意地悪姫の反乱

相葉サトリ

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第二十七話 ロズの訪問

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 ティア姫の首筋にはしっかりルウドの付けた痕が残っている。

「あんな事までしておいて、逃げ道とかもうないわよ。観念したら?」

「……」

 ルウドは背中に冷たい汗をかく。
 どうしよう?どう言い訳したらいいんだ?

「…‥ええと、それは、ですからお仕置きと……」

「……へえ…‥?」

 ティア姫の目が据わっている。

「愛しい人って言ったわよね?これを証拠にルウドに責任とってもらっていいかしら?」

「なななな、何を…?」

「お父様に言えば確実よね?私の勝ちだわ」

「―――――!なななななな、何言っているのです?大体あなたが悪いのでしょう?夜中に男の部屋に忍び込むようなまねをするから。
 そんな事をしたと知られたらお叱りを受けますよ?」

「ルウドの部屋にしか忍び込まないわよ」

「やめてください!それなんて言うか知っていますか?それが姫様のする事ですか?」

「だってルウドが悪いのよ?私のものを取り上げたりするから…」

「…って、あなたまだ…!」

 二人の会話に耐えられなくなってきたロズが、速やかに退避したゾフィーのいる外へとそそくさと逃げ去って行った。
 ルウドは姫の視線から逃げられずに対峙する。

「……あれの事はもう忘れて下さいと……」

「忘れないし、諦めないわ。けして。ルウドも、真実の書も」

「…………諦めが肝心な事もあるでしょう?」

「私の辞書にはそんな言葉はないわ」

「……お願いですからやめて下さい」

「いやよ。ねえルウド、ロレイアで何を知ったの?」

「……!」

「私に知られてはまずい事なの?」

「……何も…‥」

「…ルウド、私に隠し事、意外と多いわよね?昔はあなたの事で知らないことなんてなかったのに…」

「………不可効力じゃないですか。大人なんですから、姫に知られちゃまずい事くらい幾らでもあります」

「そんなにあるんだ。ルウドは私の事、身体の隅まで知っているのに。不公平だわ」

「誤解を招く言い方はやめて下さい。そんなに知りませんよ」

「ルウドは最近一人で何をしているのかしら?」

「……何もしていませんよ?」

「……」

「…‥…」

 二人の間に静寂と冷たい空気が流れる。

「……ルウド」

「…‥何か?」

「秘密はいずればれるものよ?何時までも隠し通せるなんて思わないことね」

「……」

 ルウドは外へ避難した二人を呼びに行った。

「済まない、ロズ、ゾフィー殿」

「もう話は終わったのかい?」

「その、とりあえず…」

「お姫様に弱いんだね」

「……」

 客部屋に入ってルウドは改めてロズを紹介する。

「姫様、旅人のロズアルドです」

「…‥ふうん」

 ティア姫は何故か不機嫌そうにロズを見る。

「あ、はじめまして。ロズと呼んでください姫様」

「…‥旅人のロズアルドね。覚えておくわ」

「有難うございます」

 ロズはにこにこ笑っているがルウドは姫の言葉に不穏なものを感じた。
 姫の言葉に裏がある様に思えるのは気のせいだろうか?

「あの、私は歴史に関する研究をしていて、この国に関する歴史を調べに来たのです。姫が本をお持ちと聞きまして。できれば閲覧させていただきたいのです」

「国の歴史に関する本はそれ専用の書庫にあるわよ。私が持っている本は歴史とはあまり関係ないわ。それの関係する本ならこの塔に置いてあるロレイアから借りてきたのがあるけど?」

「それは興味深い。読ませて頂いても宜しいでしょうか?」

「いいわよ。二階の部屋に沢山置いてあるから」

 ロズは喜んで二階に本を捜しに行った。

「…‥姫様‥」

「何よルウド?人手が足りないのだからいいでしょう?当人も望んでいるし」

 結局ロズは塔でティア姫の手伝いをさせられ一日を費やした。
 城を出て街へ帰る頃には日が暮れきっていた。






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