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Maid 23. 大賢者サンストーン
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「こっちだよ!」
アリーがどんどんと奥に向かって飛んでいく。
「待ってったら!」
アリーは小さな体に反して、飛ぶ速度は速く、ガーネットは小走りでついていかなくてはならなかった。
マリンも走ってついてきている。
数分後、ようやくアリーは、とある扉の前で止まった。
「サンストーン!連れてきたよ!」
すると、
「ご苦労だったね!入っていいよ!」
その声とともに、扉が自動で開いた。
サンストーンが開いたのか、アリーなのかは分からないが、魔法的な力なのだろう。
「失礼します...」
アリーと話しているうちに、緊張のほぐれたガーネットは、挨拶をしてから中へと入る。
すると、そこにいたのは、20代後半くらいの若い男性だった。
薄い紅色の長髪。身長は高めで、華奢な体つき。
金の刺繍のされた薄赤色の上着に派手な襟。まるで貴族のような格好だ。
「・・・」
予想とは違うその風貌に、ガーネットは一瞬、言葉を失ってしまう。すると、
「ははは!ローブをまとった、厳めしい爺さんとでも思ったかな?」
サンストーンがいたずらっぽく笑った。
「そ、そ、そんなことは!!」
ガーネットは大慌てで否定するが、
「まあ、『大賢者』なんてたいそうな呼び方されてるからね!僕は結構、自由に生きてきたつもりなんだけど...」
どうやら、軽い性格のようだった。
おそらく、持って生まれた才能が、彼を若くしてその地位まで引き上げたのだろう。
「その...話しやすくて...いいと思います!」
ガーネットがなんとか、フォローしようとするが、
「そうかい?そんなふうには見えないけど...」
「うっ!」
サンストーンにそう言われ、言葉に詰まってしまう。
「まあ、いいさ!それより...」
サンストーンはマリンに目を移す。
「すごいね!猫になっても全然隠せていないその魔力...」
「魔力?」
ガーネットが首を傾げていると、
「シャ~~~~~!!」
『余計なことを言うな』とばかりに、マリンがサンストーンを威嚇する。
「ダメだよマリン!!この人は偉い人なんだから!!」
ガーネットがマリンをたしなめると、
「ミャ~~~...」
大人しくなるマリン。
「ははは!マリン...と呼ばせてもらうよ!...はそのメイドに頭が上がらないようだ!」
その様子を可笑しそうに見ているサンストーン。
「ミャ~~...」
何か言いたそうなマリンだったが、ガーネットに怒られるので、控えめに不満を表明する。すると、
「まあ、座って!」
サンストーンが席を勧めてくる。
「では、失礼して...」
着席したガーネットは、早速、不思議に思っていたことを尋ねた。
「でも、なぜ、大賢者様が私なんかに?」
「ああ!堅苦しいのはなしで!僕のことは『サンストーン』でいいよ!君は?」
その問いを無視して、名前を聞いてきたサンストーンに、
「ガーネットと申します」
ガーネットが恭しく答えると、
「堅いなぁ...まあ、いいや!サファイア姫のメイドだろ!」
サンストーンはそう言ってくる。
「なぜそれを?!」
驚くガーネットに対し、
「僕を誰だと思ってるんだい?...まあ、そこの猫ちゃんに聞いたんだけど!」
サンストーンはおどけるように両掌を上げると、返答する。
「マリンに?」
首を傾げているガーネットに、サンストーンが説明した。
「昨日の夜、僕の部屋に忍び込んできてね!いろいろ話したんだ!...いや~~~、警備の厳重なここまで、誰にも気付かれずに来るなんて、さすがだね~~~!」
サンストーンは感心しているようだったが、ガーネットは、
「えっ?!マリンがここに?!...失礼しました!!」
慌てて立ち上がると、頭を深く下げる。
(でも『話した』って...そっか、大賢者様ともなると、猫ともお話できるんだ!!...いいなぁ...私もマリンとおしゃべりしたい...)
