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第二十七話 ロズの訪問
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しおりを挟む午前中にお城に入り、魔術師の塔で姫様がロレイアから借りて来たという書物を調べていると一刻も待たずにティア姫様がやってきた。
なんだか顔が険しく不機嫌そうだ。
ロズは場を和ませるべく姫に笑顔で挨拶し、それから気を使って黙々と調べ物をしていた。
ティア姫様は何も言わず、しかし不機嫌そうに書物を調べ始める。
ここ数日で姫様の気性は理解して気を使っていたが、本日はどうにも様子がおかしい。
なんだか不機嫌そうに、それでも何を言うでもなく、時折ちらちらとロズを見ている。
「…‥」
なんだろう?
ロズは数分と掛からず居たたまれなくなった。
ティア姫は普段は思った事はスパスパ言う性分である。
なのに不機嫌そうに何も言わないと言うのはどう言う事だろう?
ロズはこの空気に耐えられなくなり口火を切る。
「…あの?姫様、どうかされましたか?」
「……何が?」
「…何か私、不快な事をしてしまったでしょうか?」
「……」
「でしたら申し訳ありませんが、言っていただけませんと直せないのですが」
「……そうね、どう言っていいのかしら…?」
「え…?」
ティア姫が真っすぐにロズを見据える。
「―――あなた、何をしているのかしら?」
「え?調べ物を」
「違うわ。そもそもあなた、旅人って言ったわね?目的はこの国の歴史探索?」
「そうですよ」
「その前に誘拐されたルウドを助けたそうね?」
「ええ偶然」
「偶然?あんな盗賊が商売してる道、旅人でも近づかないわよ。山の中の小屋なんて盗賊が見逃すはずないでしょ?ありえないわ」
「え、そう言われましても…」
「誘拐されたルウドが馬車から飛び降りることを想定していた人なんて誘拐犯の関係者でなければ思いつかないわ」
「…‥私、誘拐の容疑が掛かっているのですか?でも私に何のメリットがありますか?」
「あの場所にいなければルウドを助ける事も出来ず、近づく事もなかったわ。この城に入る事もなかった」
「私がルウドさんを利用して城に入ったと。そう取られても仕方がありませんが、だからそれがなんだと言うのです?」
「そうじゃないわ。ルウドを利用するならわざわざ誘拐を企む理由なんか無いもの。あなたがあの場でルウドと出会ったのは、元々ルウドが目的だったからでしょう?」
「ええ?どうしてそうなるのです?考え過ぎですよ、あそこで会ったのは本当に偶然です」
「信じないわ。それにここ数日、国の歴史を調べるとか言って本当は誰の歴史を調べてるのよ?ルウドをどうしようとしているのよ?」
睨む姫にロズは困ったように微笑む。
「そんな誤解ですよ。私は何もしていません。何か確たる証拠でもあるのですか?」
「…‥ないわ、今の所はね」
「姫様はルウドさんに近づくものをいちいち疑われるのですか?だとしてもルウドさんは強い騎士ですししっかりした意志の堅い大人の男でしょう?そんなに心配する必要があるのですか?」
「心配しちゃいけないの?ルウドの身辺が不穏なのよ?誰かがルウドをどこかへ連れ出そうとしている気がしてならないわ」
「考え過ぎです。ルウドさんはちゃんと考えて動ける人でしょう?」
「含みのある言い方するわね」
「ルウドさんの考えを私が知る筈もないですから」
「ルウドに何かしたら許さないわ」
「何もしませんよ、けして」
「そう…」
まだ疑わしい視線の姫はとりあえず追及するのをやめて黙った。
ロズはほっと肩を撫で下ろし、笑みを漏らす。
―――――全くなんという勘の鋭さ
それはティア姫故の事か、女性故の事か、それとも魔女の能力なのだろうか。
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