何を知ったの?」
「……!」
「私に知られてはまずい事なの?」
「……何も…‥」
「…ルウド、私に隠し事、意外と多いわよね?昔はあなたの事で知らないことなんてなかったのに…」
「………不可効力じゃないですか。大人なんですから、姫に知られちゃまずい事くらい幾らでもあります」
「そんなにあるんだ。ルウドは私の事、身体の隅まで知っているのに。不公平だわ」
「誤解を招く言い方はやめて下さい。そんなに知りませんよ」
「ルウドは最近一人で何をしているのかしら?」
「……何もしていませんよ?」
「……」
「…‥…」
二人の間に静寂と冷たい空気が流れる。
「……ルウド」
「…‥何か?」
「秘密はいずればれるものよ?何時までも隠し通せるなんて思わないことね」
「……」
ルウドは外へ避難した二人を呼びに行った。
「済まない、ロズ、ゾフィー殿」
「もう話は終わったのかい?」
「その、とりあえず…」
「お姫様に弱いんだね」
「……」
客部屋に入ってルウドは改めてロズを紹介する。
「姫様、旅人のロズアルドです」
「…‥ふうん」
ティア姫は何故か不機嫌そうにロズを見る。
「あ、はじめまして。ロズと呼んでください姫様」
「…‥旅人のロズアルドね。覚えておくわ」
「有難うございます」
ロズはにこにこ笑っているがルウドは姫の言葉に不穏なものを感じた。
姫の言葉に裏がある様に思えるのは気のせいだろうか?
「あの、私は歴史に関する研究をしていて、この国に関する歴史を調べに来たのです。姫が本をお持ちと聞きまして。できれば閲覧させていただきたいのです」
「国の歴史に関する本はそれ専用の書庫にあるわよ。私が持っている本は歴史とはあまり関係ないわ。それの関係する本ならこの塔に置いてあるロレイアから借りてきたのがあるけど?」
「それは興味深い。読ませて頂いても宜しいでしょうか?」
「いいわよ。二階の部屋に沢山置いてあるから」
ロズは喜んで二階に本を捜しに行った。
「…‥姫様‥」
「何よルウド?人手が足りないのだからいいでしょう?当人も望んでいるし」
結局ロズは塔でティア姫の手伝いをさせられ一日を費やした。
城を出て街へ帰る頃には日が暮れきっていた。
0
あなたにおすすめの小説
崖っぷち令嬢の生き残り術
甘寧
恋愛
「婚約破棄ですか…構いませんよ?子種だけ頂けたらね」
主人公であるリディアは両親亡き後、子爵家当主としてある日、いわく付きの土地を引き継いだ。
その土地に住まう精霊、レウルェに契約という名の呪いをかけられ、三年の内に子供を成さねばならなくなった。
ある満月の夜、契約印の力で発情状態のリディアの前に、不審な男が飛び込んできた。背に腹はかえられないと、リディアは目の前の男に縋りついた。
知らぬ男と一夜を共にしたが、反省はしても後悔はない。
清々しい気持ちで朝を迎えたリディアだったが……契約印が消えてない!?
困惑するリディア。更に困惑する事態が訪れて……
とめどなく波が打ち寄せるように
月山 歩
恋愛
男爵令嬢のセシルは、従者と秘密の恋をしていた。彼が従者長になったら、父に打ち明けて、交際を認めてもらうつもりだった。けれども、それを知った父は嘘の罪を被せて、二人の仲を割く。数年後再会した二人は、富豪の侯爵と貧困にあえぐ男爵令嬢になっていた。そして、彼は冷たい瞳で私を見下した。
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
契約結婚のススメ
文月 蓮
恋愛
研究一筋に生きてきた魔導士のレティシアは、研究を続けるために父に命じられた結婚をしかたなく承諾する。相手は社交界の独身女性憧れの的であるヴィラール侯爵アロイス。だが、アロイスもまた結婚を望んでいなかったことを知り、契約結婚を提案する。互いの思惑が一致して始まった愛のない結婚だったが、王の婚約者の護衛任務を受けることになったレティシアとアロイスの距離は徐々に縮まってきて……。シリアスと見せかけて、コメディです。「ムーンライトノベルズ」にも投稿しています。
起きたら猫に!?~夫の本音がだだ漏れです~
水中 沈
恋愛
(猫になっちゃった!!?)
政務官の夫と大喧嘩した翌朝、目が覚めたら猫になっていたアネット。
パニックになって部屋を飛び出し、行き着いた先は夫、マリウスの執務室だった。
(どうしよう。気まずいわ)
直ぐに立ち去りたいが扉を開けようにも猫の手じゃ無理。
それでも何とか奮闘していると、マリウスがアネット(猫)に気付いてしまう。
「なんでこんなところに猫が」
訝しそうにするマリウスだったが、彼はぽつりと「猫ならいいか」と言って、誰の前でも話さなかった本音を語り始める。
「私は妻を愛しているんだが、どうやったら上手く伝えられるだろうか…」
無口なマリウスの口から次々と漏れるアネットへの愛と真実。
魔法が解けた後、二人の関係は…
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー
「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」
微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。
正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
菱沼あゆ
恋愛
ご先祖さまの残した証文のせいで、ホテル王 有坂桔平(ありさか きっぺい)と戸籍上だけの婚姻関係を結んでいる花木真珠(はなき まじゅ)。
一度だけ結婚式で会った桔平に、
「これもなにかの縁でしょう。
なにか困ったことがあったら言ってください」
と言ったのだが。
ついにそのときが来たようだった。
「妻が必要になった。
月末までにドバイに来てくれ」
そう言われ、迎えに来てくれた桔平と空港で待ち合わせた真珠だったが。
……私の夫はどの人ですかっ。
コンタクト忘れていった結婚式の日に、一度しか会っていないのでわかりません~っ。
よく知らない夫と結婚以来、初めての再会でいきなり旅に出ることになった真珠のドバイ旅行記。
ちょっぴりモルディブです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる