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Maid 21. アーガイルの街
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「ス~~~~...ス~~~~...」
ガーネットは深い眠りについている。
ここはアーガイルへと向かう街道から少し離れた、茂みの中。
魔物から身を隠すように、野宿をしているガーネットとマリン。
<ポンッ!>
すると、姫様が姿を現す。
「ふふふ!良く寝てる!...今日は疲れたね!」
ガーネットの寝顔を、愛おしげに見つめながら、姫様が声をかける。
そして、魔法を唱えた。
「ウィンド!」
これは風を生み出す魔法だが、上級者は風の速度や温度を、自在に操ることができる。
今は、暖かい、そよ風が吹いているが、姫様ほどの達人ともなると、戦闘では灼熱の竜巻や、ブリザードなどに変化させることも可能だ。
「んん...」
ガーネットの顔が心地よさそうに変わる。
「ふふふ!夜は冷えるからあったかくしとかないとね!」
姫様が笑顔になる。
ここら辺は一年を通して、温暖な気候だが、夜の外気は少し、冷える。
我慢できないことはないが、やはり、暖かい方が快適だ。そして、
「自動発動!」
「マジックアロー!」
魔物の発する魔力に反応する、魔法の仕掛けを作り出し、中に『マジックアロー』を閉じ込める。
これなら、近くに魔物が寄ってきても、自動で迎撃してくれるので安心だ。
ここは街道沿いなので、まず、安全だが、用心に越したことはない。
「これで大丈夫!朝までゆっくり眠ってね!」
そう言った、姫様はガーネットに添い寝すると、その顔をじっと見つめだす。そして、
「今日はゴメンね!怖い思いさせて...」
申し訳なさそうに姫様が切り出した。
「ガーネットが来る前に倒しちゃうつもりだったんだけど...なかなか見つからなくて、捜し回ってたの!」
ドラゴンが留守にしていたのは、想定外だったようだ。
「でも...」
顔を曇らせると、姫様は続ける。
「ドラゴンにやられそうになっているガーネットを見た時、私、心臓が止まりそうになったのよ!!」
姫様の顔がゆがんで、くしゃくしゃになる。
「間に合って...本当に良かった...」
姫様はそっと、ガーネットの頬に触れた。
「んん...姫様...」
ガーネットが寝言を言う。
「...本当はこの姿でずっとガーネットのそばにいたい!そしたら、何があっても守ってあげられるのに...」
姫様はそんなガーネットに、愛おしそうに話しかける。
「...でも...ガーネットはそれを許してくれないんだよね...」
少し、悲しそうな顔に変わる姫様。
「どうして猫なんかになっちゃったのかしら?...ううん、それを言っても仕方ないわね!...せめて、猫のままでも、魔法が使えたらいいのに...」
そう愚痴をこぼすと、姫様はマリンに姿を変え、ガーネットのそばで幸せそうに眠るのだった。
☆彡彡彡
それから5日後。
「ここがアーガイルかぁ!」
大きな街の門をくぐったガーネットは、目を輝かせる。
石造りの建物が並び、中心部には王城とは比べ物にならないが、それでも比較的、大きな建物が数軒ある。
石畳の大きな通りには、ローブをまとった、研究者らしき人々が行き来していた。
「さすが、研究都市と言われるだけはあるね!大賢者様はあそこにおられるのかなぁ...」
ガーネットは一番、高い建物を見つめる。
「ミャ~~~!」
マリンが答えるように鳴くが、
「でも、今日はもう遅いから、宿を探そ!」
ガーネットたちが着いた頃には、日が傾き、街を赤く染めていた。
「ミャ~~~!」
マリンは同意するように声を上げた。
☆彡彡彡
<ガチャ!>
宿屋の部屋に入ってきたガーネットとマリン。
「ふう...体ベトベト...お風呂、お風呂!」
ガーネットは早速、浴槽にお湯を張る。
やがて、お風呂が沸くと、『待ってました』とばかりに、浴室へ向かうガーネット。
<パサッ!>
メイド服が床に落ちる音。
「・・・」
マリンの鋭敏な聴覚には、ガーネットが何をしているのか、明確に聞こえてくる。
(ダメ!聞いちゃ!)
そうは思えど、マリンの耳は風呂場の方から、ピクリとも動かなかった。
<カチッ!>
ブラが外される音。
<スッ...>
最後の一枚が下ろされる音。
マリンはそれだけで真っ赤になってしまっていた。
しかし、驚いたのはその後だった。
「うっ!...私の下着、こんなになって...でもなんで?においが気になって仕方ないの!」
ガーネットは脱いだばかりの下着を開くと、中を見つめ、あろうことか、鼻に当て、においを嗅いでいるようだ。
「ん...すごいにおい...クンクン...」
しかもなかなか、やめようとしない。
(もう!何やってるの!私だからいいけど、他の人に知られたら...)
ガーネットの行動に若干の不安を覚える姫様だったが、
(で、でも...私もガーネットのにおい、嫌いじゃ...)
また、顔が赤くなる。
そんな姫様に待ちわびた言葉がかけられた。
「マリン!おいで!一緒にお風呂入りましょ!」
<カアッ!>
マリンの顔がこれ以上ないほど赤く染まる。
(も、もう!ガーネットったら、積極的なんだから!!)
そうは思いながらも、いそいそと風呂場へと向かうマリンだった。
☆彡彡彡
「マリン、今日は私のあそこ、いっぱい嗅いでたね!仲良くなれた証拠かなぁ...」
風呂上がり、マリンに話しかけたガーネットの頬がポッと染まる。さすがに恥ずかしいようだ。
「ミャ~~~...」
少し、気まずそうに目を逸らすマリン。
「で、でも、いくら猫とはいえ、姫様以外にあそこを見せたり...に、においを嗅がせたりするなんて...」
ガーネットは少し、罪悪感を抱いているようだ。
「ミャッ!!ミャ~~~~!!」
マリンは何か言いたそうに訴えているが、
「ふぁぁ...眠い...旅って思ってたよりもずっと大変!姫様をお止めして良かった!」
安心したようにつぶやくと、ガーネットはベッドに潜り込む。
今日も何も着けずに寝るようだ。
「おいで!マリン!」
ガーネットがマリンを呼ぶと、
「ミャ~~~~!!」
うれしそうに声を上げ、やってくるマリン。心の中では、
(猫も悪くないかも...)
そんなことを思っていたりするのだった。
☆彡彡彡
「ス~~~~...ス~~~~...」
そして、ガーネットがすっかり眠り込むと、
<ポンッ!>
マリンがベッドから抜け出し、姫様に変わる。
「ちょっとお出かけしてくるわね!私にだってできることあるんだから!!」
姫様は寝ているガーネットにそう話しかけると、
「重力操作!」
窓から、外へ飛んでいくのだった。
ガーネットは深い眠りについている。
ここはアーガイルへと向かう街道から少し離れた、茂みの中。
魔物から身を隠すように、野宿をしているガーネットとマリン。
<ポンッ!>
すると、姫様が姿を現す。
「ふふふ!良く寝てる!...今日は疲れたね!」
ガーネットの寝顔を、愛おしげに見つめながら、姫様が声をかける。
そして、魔法を唱えた。
「ウィンド!」
これは風を生み出す魔法だが、上級者は風の速度や温度を、自在に操ることができる。
今は、暖かい、そよ風が吹いているが、姫様ほどの達人ともなると、戦闘では灼熱の竜巻や、ブリザードなどに変化させることも可能だ。
「んん...」
ガーネットの顔が心地よさそうに変わる。
「ふふふ!夜は冷えるからあったかくしとかないとね!」
姫様が笑顔になる。
ここら辺は一年を通して、温暖な気候だが、夜の外気は少し、冷える。
我慢できないことはないが、やはり、暖かい方が快適だ。そして、
「自動発動!」
「マジックアロー!」
魔物の発する魔力に反応する、魔法の仕掛けを作り出し、中に『マジックアロー』を閉じ込める。
これなら、近くに魔物が寄ってきても、自動で迎撃してくれるので安心だ。
ここは街道沿いなので、まず、安全だが、用心に越したことはない。
「これで大丈夫!朝までゆっくり眠ってね!」
そう言った、姫様はガーネットに添い寝すると、その顔をじっと見つめだす。そして、
「今日はゴメンね!怖い思いさせて...」
申し訳なさそうに姫様が切り出した。
「ガーネットが来る前に倒しちゃうつもりだったんだけど...なかなか見つからなくて、捜し回ってたの!」
ドラゴンが留守にしていたのは、想定外だったようだ。
「でも...」
顔を曇らせると、姫様は続ける。
「ドラゴンにやられそうになっているガーネットを見た時、私、心臓が止まりそうになったのよ!!」
姫様の顔がゆがんで、くしゃくしゃになる。
「間に合って...本当に良かった...」
