ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 11. 姫様は怒ってます

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「ス~~~~...ス~~~~...」
穏やかな寝息を立てているガーネット。
そのベッドの傍らでは、姫様が真っ赤な顔をして、ガーネットを見つめていた。

「もう!!ガーネットったら、大胆なんだから!!...まだ...結婚もしてないのに...」
姫様の顔が更に赤くなる。

「で、で、でも...ガーネットの体、綺麗だったよ!!あ、あ、あそこも...」
姫様は一瞬、口に出そうか迷ったが、
「...とっても綺麗...においも...」
ボッと姫様の顔から蒸気が出たような錯覚を覚える。
「猫の嗅覚で嗅いだからとても良く分かった...た、確かにキツイといえばキツイけど...ガーネットのだと思えば...」
一呼吸、置いた後、姫様は続ける。
「とっても...魅力的...」
姫様の顔が紅潮する。目も潤んでいるようだ。
少し、興奮してしまっているのかもしれない。
「それに...生まれたままの体で抱きしめてくれるなんて...」
姫様の目が更にあでやかさを増した。
「で、で、でも大丈夫!!責任は取るから!!...旅が終わったら...結婚しましょ!!それで問題なくなるわ!!」
姫様は決意に満ちた目でそう言う。
「そしたら...私の全ても...見せて...でも、どうしよう?ガッカリされちゃったら...私、ガーネットみたいに綺麗じゃない!!」
悲しそうに眉を寄せる姫様。しかし、
「だ、大丈夫だよね!ガーネットは優しいから...なんでも...好きなようにしていいんだよ!」
気を取り直して、寝ているガーネットに語りかける。
「・・・」
しばらく、愛おしそうな顔でガーネットを見ていた姫様だったが、

「それより!!」
突然、怒気をはらんだ顔に変わる。
「あいつら、ガーネットをだましてお金を巻き上げるなんて!!」
どうやら、アメジストたちのことを言っているようだ。
勘違いしたガーネットにも非はあると思うが、姫様の思考にはそんなことなど微塵も浮かばない。
「そ、それだけでなく...」

『尊敬しちゃう!!』
ガーネットがアメジストたちに対して、口にした言葉。そして、その時のうっとりとした表情が頭をよぎる。

「ま、ま、まさか、アメジストを好きに!!」
考えただけで頭がおかしくなりそうだった。
「その報い、受けさせてあげるわ!!場合によっては、骨も残さず、塵に...」
姫様は物騒なことを言いながら、重力グラビティ操作コントロールで体を浮遊させると、窓から外へ出ていくのだった。

☆彡彡彡

街の上空に白いドレスをまとった、美しい少女が浮かんでいる。
少女はじっと目を閉じ、何かの気配を探っているようだ。
「見つけた!」
急に目を開いた少女は、街の高級宿屋街に向けて飛んでいく。
「この街で一番、大きな魔力反応!銀級シルバーの魔法使いに間違いないわ!」
しばらく飛行を続けた少女は、とある立派な宿屋の3階の一室の窓から、中をのぞき込んだ。
「いた!!」
そこでは、

「いや~~~~!!今日はラッキーだったね!ちょっと口を出すだけで金貨10枚もらえるなんてさ!!」
「マジっスね!...でもホントに良かったんスか?...あたいはちょっと気が引けるっス...」
「そうはいっても、どこにいるか分からないんじゃ、返しようがないじゃないか!ありがたく使わせてもらうのが、恩返しってもんさ!」
「...まあ、今度会うことがあれば、何かおごってあげればいいだろう...」

3人の女の子たちが、下着姿で楽しげに酒盛りをしていた。
高級そうなブランデーのボトルが、何本も空になって転がっている。

「な、な、なんで下着なのよ!ガーネットの綺麗な体を見た後に、変なもの見せないでちょうだい!!」
姫様は少し頬を染めながらも、怒ったように口にする。

「いや~~~~!暑いっスね!酒で体がほてって...って誰か見てないっスかね?」
パールが窓の方を見る。
<サッ!>
急いで身を隠す姫様。
「誰もいないさ!ここはこの街、一番の宿だよ!セキュリティも万全!!こういう時くらい、ハメを外そうや!」
対して、アメジストは呑気なものだ。酒で気が大きくなっているのかもしれない。
「ふっ...酒は静かに飲むもの...お前らは分かっていない...」
ヒスイが気取ったふうに言うが、
「一番、飲んでるの、ヒスイじゃないっスか!!こんないい酒を浴びるように飲んで!」
パールにツッコまれてしまう。
「まあ、明日はまた、大金が入るよ!しばらくは贅沢し放題だね!」
そのパールの背中を、バンバンと叩くアメジスト。
「痛いっス!!...でも最近、ツキすぎっスね!!何か悪いことが起こらないといいんスけど...」
パールがふと、そんなことを口にすると、
「やめろ!酒がまずくなる!」
「そうさ!いよいよあたしたちにも、ツキが回ってきたんだよ!この後、金級ゴールドもとって、もっと贅沢しようや!」
ヒスイとアメジストがパールを責める。
「そうっスね!あたいたちの未来はバラ色...って、眠くなってきたっス!」
「酒の飲みすぎじゃないのかい?...ってあたしも...」
「くっ!私としたことが...酒に負けるとは...」
3人はそのまま、倒れ込むように寝入ってしまった。

☆彡彡彡

しばらくの後、
「魔法が効いたようね!」
姫様が窓を開け、部屋に入ってきた。
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