59 / 200
第十話 薬品の効能と大きな弊害
5
しおりを挟む
一仕事終えたゾフィーは休憩していた。
毒消しの大量増産を上からも求められているが元々猛毒である薬を大量に増産など出来ない。少しづつ、必要量だけを街に流す手はずになっている。
そして街に流れる毒はゾフィーの元に渡る事になっている。
だがまだ毒を持って帰る筈のルウドが帰ってこない。
お茶を飲んでひとりでぼんやりしていると外から誰かが入ってきた。
ティア姫がドアを開けて顔を出す。
「ゾフィー、終わったの?」
「まあ一応。街の状況が分からねば簡単に作れるものでもありませんしね」
「そうねえ。街の毒を調べないと」
「その毒がまだ来ないのですよ。上からの情報も流れてきませんし、しばし待機ですね」
ティア姫は椅子に座り、ゾフィーが出したお茶を飲む。
「ゾフィーは街に出ないの?気になるのではなくて?」
「私が出ると気味悪がって騒ぎ出す人達がいるでしょう?」
「そうかしら?気になるなら村人の格好すればいいのに」
「嫌ですそれは。魔法使いなのに」
「………使いは誰を出したの?ちゃんとコールに届けているでしょうね。この事態に寄り道なんて駄目な使いね」
「……ルウドさんですから、間違いはないと思います」
「………そう……」
「姫様の研究は進まれたので?」
「ううん、疲れたから出てきたのよ。気分転換と様子見に。もうすぐ昼よ、食事にもいかないと」
窓の外を覗くと相変わらずの青い空が広がっている。日差しが強めで外に出ると少々汗ばむ。
「―――――ティア様」
誰かの足音がしてドアを見ると騎士が姫に声を掛けてまた何かのメモを渡した。
最近この光景が目に入る。余りいい予感はしない。
「また何かあったのですか?」
「うーん、街の情報をね。コールもとある商人を捜し回っているみたい」
「ルウドさんは…?」
「さあ?帰り遅くなるかしらね」
「……」
街はどうやら混乱の最中にあるらしい。とある商人て何だ?
重症者は続々と出ているらしいのにこれでいいのか?
「どこかの商人が毒消しを売りさばいて荒稼ぎしているようだから重症者の心配はないでしょうけど、毒を撒く犯人が見つかってないみたいね」
「………毒消しを売るなんて……。犯人って……、姫様、何か画策していませんか?」
「何もしてないったら。街で犯人捜しはさせてるけど」
「毒を売る商人の手がかりは見つかったのですか?商人から客の名を聞かねばどうにもならないでしょう?」
「目星は付けてあるのよね。あとはどうやって吐かせるかだけど」
「ティア様自ら出向くようなまねはくれぐれもおやめ下さい。でないとルウド隊長に言いつけますよ」
「……しないわ。下僕達に任せるから」
残念そうにティア姫は呟く。半分くらいは自ら出向く気があったようだ。
「面倒ですね。商人と顧客、そして商人に毒を売らせた黒幕を見つけなければ終わらないでしょうし」
「こんな事が出来る黒幕なんて貴族位しか考えられないし、この国の貴族がそんな事をするメリットがさっぱり分からないわ」
「他国人であっても分かりません。国に対する怨恨とかですかね?」
「そんな、他国人に恨まれるようなことなんて……」
「…………」
心当たりがあり過ぎる。さすがのティア姫も思い当たるのか口を閉ざした。
「………」
「………」
「と、ともあれこの件は皇子の管轄です。これより先は皇子に任せるべきです。黒幕が貴族ならばやはり皇子の手が必要ですし」
「そうね、お兄様からの情報が重要ね。でも私に教えてくれるかしら?……教えてくれなくても知る方法はあるけど。やっぱりもう少し街からの情報が欲しいわ」
「…ひ、姫様。待っていても情報はくるでしょう?待っていましょう」
「詰まらないわ、ルウドも帰ってこないし」
「ルウドさんももうすぐ帰ってきますよ。使いで行ったのですから」
「……そうね」
ティア姫はお茶を飲んで一息ついてから、昼食へ行くと出て行った。
それから半時ほどしてからようやくルウド隊長が戻ってきた。
「遅かったですね、何かあったのですか?」
「それが……」
ルウドが街の出来事を話す。聞いたゾフィーも思い悩む。
「………」
「……ゾ、ゾフィー殿…。姫様は今?」
「昼食へ行きました」
「栄養剤の効能がどうも姫の薬と似ているのですがまさか…?」
「街の商人に薬を横流ししているなんてことはまさかそんな…」
