意地悪姫の反乱

相葉サトリ

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第十話 薬品の効能と大きな弊害

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 一仕事終えたゾフィーは休憩していた。
 毒消しの大量増産を上からも求められているが元々猛毒である薬を大量に増産など出来ない。少しづつ、必要量だけを街に流す手はずになっている。
 そして街に流れる毒はゾフィーの元に渡る事になっている。
 だがまだ毒を持って帰る筈のルウドが帰ってこない。

 お茶を飲んでひとりでぼんやりしていると外から誰かが入ってきた。
 ティア姫がドアを開けて顔を出す。

「ゾフィー、終わったの?」

「まあ一応。街の状況が分からねば簡単に作れるものでもありませんしね」

「そうねえ。街の毒を調べないと」

「その毒がまだ来ないのですよ。上からの情報も流れてきませんし、しばし待機ですね」

 ティア姫は椅子に座り、ゾフィーが出したお茶を飲む。

「ゾフィーは街に出ないの?気になるのではなくて?」

「私が出ると気味悪がって騒ぎ出す人達がいるでしょう?」

「そうかしら?気になるなら村人の格好すればいいのに」

「嫌ですそれは。魔法使いなのに」

「………使いは誰を出したの?ちゃんとコールに届けているでしょうね。この事態に寄り道なんて駄目な使いね」

「……ルウドさんですから、間違いはないと思います」

「………そう……」

「姫様の研究は進まれたので?」

「ううん、疲れたから出てきたのよ。気分転換と様子見に。もうすぐ昼よ、食事にもいかないと」

 窓の外を覗くと相変わらずの青い空が広がっている。日差しが強めで外に出ると少々汗ばむ。

「―――――ティア様」

 誰かの足音がしてドアを見ると騎士が姫に声を掛けてまた何かのメモを渡した。
 最近この光景が目に入る。余りいい予感はしない。

「また何かあったのですか?」

「うーん、街の情報をね。コールもとある商人を捜し回っているみたい」

「ルウドさんは…?」

「さあ?帰り遅くなるかしらね」

「……」

 街はどうやら混乱の最中にあるらしい。とある商人て何だ?
 重症者は続々と出ているらしいのにこれでいいのか?

「どこかの商人が毒消しを売りさばいて荒稼ぎしているようだから重症者の心配はないでしょうけど、毒を撒く犯人が見つかってないみたいね」

「………毒消しを売るなんて……。犯人って……、姫様、何か画策していませんか?」

「何もしてないったら。街で犯人捜しはさせてるけど」

「毒を売る商人の手がかりは見つかったのですか?商人から客の名を聞かねばどうにもならないでしょう?」

「目星は付けてあるのよね。あとはどうやって吐かせるかだけど」

「ティア様自ら出向くようなまねはくれぐれもおやめ下さい。でないとルウド隊長に言いつけますよ」

「……しないわ。下僕達に任せるから」

 残念そうにティア姫は呟く。半分くらいは自ら出向く気があったようだ。

「面倒ですね。商人と顧客、そして商人に毒を売らせた黒幕を見つけなければ終わらないでしょうし」

「こんな事が出来る黒幕なんて貴族位しか考えられないし、この国の貴族がそんな事をするメリットがさっぱり分からないわ」

「他国人であっても分かりません。国に対する怨恨とかですかね?」

「そんな、他国人に恨まれるようなことなんて……」

「…………」

 心当たりがあり過ぎる。さすがのティア姫も思い当たるのか口を閉ざした。

「………」

「………」

「と、ともあれこの件は皇子の管轄です。これより先は皇子に任せるべきです。黒幕が貴族ならばやはり皇子の手が必要ですし」

「そうね、お兄様からの情報が重要ね。でも私に教えてくれるかしら?……教えてくれなくても知る方法はあるけど。やっぱりもう少し街からの情報が欲しいわ」

「…ひ、姫様。待っていても情報はくるでしょう?待っていましょう」

「詰まらないわ、ルウドも帰ってこないし」

「ルウドさんももうすぐ帰ってきますよ。使いで行ったのですから」

「……そうね」

 ティア姫はお茶を飲んで一息ついてから、昼食へ行くと出て行った。
 それから半時ほどしてからようやくルウド隊長が戻ってきた。

「遅かったですね、何かあったのですか?」

「それが……」

 ルウドが街の出来事を話す。聞いたゾフィーも思い悩む。

「………」

「……ゾ、ゾフィー殿…。姫様は今?」

「昼食へ行きました」

「栄養剤の効能がどうも姫の薬と似ているのですがまさか…?」

「街の商人に薬を横流ししているなんてことはまさかそんな…」

「街に出ない姫がそんな事出来るわけないですよねえ…?」

「………そうですね…‥」

 証拠はない。だがあやしい。
 姫に仕える部下を使えば出来ない事ははないのだ。
 しかし今の段階ではゾフィーには何とも言えようがない。




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