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Maid 12. 思わぬ発見
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「うわっ!酒くさっ!」
部屋の中は酒のにおいで充満していた。
高級ブランデーのいい香りなのだが、酒を知らない姫様には少し、不快だった。
「もう!年頃の女の子がこんな格好して!」
下着姿でだらしなく、寝転んでいるアメジストたち。
姫様には、はしたなく思えた。
「まあ、いいわ!それよりガーネットから取り上げたお金を...」
姫様はアメジストたちをできるだけ見ないようにして、部屋を物色しだす。
まず、目に入ってきたのは、
「へぇ!武器や防具はいいの使ってるじゃない!ちゃんと手入れもされてて...まあ、腕は確かなようね!」
部屋の隅には武器、防具がきれいに並べられていた。
若くして銀級になっただけあって、その辺りはきちんとしているようだった。
「財布はどこかしら?」
机の中などを丁寧に捜していたが、
「あっ!こんなところに!!」
ベッドの上に脱ぎ散らかされた服と一緒に、無造作に置かれていた。
「もう!不用心ね!ずぼらな性格がそのまま表れてるわ!」
姫様は呆れた様子で、お金の入った小袋を取る。
「中身は...」
開けてみると、
「・・・」
金貨が1枚と、銀貨が10数枚。後は銅貨がジャラジャラと出てきた。
「ちょっと待って!!ガーネットから金貨10枚、もらったはずでしょ?こんな少ないわけは!!」
慌てて、捜すが、お金はこれだけだった。
「まさか、1日で全部、使って...」
姫様は呆れかえってしまう。
「仕様がないわね!この防具を売って...」
姫様が防具に手をかけると、
「あれ?」
ベッドの下に、金属の箱が見えた。
「なにこれ...」
姫様が箱を取り出すと、それには厳重な鍵がかけられている。
「開錠!」
姫様が箱を開けると、
「これは!!」
思わぬ発見に目を見開いてしまう。
「きっとガーネットの役に立ってくれるはず!」
つい、頬が緩んでしまう姫様。
「これで許してあげる!後、お金は全部、もらっていくわよ!」
姫様は箱の中身と、お金の入った小袋を手に取ると、部屋を去っていったのだった。
☆彡彡彡
翌朝、
「んん~~~~~!おはよう!マリン!」
「・・・」
ガーネットが目を覚ますと、マリンはまだ布団の上でスヤスヤと眠っていた。
「ふふ!お寝坊さんね!でもいつの間に布団から出たのかな?...暑かった?それとも...私が...に、におうとか...」
恥ずかしくなったガーネットは、風呂場へと向かう。
シャワーを浴び、掛けてあった服を着ると、部屋へと戻ってくる。
<ガチャ!>
ドアを開けると、マリンはもう起きていた。
「ミャ~~~~!!」
うれしそうに飛びついてくるマリン。
「ふふふ!おはよう!今日もよろしくね!」
ガーネットがギュッと抱きしめると、胸の中のマリンの顔が赤くなった。
「あれ?」
その時、ガーネットは部屋のテーブルの上に、小袋とガラス瓶があるのに気が付く。
「なんだろ?」
ガーネットが小袋を持ち上げると、
<ジャラッ!>
中からお金の音が聞こえた。
「まさか!!」
慌てて、中をのぞくと、金貨が1枚と、その他、銀貨や銅貨が出てきた。
「これって...」
首を傾げるガーネット。そして、ガラス瓶へと目を向ける。
「これは『魔法のガラス瓶』!!...中身は...綺麗...」
ガーネットを目を奪われる。
中には幻想的に光る紫色の液体が入っていた。
「あれ?もしかして!」
何かに気付いたガーネットは、自分の持ち物から、『緑の奇跡の雫』を取り出した。
「色以外は全く、一緒...これって貴重なアイテムなんじゃ...」
そう予想するガーネット。