姫様はそっと、ガーネットの頬に触れた。
「んん...姫様...」
ガーネットが寝言を言う。
「...本当はこの姿でずっとガーネットのそばにいたい!そしたら、何があっても守ってあげられるのに...」
姫様はそんなガーネットに、愛おしそうに話しかける。
「...でも...ガーネットはそれを許してくれないんだよね...」
少し、悲しそうな顔に変わる姫様。
「どうして猫なんかになっちゃったのかしら?...ううん、それを言っても仕方ないわね!...せめて、猫のままでも、魔法が使えたらいいのに...」
そう愚痴をこぼすと、姫様はマリンに姿を変え、ガーネットのそばで幸せそうに眠るのだった。
☆彡彡彡
それから5日後。
「ここがアーガイルかぁ!」
大きな街の門をくぐったガーネットは、目を輝かせる。
石造りの建物が並び、中心部には王城とは比べ物にならないが、それでも比較的、大きな建物が数軒ある。
石畳の大きな通りには、ローブをまとった、研究者らしき人々が行き来していた。
「さすが、研究都市と言われるだけはあるね!大賢者様はあそこにおられるのかなぁ...」
ガーネットは一番、高い建物を見つめる。
「ミャ~~~!」
マリンが答えるように鳴くが、
「でも、今日はもう遅いから、宿を探そ!」
ガーネットたちが着いた頃には、日が傾き、街を赤く染めていた。
「ミャ~~~!」
マリンは同意するように声を上げた。
☆彡彡彡
<ガチャ!>
宿屋の部屋に入ってきたガーネットとマリン。
「ふう...体ベトベト...お風呂、お風呂!」
ガーネットは早速、浴槽にお湯を張る。
やがて、お風呂が沸くと、『待ってました』とばかりに、浴室へ向かうガーネット。
<パサッ!>
メイド服が床に落ちる音。
「・・・」
マリンの鋭敏な聴覚には、ガーネットが何をしているのか、明確に聞こえてくる。
(ダメ!聞いちゃ!)
そうは思えど、マリンの耳は風呂場の方から、ピクリとも動かなかった。
<カチッ!>
ブラが外される音。
<スッ...>
最後の一枚が下ろされる音。
マリンはそれだけで真っ赤になってしまっていた。
しかし、驚いたのはその後だった。
「うっ!...私の下着、こんなになって...でもなんで?においが気になって仕方ないの!」
ガーネットは脱いだばかりの下着を開くと、中を見つめ、あろうことか、鼻に当て、においを嗅いでいるようだ。
「ん...すごいにおい...クンクン...」
しかもなかなか、やめようとしない。
(もう!何やってるの!私だからいいけど、他の人に知られたら...)
ガーネットの行動に若干の不安を覚える姫様だったが、
(で、でも...私もガーネットのにおい、嫌いじゃ...)
また、顔が赤くなる。
そんな姫様に待ちわびた言葉がかけられた。
「マリン!おいで!一緒にお風呂入りましょ!」
<カアッ!>
マリンの顔がこれ以上ないほど赤く染まる。
(も、もう!ガーネットったら、積極的なんだから!!)
そうは思いながらも、いそいそと風呂場へと向かうマリンだった。
☆彡彡彡
「マリン、今日は私のあそこ、いっぱい嗅いでたね!仲良くなれた証拠かなぁ...」
風呂上がり、マリンに話しかけたガーネットの頬がポッと染まる。さすがに恥ずかしいようだ。
「ミャ~~~...」
少し、気まずそうに目を逸らすマリン。
「で、でも、いくら猫とはいえ、姫様以外にあそこを見せたり...に、においを嗅がせたりするなんて...」
ガーネットは少し、罪悪感を抱いているようだ。
「ミャッ!!ミャ~~~~!!」
マリンは何か言いたそうに訴えているが、
「ふぁぁ...眠い...旅って思ってたよりもずっと大変!姫様をお止めして良かった!」
安心したようにつぶやくと、ガーネットはベッドに潜り込む。
今日も何も着けずに寝るようだ。
「おいで!マリン!」
ガーネットがマリンを呼ぶと、
「ミャ~~~~!!」
うれしそうに声を上げ、やってくるマリン。心の中では、
(猫も悪くないかも...)
そんなことを思っていたりするのだった。
☆彡彡彡
「ス~~~~...ス~~~~...」
そして、ガーネットがすっかり眠り込むと、
<ポンッ!>
マリンがベッドから抜け出し、姫様に変わる。
「ちょっとお出かけしてくるわね!私にだってできることあるんだから!!」
姫様は寝ているガーネットにそう話しかけると、
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