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Maid 24. 奇跡の雫
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「それなんですが...大賢者様は『奇跡の雫』について、何かご存じでしょうか?どんな些細なことでも結構なのですが...」
ガーネットがサンストーンに尋ねる。すると、
「そうだねぇ...僕が知っているのは、『奇跡の雫を手に入れた者はサファイア姫と結婚できる』ということくらいかな!」
サンストーンの情報は、ガーネットの欲するものではなかった。
「そうですか...」
ガッカリした顔のガーネットに、サンストーンは問う。
「君はその『奇跡の雫』を手に入れて、どうするつもりだい?」
すると、
「そ、それは...」
ガーネットは言いにくそうにしている。
「・・・」
答えを待っているのはサンストーンだけではない。
マリンもガーネットの顔をじっと見つめていた。
「言わないと...ダメですか?」
迷うガーネットだったが、
「いや、単に君の気持ちに興味があって...言いたくないならそれでいい!」
サンストーンはあっさりと引き下がった。
「ミャ~~~~...」
残念そうなマリンの声。
「ははは!まあ、誰か様をからかうのはこれくらいにして...」
マリンを一目見て、意地悪く笑ったサンストーンは続ける。
「アリーは何か、知ってるかい?君の方が詳しいだろう?」
さっきからヒマそうに部屋の中を飛び回っている、アリーに問いかけた。
「もちろん、知ってるよ!」
その言葉に、
「どうやったら、手に入るの?!」
食い気味に質問するガーネット。しかし、
「まあ、普通は無理だね!...あたしが最後に見たのは300年前かなぁ...」
アリーは『不可能』だと言う。
「そんなに難しいの?」
ガーネットが重ねて、問うと、
「難しいっていうか...普通はそんなことできないっていうか...」
アリーの返事はハッキリしない。
「それでもしないといけないの!!教えて!!」
諦める様子のないガーネットに、
「あなた、七色の『奇跡の花』は知ってる?」
アリーはそう尋ねてきた。
「『緑の奇跡』なら、お城の書物庫で読んだけど...七つもあるの?」
ガーネットの返答に、
「そう!『緑の奇跡』はその一つ。『奇跡の雫』を手に入れるには、まず、その花の蜜を全部、集めないといけないの!」
アリーが説明をする。
「『全部』って...『緑の奇跡の雫』なら持ってるけど...」
それを聞いたガーネットが、腰のポーチから魔法のガラス瓶を取り出すと、
「...それ、『紫の奇跡の雫』じゃない...」
アリーがガラス瓶を見て、指摘する。
「あっ!間違えた!これ!...じゃなくて、これ!」
結局、ガーネットは、『緑の奇跡の雫』の他に、ミールで朝、見つけた紫の雫。それにドラゴンの財宝の中にあった黄色の雫も、机の上に置いた。すると、
「ちょっと!あなた、3つも集めたの?!」
それを見たアリーが、目を見開いている。
「あっ、これ、やっぱり、『緑の奇跡の雫』の親戚だったんだ...でも、何がそんなにすごいの?」
ガーネットはアリーの態度が腑に落ちない。
どれも高価そうなアイテムではあったが、最初の『緑の奇跡の雫』以外は、苦労して集めた覚えがないからだ。
「...そっか...あなたは知らないんだね...」
そんなガーネットを見たアリーは、意味ありげにつぶやく。
「どういうこと?」
ガーネットが首を傾げていると、
「う~~~~~ん...話していいものかな...サンストーンはどう思う?」
アリーはそう言うと、サンストーンの耳元でなにやらヒソヒソ、口にしている。
「ふん...ふん...」
サンストーンはしばらく、相槌を打っていたが、
「なるほど...そういうことなら言わない方がいいね!残りの4つを集めるのに負の影響しか及ぼさない!」
聞き終わると、ガーネットを横目で見ながら、アリーに答える。
「・・・」
その言動に微妙な顔をしているガーネットだったが、
「君の気持ちは良く分かる。でも、本気で『奇跡の雫』を手に入れたいのなら、今は聞かない方がいい!僕を信じてくれ!」
サンストーンにそう忠告されると、
「はい。大賢者様がそうおっしゃるなら...」
とりあえず、不問に付すことにしたようだ。そして、
「じゃあ、残りの4つを集めたらいいのね?」
アリーにやるべきことを確認するが、
「まあね!...でも、口で言うほど簡単じゃないよ!3つくらいなら数十年に一回くらいは集めれる人がいる...でも7つ全てとなると...」
アリーは難しい顔をしている。
「そっか...やっぱり、いばらの道が待ってるんだ...でも、やるしかないの!!他の4つの花が咲いている場所は分からないの?」
ことの重大さを理解した様子のガーネットだったが、覚悟を決め、アリーに問いかけると、
「う~~~~~ん...自分で調べた方がいいかな!その寄り道もきっと『七色の奇跡の雫』への道しるべになるよ!」
アリーはそう答えた。
「でも、お城の書物庫は調べ尽くしたし...」
ガーネットが困っていると、
「じゃあ、この研究所の資料室を探したらいい!ここには研究途中の論文がたくさんある!不確実な情報も多いし、難解で読みにくいと思うけど、新たな発見があるかもね!」