「でも、お金といい、貴重なアイテムといい、一体、誰が...」
一瞬、考えたガーネットだったが、すぐに思い浮かぶ人物がいた。
「アメジストさん!!」
大声を出すガーネット。
「ミャ~~~...」
マリンは微妙な声音で鳴いているが、構わず、ガーネットは推測を続ける。
「そういえば、私が全額、渡した時に、遠慮していた...もしかして、余分なお金やアイテムを代わりにくれたんじゃ...」
その途端、ガーネットの目がキラキラと輝きだす。
「やっぱり、アメジストさんたちは『正義の味方』だね!!その気持ちをムダにしないためにも...大切に使わせていただきます!!」
小袋とガラス瓶をギュッと抱きしめたガーネットを見て、
「ミャ~~~...」
マリンは不満そうにしていたのだった。
☆彡彡彡
「さて、これからどうしよう...」
宿を出たガーネットは、途方に暮れてしまう。
当てにしていた『緑の奇跡』からは、目的のアイテムは採取できなかった。
かといって、王城には他にそれらしき文献はなかった。
「でも、お城の文献以外に頼れるものは...」
国中で一番、情報が集まるのは、当然、国の中心の王城だ。
そこで見つからなかった情報を探すのは並大抵のことではない。
その時だった。
「なあ、知ってるか?『アーガイル』の街に大賢者様がいらしているらしいぜ?」
「ホントかよ!!あの大賢者様がこんな近くに?!...行ってみようかな?」
「バカかよ!大賢者様が俺たちなんかに会ってくれるわけないだろ!」
「そりゃそうだな!」
笑いながら去っていく、街の男たち。
それを聞いたガーネットは、
「マリン、聞いた?!アーガイルの街に大賢者様がいらしてるんですって!!きっと『奇跡の雫』についても何か知ってらっしゃるはず!!...私なんかに会ってくれるか分からないけど...」
少し、気後れした様子だったが、
「でも何もしないよりはずっとマシ!!行こう!!アーガイルの街に!!」
「ミャ~~~~!!」
キッと前を見たガーネットに、マリンも同意するように声を上げたのだった。
部屋の中は酒のにおいで充満していた。
高級ブランデーのいい香りなのだが、酒を知らない姫様には少し、不快だった。
「もう!年頃の女の子がこんな格好して!」
下着姿でだらしなく、寝転んでいるアメジストたち。
姫様には、はしたなく思えた。
「まあ、いいわ!それよりガーネットから取り上げたお金を...」
姫様はアメジストたちをできるだけ見ないようにして、部屋を物色しだす。
まず、目に入ってきたのは、
「へぇ!武器や防具はいいの使ってるじゃない!ちゃんと手入れもされてて...まあ、腕は確かなようね!」
部屋の隅には武器、防具がきれいに並べられていた。
若くして銀級になっただけあって、その辺りはきちんとしているようだった。
「財布はどこかしら?」
机の中などを丁寧に捜していたが、
「あっ!こんなところに!!」
ベッドの上に脱ぎ散らかされた服と一緒に、無造作に置かれていた。
「もう!不用心ね!ずぼらな性格がそのまま表れてるわ!」
姫様は呆れた様子で、お金の入った小袋を取る。
「中身は...」
開けてみると、
「・・・」
金貨が1枚と、銀貨が10数枚。後は銅貨がジャラジャラと出てきた。
「ちょっと待って!!ガーネットから金貨10枚、もらったはずでしょ?こんな少ないわけは!!」
慌てて、捜すが、お金はこれだけだった。
「まさか、1日で全部、使って...」
姫様は呆れかえってしまう。
「仕様がないわね!この防具を売って...」
姫様が防具に手をかけると、
「あれ?」
ベッドの下に、金属の箱が見えた。
「なにこれ...」
姫様が箱を取り出すと、それには厳重な鍵がかけられている。
「開錠!」
姫様が箱を開けると、
「これは!!」
思わぬ発見に目を見開いてしまう。
「きっとガーネットの役に立ってくれるはず!」
