【短編版】最強悪役令嬢は婚約破棄なんてしない〜ただヒロインを魔王に売り飛ばす〜だって殿下は私のものだもの

降魔 鬼灯

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前編

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 私、ロザリモンド・バルタインは悪役令嬢だ。

 骨の髄までずっぽりと。

 まばゆいばかりに透明感のある白い肌、完璧縦ロールのツヤツヤ髪、ぱっちり二重の完璧な容姿。

 加えて筆頭公爵家の娘という権力に国一番の魔力量。明晰すぎる頭脳。

 くぅーっ。私ってば本当に完璧だわ。


 そんな私が悪役令嬢だなんて、何故そんな事がわかるかって?

 そりゃあ、バルタイン公爵家に伝わる、家宝の鏡が教えてくれたから。

 それは、大昔に滅亡した国の姫君が嫁いできた時に持参した鏡で、一生に一度だけ亡くなる時の光景を見る事が出来るというすごい代物なのよね。

 16歳の誕生日。ワクワクしながら見たわ。

 大好きなダリオン殿下との婚約も決まって、幸せの絶頂の私が見たのは……。


 未来がわかるって辛いのね。なまじ、魔力量が人と比べてしこたまあるから、鏡は私の短すぎる人生だけでは飽き足らずその後の世界まで嫌と言うほど見せてくれたわ。

 
 私が権力に物を言わせて必死でもぎとったダリオン殿下の婚約者の座は、真実の愛とやらを見つけた殿下によって覆されるの。とほほ。

 物語にありがちな男爵が引き取った娘コリンヌが天真爛漫でめちゃくちゃ可愛いのよ。
 そしてその明るさに心に闇を抱えた殿下やその取巻き達が癒されるの。

 そして完璧令嬢の私が出てきて、『人前で殿下に対して馴れ馴れしすぎます。わきまえなさい。』と当たり前の事を言ってたしなめただけなのに……。

 殿下とその取巻きに断罪されて処刑されるのよね。妃教育の教師に聞いてみなさいな、完璧な対応だと思うわ。だけど、華やかすぎる私は野の花のような庶民育ちの娘と比べたら、どうしても悪い子に見えてしまうのね。


 ええ。大丈夫よ(涙目)覚悟は出来たわ。

 何で正論をいっただけなのに処刑なんて割に合わなさすぎるって思うけどね。


 だけどね。


 私、殿下には幸せになって欲しいのよ。

 だって、殿下は子供の頃王宮で兄とはぐれて困っていた時に助けてくれたヒーローだもの。

 
 はっきり言って、コリンヌとの未来に希望は無いわ。

 コリンヌをいじめてサクッと処刑される悪役令嬢が何を言うんだって思ってるやつ、いる?

 あっ、以外とたくさんいるのね(泣)

 でもね、物語のようにめでたしめでたしでは終わらないのが人生なのよ。

 実はコリンヌが魔王の番で……。

 殿下や取巻き達にとってコリンヌが大切なのはわかるわ。

 わかるんだけど、魔王の番って生涯ただ一人だけの魂レベルの惹かれ方するわけよ。それを謎正論で引き裂いちゃいかんのですよ。


 彼女をめぐって恋の鞘当てをしている間に、国は瘴気が溢れて作物が育たなくなるのよ。そうして、我がジグゼン王国の国土はヒビ割れた不毛の大地となるの。
 
 やがて、疫病が蔓延し略奪殺戮の治安の乱れたこのジグゼン王国は革命によって滅びるの。
 あまりに荒れ果てすぎて、周辺諸国も侵攻してこないぐらいの酷い有様なのよね。

 最後は亡国の王子となった満身創痍のダリオン殿下が彼女を取り返しに黄泉の国まで潜っていくんだけど。もう、コリンヌは黄泉の国の食べ物を口にしていて……。そこ、普通に死んでますから。

 つーか、私が処刑される前に出てこいや魔王!

 てなことで、私、今からコリンヌを探しだして、魔王に生贄として捧げる所存。

 ホーッホッホッホ

 コリンヌ、首を洗って待ってらっしゃい。

 あっ、あとその前に処刑の時、後悔した事は全てやりつくしておきましょう。
 ダリオン殿下、あなたも首を洗ってまってらっしゃい。私の初恋を踏みにじった罰を受けてもらうわ。

 ホーッホッホッホ


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