「街に出ない姫がそんな事出来るわけないですよねえ…?」
「………そうですね…‥」
証拠はない。だがあやしい。
姫に仕える部下を使えば出来ない事ははないのだ。
しかし今の段階ではゾフィーには何とも言えようがない。
毒消しの大量増産を上からも求められているが元々猛毒である薬を大量に増産など出来ない。少しづつ、必要量だけを街に流す手はずになっている。
そして街に流れる毒はゾフィーの元に渡る事になっている。
だがまだ毒を持って帰る筈のルウドが帰ってこない。
お茶を飲んでひとりでぼんやりしていると外から誰かが入ってきた。
ティア姫がドアを開けて顔を出す。
「ゾフィー、終わったの?」
「まあ一応。街の状況が分からねば簡単に作れるものでもありませんしね」
「そうねえ。街の毒を調べないと」
「その毒がまだ来ないのですよ。上からの情報も流れてきませんし、しばし待機ですね」
ティア姫は椅子に座り、ゾフィーが出したお茶を飲む。
「ゾフィーは街に出ないの?気になるのではなくて?」
「私が出ると気味悪がって騒ぎ出す人達がいるでしょう?」
「そうかしら?気になるなら村人の格好すればいいのに」
「嫌ですそれは。魔法使いなのに」
「………使いは誰を出したの?ちゃんとコールに届けているでしょうね。この事態に寄り道なんて駄目な使いね」
「……ルウドさんですから、間違いはないと思います」
「………そう……」
「姫様の研究は進まれたので?」
「ううん、疲れたから出てきたのよ。気分転換と様子見に。もうすぐ昼よ、食事にもいかないと」
窓の外を覗くと相変わらずの青い空が広がっている。日差しが強めで外に出ると少々汗ばむ。
「―――――ティア様」
誰かの足音がしてドアを見ると騎士が姫に声を掛けてまた何かのメモを渡した。
最近この光景が目に入る。余りいい予感はしない。
「また何かあったのですか?」
「うーん、街の情報をね。コールもとある商人を捜し回っているみたい」
「ルウドさんは…?」
「さあ?帰り遅くなるかしらね」
「……」
街はどうやら混乱の最中にあるらしい。とある商人て何だ?
重症者は続々と出ているらしいのにこれでいいのか?
「どこかの商人が毒消しを売りさばいて荒稼ぎしているようだから重症者の心配はないでしょうけど、毒を撒く犯人が見つかってないみたいね」
「………毒消しを売るなんて……。犯人って……、姫様、何か画策していませんか?」
「何もしてないったら。街で犯人捜しはさせてるけど」
「毒を売る商人の手がかりは見つかったのですか?商人から客の名を聞かねばどうにもならないでしょう?」
「目星は付けてあるのよね。あとはどうやって吐かせるかだけど」
「ティア様自ら出向くようなまねはくれぐれもおやめ下さい。でないとルウド隊長に言いつけますよ」
「……しないわ。下僕達に任せるから」
残念そうにティア姫は呟く。半分くらいは自ら出向く気があったようだ。
「面倒ですね。商人と顧客、そして商人に毒を売らせた黒幕を見つけなければ終わらないでしょうし」
「こんな事が出来る黒幕なんて貴族位しか考えられないし、この国の貴族がそんな事をするメリットがさっぱり分からないわ」
「他国人であっても分かりません。国に対する怨恨とかですかね?」
「そんな、他国人に恨まれるようなことなんて……」
「…………」
心当たりがあり過ぎる。さすがのティア姫も思い当たるのか口を閉ざした。
「………」
「………」
「と、ともあれこの件は皇子の管轄です。これより先は皇子に任せるべきです。黒幕が貴族ならばやはり皇子の手が必要ですし」
「そうね、お兄様からの情報が重要ね。でも私に教えてくれるかしら?……教えてくれなくても知る方法はあるけど。やっぱりもう少し街からの情報が欲しいわ」
「…ひ、姫様。待っていても情報はくるでしょう?待っていましょう」
「詰まらないわ、ルウドも帰ってこないし」
「ルウドさんももうすぐ帰ってきますよ。使いで行ったのですから」
「……そうね」
ティア姫はお茶を飲んで一息ついてから、昼食へ行くと出て行った。
それから半時ほどしてからようやくルウド隊長が戻ってきた。
「遅かったですね、何かあったのですか?」
「それが……」
ルウドが街の出来事を話す。聞いたゾフィーも思い悩む。
「………」
「……ゾ、ゾフィー殿…。姫様は今?」
「昼食へ行きました」
「栄養剤の効能がどうも姫の薬と似ているのですがまさか…?」