サンストーンがアドバイスしてくれた。
「そういうことでしたら、お言葉に甘えて...」
ガーネットは王立研究所の資料室を調べることにしたのだった。
ガーネットがサンストーンに尋ねる。すると、
「そうだねぇ...僕が知っているのは、『奇跡の雫を手に入れた者はサファイア姫と結婚できる』ということくらいかな!」
サンストーンの情報は、ガーネットの欲するものではなかった。
「そうですか...」
ガッカリした顔のガーネットに、サンストーンは問う。
「君はその『奇跡の雫』を手に入れて、どうするつもりだい?」
すると、
「そ、それは...」
ガーネットは言いにくそうにしている。
「・・・」
答えを待っているのはサンストーンだけではない。
マリンもガーネットの顔をじっと見つめていた。
「言わないと...ダメですか?」
迷うガーネットだったが、
「いや、単に君の気持ちに興味があって...言いたくないならそれでいい!」
サンストーンはあっさりと引き下がった。
「ミャ~~~~...」
残念そうなマリンの声。
「ははは!まあ、誰か様をからかうのはこれくらいにして...」
マリンを一目見て、意地悪く笑ったサンストーンは続ける。
「アリーは何か、知ってるかい?君の方が詳しいだろう?」
さっきからヒマそうに部屋の中を飛び回っている、アリーに問いかけた。
「もちろん、知ってるよ!」
その言葉に、
「どうやったら、手に入るの?!」
食い気味に質問するガーネット。しかし、
「まあ、普通は無理だね!...あたしが最後に見たのは300年前かなぁ...」
アリーは『不可能』だと言う。
「そんなに難しいの?」
ガーネットが重ねて、問うと、
「難しいっていうか...普通はそんなことできないっていうか...」
アリーの返事はハッキリしない。
「それでもしないといけないの!!教えて!!」
諦める様子のないガーネットに、
「あなた、七色の『奇跡の花』は知ってる?」
アリーはそう尋ねてきた。
「『緑の奇跡』なら、お城の書物庫で読んだけど...七つもあるの?」
ガーネットの返答に、
「そう!『緑の奇跡』はその一つ。『奇跡の雫』を手に入れるには、まず、その花の蜜を全部、集めないといけないの!」
アリーが説明をする。
「『全部』って...『緑の奇跡の雫』なら持ってるけど...」
それを聞いたガーネットが、腰のポーチから魔法のガラス瓶を取り出すと、
「...それ、『紫の奇跡の雫』じゃない...」
アリーがガラス瓶を見て、指摘する。
「あっ!間違えた!これ!...じゃなくて、これ!」
結局、ガーネットは、『緑の奇跡の雫』の他に、ミールで朝、見つけた紫の雫。それにドラゴンの財宝の中にあった黄色の雫も、机の上に置いた。すると、
「ちょっと!あなた、3つも集めたの?!」
それを見たアリーが、目を見開いている。
「あっ、これ、やっぱり、『緑の奇跡の雫』の親戚だったんだ...でも、何がそんなにすごいの?」
ガーネットはアリーの態度が腑に落ちない。
どれも高価そうなアイテムではあったが、最初の『緑の奇跡の雫』以外は、苦労して集めた覚えがないからだ。
「...そっか...あなたは知らないんだね...」
そんなガーネットを見たアリーは、意味ありげにつぶやく。
「どういうこと?」
ガーネットが首を傾げていると、
「う~~~~~ん...話していいものかな...サンストーンはどう思う?」
アリーはそう言うと、サンストーンの耳元でなにやらヒソヒソ、口にしている。
「ふん...ふん...」
サンストーンはしばらく、相槌を打っていたが、
「なるほど...そういうことなら言わない方がいいね!残りの4つを集めるのに負の影響しか及ぼさない!」
聞き終わると、ガーネットを横目で見ながら、アリーに答える。
「・・・」
その言動に微妙な顔をしているガーネットだったが、
「君の気持ちは良く分かる。でも、本気で『奇跡の雫』を手に入れたいのなら、今は聞かない方がいい!僕を信じてくれ!」
サンストーンにそう忠告されると、
「はい。大賢者様がそうおっしゃるなら...」
とりあえず、不問に付すことにしたようだ。そして、
「じゃあ、残りの4つを集めたらいいのね?」
アリーにやるべきことを確認するが、
「まあね!...でも、口で言うほど簡単じゃないよ!3つくらいなら数十年に一回くらいは集めれる人がいる...でも7つ全てとなると...」
アリーは難しい顔をしている。
「そっか...やっぱり、いばらの道が待ってるんだ...でも、やるしかないの!!他の4つの花が咲いている場所は分からないの?」
ことの重大さを理解した様子のガーネットだったが、覚悟を決め、アリーに問いかけると、
「う~~~~~ん...自分で調べた方がいいかな!その寄り道もきっと『七色の奇跡の雫』への道しるべになるよ!」
アリーはそう答えた。
「でも、お城の書物庫は調べ尽くしたし...」
ガーネットが困っていると、
「じゃあ、この研究所の資料室を探したらいい!ここには研究途中の論文がたくさんある!不確実な情報も多いし、難解で読みにくいと思うけど、新たな発見があるかもね!」
サンストーンがアドバイスしてくれた。
「そういうことでしたら、お言葉に甘えて...」
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