つい、頬が緩んでしまう姫様。
「これで許してあげる!後、お金は全部、もらっていくわよ!」
姫様は箱の中身と、お金の入った小袋を手に取ると、部屋を去っていったのだった。
☆彡彡彡
翌朝、
「んん~~~~~!おはよう!マリン!」
「・・・」
ガーネットが目を覚ますと、マリンはまだ布団の上でスヤスヤと眠っていた。
「ふふ!お寝坊さんね!でもいつの間に布団から出たのかな?...暑かった?それとも...私が...に、におうとか...」
恥ずかしくなったガーネットは、風呂場へと向かう。
シャワーを浴び、掛けてあった服を着ると、部屋へと戻ってくる。
<ガチャ!>
ドアを開けると、マリンはもう起きていた。
「ミャ~~~~!!」
うれしそうに飛びついてくるマリン。
「ふふふ!おはよう!今日もよろしくね!」
ガーネットがギュッと抱きしめると、胸の中のマリンの顔が赤くなった。
「あれ?」
その時、ガーネットは部屋のテーブルの上に、小袋とガラス瓶があるのに気が付く。
「なんだろ?」
ガーネットが小袋を持ち上げると、
<ジャラッ!>
中からお金の音が聞こえた。
「まさか!!」
慌てて、中をのぞくと、金貨が1枚と、その他、銀貨や銅貨が出てきた。
「これって...」
首を傾げるガーネット。そして、ガラス瓶へと目を向ける。
「これは『魔法のガラス瓶』!!...中身は...綺麗...」
ガーネットを目を奪われる。
中には幻想的に光る紫色の液体が入っていた。
「あれ?もしかして!」
何かに気付いたガーネットは、自分の持ち物から、『緑の奇跡の雫』を取り出した。
「色以外は全く、一緒...これって貴重なアイテムなんじゃ...」
そう予想するガーネット。
「でも、お金といい、貴重なアイテムといい、一体、誰が...」
一瞬、考えたガーネットだったが、すぐに思い浮かぶ人物がいた。
「アメジストさん!!」
大声を出すガーネット。
「ミャ~~~...」
マリンは微妙な声音で鳴いているが、構わず、ガーネットは推測を続ける。
「そういえば、私が全額、渡した時に、遠慮していた...もしかして、余分なお金やアイテムを代わりにくれたんじゃ...」
その途端、ガーネットの目がキラキラと輝きだす。
「やっぱり、アメジストさんたちは『正義の味方』だね!!その気持ちをムダにしないためにも...大切に使わせていただきます!!」
小袋とガラス瓶をギュッと抱きしめたガーネットを見て、
「ミャ~~~...」
マリンは不満そうにしていたのだった。
☆彡彡彡
「さて、これからどうしよう...」
宿を出たガーネットは、途方に暮れてしまう。
当てにしていた『緑の奇跡』からは、目的のアイテムは採取できなかった。
かといって、王城には他にそれらしき文献はなかった。
「でも、お城の文献以外に頼れるものは...」
国中で一番、情報が集まるのは、当然、国の中心の王城だ。
そこで見つからなかった情報を探すのは並大抵のことではない。
その時だった。
「なあ、知ってるか?『アーガイル』の街に大賢者様がいらしているらしいぜ?」
「ホントかよ!!あの大賢者様がこんな近くに?!...行ってみようかな?」
「バカかよ!大賢者様が俺たちなんかに会ってくれるわけないだろ!」
「そりゃそうだな!」
笑いながら去っていく、街の男たち。
それを聞いたガーネットは、
「マリン、聞いた?!アーガイルの街に大賢者様がいらしてるんですって!!きっと『奇跡の雫』についても何か知ってらっしゃるはず!!...私なんかに会ってくれるか分からないけど...」
少し、気後れした様子だったが、
「でも何もしないよりはずっとマシ!!行こう!!アーガイルの街に!!」
「ミャ~~~~!!」
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