「街の商人に薬を横流ししているなんてことはまさかそんな…」
「街に出ない姫がそんな事出来るわけないですよねえ…?」
「………そうですね…‥」
証拠はない。だがあやしい。
姫に仕える部下を使えば出来ない事ははないのだ。
しかし今の段階ではゾフィーには何とも言えようがない。
0
あなたにおすすめの小説
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
転生令嬢はやんちゃする
ナギ
恋愛
【完結しました!】
猫を助けてぐしゃっといって。
そして私はどこぞのファンタジー世界の令嬢でした。
木登り落下事件から蘇えった前世の記憶。
でも私は私、まいぺぇす。
2017年5月18日 完結しました。
わぁいながい!
お付き合いいただきありがとうございました!
でもまだちょっとばかり、与太話でおまけを書くと思います。
いえ、やっぱりちょっとじゃないかもしれない。
【感謝】
感想ありがとうございます!
楽しんでいただけてたんだなぁとほっこり。
完結後に頂いた感想は、全部ネタバリ有りにさせていただいてます。
与太話、中身なくて、楽しい。
最近息子ちゃんをいじってます。
息子ちゃん編は、まとめてちゃんと書くことにしました。
が、大まかな、美味しいとこどりの流れはこちらにひとまず。
ひとくぎりがつくまでは。
迎えに行ったら、すでに君は行方知れずになっていた
月山 歩
恋愛
孤児院で育った二人は彼が貴族の息子であることから、引き取られ離れ離れになる。好きだから、一緒に住むために準備を整え、迎えに行くと、少女はもういなくなっていた。事故に合い、行方知れずに。そして、時をかけて二人は再び巡り会う。
崖っぷち令嬢の生き残り術
甘寧
恋愛
「婚約破棄ですか…構いませんよ?子種だけ頂けたらね」
主人公であるリディアは両親亡き後、子爵家当主としてある日、いわく付きの土地を引き継いだ。
その土地に住まう精霊、レウルェに契約という名の呪いをかけられ、三年の内に子供を成さねばならなくなった。
ある満月の夜、契約印の力で発情状態のリディアの前に、不審な男が飛び込んできた。背に腹はかえられないと、リディアは目の前の男に縋りついた。
知らぬ男と一夜を共にしたが、反省はしても後悔はない。
清々しい気持ちで朝を迎えたリディアだったが……契約印が消えてない!?
困惑するリディア。更に困惑する事態が訪れて……
死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。
藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」
街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。
だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!?
街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。
彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った!
未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!?
「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」
運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
契約結婚のススメ
文月 蓮
恋愛
研究一筋に生きてきた魔導士のレティシアは、研究を続けるために父に命じられた結婚をしかたなく承諾する。相手は社交界の独身女性憧れの的であるヴィラール侯爵アロイス。だが、アロイスもまた結婚を望んでいなかったことを知り、契約結婚を提案する。互いの思惑が一致して始まった愛のない結婚だったが、王の婚約者の護衛任務を受けることになったレティシアとアロイスの距離は徐々に縮まってきて……。シリアスと見せかけて、コメディです。「ムーンライトノベルズ」にも投稿しています。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる