【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯

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セレナーデ

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 未成年で無くなった今、オメガの発情に巻き込まれたからといって、アルファは罪に問われない。

 それどころか、オメガであることを司に言わずに部屋でふたりきりのこの状況でヒートになれば訴えられることもあるのだ。

 ヤバい。なんとか逃げなくては。こんな状態で外に出るのは自殺行為だ。

 しかしヒートに司を巻き込んだら社会的に抹殺される。それだけは避けなければ。



「司、今までありがとう。遅くなったしそろそろ帰るよ。さよなら、幸せになれよ。」


 ヤバい。身体がふらつく。気を抜くと崩れ落ちそうだ。

 息を吸う度に鼻腔を甘くくすぐる司のフェロモンに脳を犯されていくようだ。もっともっと欲しいと身体が司を求めて惹き寄せられるような引力を感じる。
 話には聞いていたけれど、アルファのフェロモンってヤバいな。

 なんとか重い身体を司から引き剥がし。エレベーターへと向かう。

 が、悠理は次の瞬間腕を掴まれて引き戻された。


「ヒートだね、悠理。その身体でどこへ行く気なの?」
 
 抵抗する悠理をものともせず、腕の中に閉じ込め悠理のうなじに唇を寄せた。 

「司、信じられないかもしれないが、俺は実はオメガなんだ。離せ司、お前もヒートに巻き込まれるぞ。」


 司の腕は緩まない。抱き込んだ悠理のうなじを嗅いでいる。

「そうだね、悠理。アルファを惹き寄せるかぐわしい薫りだ。抑制剤は持ってる?」

 情欲にけぶる瞳で艷やかに微笑んだ司。

「持っていない」

 発情したことのない悠理に無縁のものだった。それどころか、悠理は発情促進剤を飲んでいる。

「悠理、もしかして発情期は初めて?」

「ああ。」

「じゃあ、ここで休んで行くと良いよ。必要なものは全て用意するから、安心して。」

 どこまでも親切な司にさっきまで嵌めようとしていた罪悪感でいっぱいになる。それにこんな所、彼女さんに見られたらヤバいだろう。
 案外良いやつだった司に迷惑をかけるわけには行かない。

「司、俺は大丈夫だから。家に帰る。」

 帰る家などないが、借金取りに電話したら早速今晩から客を取らされるだろうが、この衝動からは解放されるのだろう。
 気を抜けば、グズグズと崩れ堕ちそうな身体を叱咤して借金取りから持たされた携帯を探す。

「悠理、誰に電話をしようとしているの?」

 司の瞳が獰猛に光る。
だが、必死に携帯を探す悠理は気付かない。ようやく手にした携帯を無情にも司に取り上げられてしまった。

「知らなかったよ悠理にこんな状態で外へ出ても、助けてくれる相手がいるなんて。発情期が終わるまでここで保護してあげよう思ったけど、止めたよ。」

 怒りをあらわにした司の瞳が獰猛に光る。

 悠理を抱え上げてベットルームへと向かう司をなんとか止めようと話しかける。

「司は好きな人いるんだろう。」

 好きな人の為にオメガを寄せ付けなかったんだろう?それともガセか?

「ああ、いるよ。好きな人。好きで好きでたまらない人。」

 やっぱりいるんじゃないか、好きな人。さっきまで仲の良い友人だと思っていたのに。発情した途端正々堂々とやり捨て出来る便利な性欲処理の道具扱いかよ。

「こんな所見られたら……。」
 
 嫌われるぞと言おうとして、ただならぬ司の様子に口を噤んだ。

「見られたら何だって言うの?」

 どこまでも昏い瞳をした司が笑いながら服を剥ぐ。

「嫌われるぞ」    
  
 お前だけでも幸せになれよ。その忠告をおかしげに笑いながら司が嘯く。

「嫌われても良いよ。嫌われて憎まれる方が、無関心よりよっぽど良い。」

 笑っているはずなのに泣いているように見えた。司ほどの男が辛い恋をしているのだろうか。

「司、ひねくれてるな。そんなんじゃ幸せになれないぞ。」

 司の瞳が潤む。綺麗だな、男の涙なんて見たくもないと思っていたが、司の涙は綺麗だった。

「幸せなんていらない。悠理、一生私を恨んで憎めば良い。」

 バラが敷き詰められた美しいベットに男ふたりが倒れ込む。慣れた仕草で悠理を脱がせていく司の繊細な指遣いに悠理は恍惚へと堕ちていった。



 熱く火照った肌、ヒートに巻き込まれてラットになっているはずの司なのに、どこまでもでも丁寧で優しく悠理を追い詰めていく。
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