一瞬、そんなことを考えてしまったガーネットだったが、
「マリン!ダメでしょ!勝手に私のそばを離れちゃ!」
マリンに説教を始めた。悪いことをしたら怒らないといけない。
「ミャ~~~...」
申し訳なさそうに首を垂れるマリン。
その様子に、
「そこは褒めるところだと思うけどね!そうじゃなきゃ、今、僕はここで君と会っていない!」
サンストーンはマリンに加勢する。
「で、ですが...」
微妙な顔のガーネットに、
「ほら!褒めてあげて!」
サンストーンは笑いながら促してくる。すると、
「...マリン!ありがとね!マリンが大賢者様と仲良くなってくれたおかげで、こうして面会していただくことができた...」
ガーネットの言葉に、
「ミャ~~~~!」
うれしそうな声を上げるマリン。
「ははは!本当にマリンは君が好きなようだね!」
からかうように笑うサンストーンに、
「ミャ~~~~!!」
膨れた顔つきに変わるマリン。しかし、
「ホント?うれしいな!私もマリンが大好きだよ!」
そう言ったガーネットに、
「ミャ~~~~~!!!」
マリンは真っ赤になってしまうのだった。
「ははは!」
二人のやり取りを楽しそうに見ていたサンストーンだったが、
「それで?僕に聞きたいことがあるんだろ?」
本題を切り出してきた。
アリーがどんどんと奥に向かって飛んでいく。
「待ってったら!」
アリーは小さな体に反して、飛ぶ速度は速く、ガーネットは小走りでついていかなくてはならなかった。
マリンも走ってついてきている。
数分後、ようやくアリーは、とある扉の前で止まった。
「サンストーン!連れてきたよ!」
すると、
「ご苦労だったね!入っていいよ!」
その声とともに、扉が自動で開いた。
サンストーンが開いたのか、アリーなのかは分からないが、魔法的な力なのだろう。
「失礼します...」
アリーと話しているうちに、緊張のほぐれたガーネットは、挨拶をしてから中へと入る。
すると、そこにいたのは、20代後半くらいの若い男性だった。
薄い紅色の長髪。身長は高めで、華奢な体つき。
金の刺繍のされた薄赤色の上着に派手な襟。まるで貴族のような格好だ。
「・・・」
予想とは違うその風貌に、ガーネットは一瞬、言葉を失ってしまう。すると、
「ははは!ローブをまとった、厳めしい爺さんとでも思ったかな?」
サンストーンがいたずらっぽく笑った。
「そ、そ、そんなことは!!」
ガーネットは大慌てで否定するが、
「まあ、『大賢者』なんてたいそうな呼び方されてるからね!僕は結構、自由に生きてきたつもりなんだけど...」
どうやら、軽い性格のようだった。
おそらく、持って生まれた才能が、彼を若くしてその地位まで引き上げたのだろう。
「その...話しやすくて...いいと思います!」
ガーネットがなんとか、フォローしようとするが、
「そうかい?そんなふうには見えないけど...」
「うっ!」
サンストーンにそう言われ、言葉に詰まってしまう。
「まあ、いいさ!それより...」
サンストーンはマリンに目を移す。
「すごいね!猫になっても全然隠せていないその魔力...」
「魔力?」
ガーネットが首を傾げていると、
「シャ~~~~~!!」
『余計なことを言うな』とばかりに、マリンがサンストーンを威嚇する。
「ダメだよマリン!!この人は偉い人なんだから!!」
ガーネットがマリンをたしなめると、
「ミャ~~~...」
大人しくなるマリン。
「ははは!マリン...と呼ばせてもらうよ!...はそのメイドに頭が上がらないようだ!」
その様子を可笑しそうに見ているサンストーン。
「ミャ~~...」
何か言いたそうなマリンだったが、ガーネットに怒られるので、控えめに不満を表明する。すると、
「まあ、座って!」
サンストーンが席を勧めてくる。
「では、失礼して...」
着席したガーネットは、早速、不思議に思っていたことを尋ねた。
「でも、なぜ、大賢者様が私なんかに?」
「ああ!堅苦しいのはなしで!僕のことは『サンストーン』でいいよ!君は?」
その問いを無視して、名前を聞いてきたサンストーンに、
「ガーネットと申します」
ガーネットが恭しく答えると、
「堅いなぁ...まあ、いいや!サファイア姫のメイドだろ!」
サンストーンはそう言ってくる。
「なぜそれを?!」
驚くガーネットに対し、
「僕を誰だと思ってるんだい?...まあ、そこの猫ちゃんに聞いたんだけど!」
サンストーンはおどけるように両掌を上げると、返答する。
「マリンに?」
首を傾げているガーネットに、サンストーンが説明した。
「昨日の夜、僕の部屋に忍び込んできてね!いろいろ話したんだ!...いや~~~、警備の厳重なここまで、誰にも気付かれずに来るなんて、さすがだね~~~!」
サンストーンは感心しているようだったが、ガーネットは、
「えっ?!マリンがここに?!...失礼しました!!」
慌てて立ち上がると、頭を深く下げる。
(でも『話した』って...そっか、大賢者様ともなると、猫ともお話できるんだ!!...いいなぁ...私もマリンとおしゃべりしたい...)
一瞬、そんなことを考えてしまったガーネットだったが、
「マリン!ダメでしょ!勝手に私のそばを離れちゃ!」
マリンに説教を始めた。悪いことをしたら怒らないといけない。
「ミャ~~~...」
申し訳なさそうに首を垂れるマリン。
その様子に、
「そこは褒めるところだと思うけどね!そうじゃなきゃ、今、僕はここで君と会っていない!」
サンストーンはマリンに加勢する。
「で、ですが...」
微妙な顔のガーネットに、
「ほら!褒めてあげて!」
サンストーンは笑いながら促してくる。すると、
「...マリン!ありがとね!マリンが大賢者様と仲良くなってくれたおかげで、こうして面会していただくことができた...」
ガーネットの言葉に、
「ミャ~~~~!」
うれしそうな声を上げるマリン。
「ははは!本当にマリンは君が好きなようだね!」
からかうように笑うサンストーンに、
「ミャ~~~~!!」
膨れた顔つきに変わるマリン。しかし、
「ホント?うれしいな!私もマリンが大好きだよ!」
そう言ったガーネットに、
「ミャ~~~~~!!!」
マリンは真っ赤になってしまうのだった。
「ははは!」
二人のやり取りを楽しそうに見ていたサンストーンだったが、
「それで?僕に聞きたいことがあるんだろ?」
本題を切り出してきた。
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