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第二十八話 魔法の鍵の物語
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しおりを挟むがれきのお城を出て仮宿の村長の家に連れていかれた。
家に入るとたくさんの食事が用意されていた。
「・・・・あの、こんなにたくさん。申し訳ない」
「どうぞ、遠慮なさらず。一日何も食べていないならなおさら、たくさん召し上がってください」
村長がニコニコという。何か不自然なものを感じたがルウドは黙って席に着く。
ロズは向かいに座りニコニコとルウドを見ている。
「・・・ロズは食べないのか?」
「僕は大丈夫だよ、先にいただいた」
「・・・・そうか、その、本当に済まない。丸一日も待たせてしまったか」
「いいんだよ。君が扉を開けてくれたから。やはり僕の見込んだとおりだった」
「・・・・・?」
ルウドはとりあえず目の前の食事を片付ける。さすがに一日何も食べていなかったせいか食べ始めたらあっさり全部片付いた。
「ごちそうさまでした。後でお礼を」
「いやいやとんでもない、良いのですよ。そんなのは」
「・・・?しかしそういうわけには」
「どうぞおきになさらず」
「・・・・・・?」
不自然すぎる。ニコニコ笑うロズも、村長も。
なんなんだ?とルウドが口を開く前にロズが話し始める。
「この村の人たちはずっと昔からここに住んでいるんだ。といっても昔他国に攻め落とされてこの地を追われたんだけどね。
今はもう領主は変わってしまっているけどそれでもここに戻ってきた。
旧アルメディア公国の子孫なんだよ。
彼らはもうずっと言い伝えに倣いここであるじを待っているんだ」
「そうなのか。しかし・・・」
「主は現れないかもしれない。だけどどこかで必ず生きているはずだと信じている。
それがかの偉大なる先祖が残した遺言だからね」
「・・・・・・」
「ルウド、君は知ってる?
アルメディアの王は魔法のカギを持っていて魔法の扉を開けることができることを」
「・・・・・いや」
「だけど君は開けたよね?誰も入れない魔法の扉を」
「・・・・・」
「ごめんね。ここに来れば必ず君は宝を見つけると僕は確信して君をここに導いた」
「なぜ・・・?」
「僕もアルメディア貴族の末裔だから。ずっと探していたんだ」
「なんのために・・・・・」
ルウドは茫然と二人を眺める。
ロズと村長はただ嬉しそうに笑う。
「見つけて確信を持つまでに長い時がかかったけどようやく見つけた。僕たちの王」
「・・・・・・・」
それは遠い遠いはるか昔の物語。
たとえ物語の残骸を見つけてもそれは残骸でしかない。
たとえ今ここにいる人たちが物語の末裔と知ってもそれはもうすべて過去の話。
そして遠い昔を懐かしめるほどの何かをルウドは持っていない。
彼らにかける言葉すらルウドには思いつかない。
そして長く王を望む彼らの思いすら見当もつかない。
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