ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 20. ドラゴンの真実

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「な、なんということを!!あのドラゴンは大賢者サンストーン様が服従させて、王都の守りに就かせていたのだぞ!!」

村長の家の一番、上座で、怒り心頭なのは、上等な服を身にまとった人物。
名はマラカイトといい、サンストーンの使者としてこの村にやってきた高官だった。
その隣で部下らしき文官も厳しい顔をしている。

「お許しを~~~~!!」
村長が頭を地面にすりつけ、謝っている。
なぜかアメジストたちも土下座をさせられていた。

「ふう...もっと早くに通達すべきだったか...まさか、この付近にドラゴンを倒せる冒険者がいたとは...」
マラカイトは、少し冷静になったのか、反省している。そして、

「頭を上げろ!確かに私の判断ミスだった...サンストーン様には正直に報告するしかあるまい...」
マラカイトは頭を抱えながらも、許しの言葉を述べる。

「も、申し訳ございません!!」
再び、謝る村長。
その後、頭を上げた村長たちを見て、マラカイトは説明を始めた。

「数日前、旅に出ておられたサンストーン様が、アーガイルに帰還された。その際に、ドラゴンを連れてらしたのだ!」
「「・・・」」
マラカイトの話を静粛に聞いている村長たち。
「そして、王都の東...この村の北だな!...にある砦跡に滞在させるよう、ご命令になられた。王都の守りとするとともに、国の財宝も運び込んで、一緒に守らせることにしたのだ!ドラゴンは財宝が好きなのでちょうど良かった!」
その内容を耳にしたアメジストがふと、つぶやく。
「では、あの財宝は...」
するとマラカイトは、
「もちろん、国のものだ!...まさか持ち出したりしておらんだろうな?!」
そう言って、アメジストたちを睨みつける。
「も、も、もちろんです!!」
アメジストは慌てて答えるが、
「でも、あのガラス瓶...」
パールがガーネットが持っていった、黄色の液体の入った魔法のガラス瓶の話をする。すると、
「なに?どういうことだ?」
マラカイトが説明を求める。
「実は...」
アメジストが詳しく説明すると、
「ふむ...そんなものはなかったはずだが...確認しろ!」
「はい!」
部下が財宝リストの書かれた紙を取り出し、詳しく調べている。

「記載された財宝にそのようなものはありませんが...」
部下が答えると、
「そうか...では、ドラゴンが勝手にどこかから拾ってきたものかもしれんな!黄色に輝いていたので、黄金と間違えたのだろう...」
マラカイトはそう結論付けた。
「良かった...」
ヒスイが安堵の声を漏らしている。
「そのガラス瓶はお前たちの好きにしてよい!ドラゴンを倒して、なんの報酬もなしではさすがに可哀そうだ...」
マラカイトの言葉に、
「くっ!」
悔しそうな顔をしているアメジスト。
たった一つの戦利品をガーネットに取られてしまった。

「で、でも魔石は!!」
パールが声を上げると、
「なに?それはドラゴンの魔石のことだな?持ち帰ってきたのか?」
マラカイトが問いかけてくる。
「は、はい。こちらに...」
ヒスイが荷物から取り出すと、
「うむ!これはサンストーン様にお返しして、研究材料としていただこう!よく持ち帰った!!」
マラカイトはヒスイの手から魔石を取り上げた。
「えっ?!もらえるんじゃ...」
呆然とするアメジストに、
「すまんな!せめてそれくらいしなければ、私も面目が立たんのだ...」
マラカイトが謝る。

「ま、まあ、金貨3枚はもらえたわけっスし、残り2枚も...」
パールがアメジストを慰めると、
「ん?どういうことだ?」
また、マラカイトが事情を聞いてくる。
「はい。実は...」
村長がドラゴン退治の報酬の話をすると、
「ふむ...この村も裕福なわけではないのだろう?...それなのに無用な仕事をした冒険者に報酬を払う必要はない!」
マラカイトはそう言った。
「「「えっ?!」」」
真っ青になるアメジストたち3人。
「先払いの報酬は全て、返すように!!」
「「「そんな~~~~~!!」」」
結局、なんの収穫もなかったアメジストたちだった。

☆彡彡彡

「くそっ!いいとこなしじゃないか!!あの子だけいい思いして!!」
自分たちが何もしていないのを棚に上げて、ぼやいているアメジスト。

なんだかんだ言って、全てを取り上げられたアメジストたちは、そのまま放り出され、アーガイルへの街道を歩いていた。

「ホントっスね!せめてあのアイテムだけでも、もらえたら...」
パールも同調していると、
「確か、あいつはアーガイルに向かっていったな...」
ヒスイがそんなことを口にする。その言葉に、
「よし!アーガイルで追いついて、取り返すよ!!」

本来、ガーネットたちのものであるアイテムを取り戻そうと、アーガイルへと足を速めるアメジストたちだった。
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