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Maid 25. 奇跡の花の在り処
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「こっちだよ!」
その後、サンストーンと別れたガーネットたちは、アリーの案内で、研究所の資料室にやってきた。
中に入ると、
「うわぁ~~~~...」
見るなり顔をしかめるガーネット。
広い空間に棚が並べられているのだが、全く整理されていない。
ただ、書類の束が雑然と置かれているだけで、どこに何があるのか見当もつかなかった。
「どうしよう...こんなにたくさん...どこから手をつけたらいいのか...」
ガーネットが途方に暮れていると、
「もう!これくらいでくじけてちゃ、『奇跡の雫』なんて手に入らないよ!...えっと、その関連の研究論文は...」
そう言いながらもアリーは、関係する論文のありそうな場所にガーネットを案内してくれた。
「ここら辺だね!」
アリーの言葉に、
「それでもこんなに...でも、アリーの言う通りだよね!これくらいなんともない!!姫様のためなら!!」
ガーネットは自らを鼓舞するように口にすると、とりあえず持てるだけの書類を持って、机に向かう。
<ドン!>
「よし!」
書類の束を机に置いた、ガーネットは腕まくりをすると、一枚ずつ読み始めた。
「えっと...『薬草の癒やし効果と土中の養分構成の関係性』ってどういうこと?!」
タイトルを読んでみたものの、意味が全く分からない。
続きを読んでみるが、
「土中の魔力濃度をxとし、窒素化合物の濃度をyとした場合、各薬草とその癒やし効果の関係は次の方程式で...」
そこで口が止まる。
「どうしたの?」
アリーが聞くと、
「これ、何語?」
数式を見て、ガーネットが首を傾げている。
「これは関係ないよ!とにかく、斜め読みして、『奇跡の花』と『生育場所』という単語だけ探していかないと、永久に終わらないよ!」
アリーはため息をつきながら、ガーネットにアドバイスした。
「わ、分かった!」
アリーに従い、書類を次々にめくっていくガーネット。すると、
<パラパラパラ...>
隣からも書類をめくる音が聞こえる。
「ん?」
見ると、マリンも書類に目を通していた。
猫の手で器用に紙を扱っている。
「ふふふ!マリンも手伝ってくれてるの?ありがと!」
ガーネットが微笑ましげに笑う。
<パラパラパラパラ...>
しばらく資料室に紙をめくる音だけが響いていた。
「ふぁぁぁ~~~あ!サンストーンの部屋は分かる?見つけたら戻って...」
アリーがあくびをしながら、そう口にした時、
「ミャ~~~~~!!」
マリンが叫び声を上げる。
「どうしたの?マリン!あんまり大きな声を出すとまた、怒られるよ!」
ガーネットが注意するが、
「ミャッ!ミャッ!」
マリンは、とある書類を『見てくれ』とばかりに手で叩いていた。
「どうしたの?いたずらは...って...えっ?!」
その書類を見たガーネットは驚いてしまう。
そこに書かれていたのは、
『赤の奇跡と青の奇跡-赤は暑さを好み、青は寒さを好む。人目のつかない洞窟の最奥にて、ひっそりと芽を出すと言われており...』
「こ、これは!!」
ガーネットが紙を取り上げて、詳しく読む。
そして最後まで読み切ると、口を開く。
「つまり、『赤の奇跡』は『溶岩のあふれ出る洞窟』に、『青の奇跡』は『氷に閉ざされた洞窟』にあるんだね!...でも、肝心のその洞窟はどこに...」
そこまでは書かれていなかった。
「それなら、サンストーンが知ってると思うよ!一度、部屋に帰ろうか?」
「うん!!」
アリーの勧めに、ガーネットたちは駆け足でサンストーンの居室に戻ったのだった。
☆彡彡彡
「ああ!それなら大体の見当はつくよ!」
ガーネットが持ってきた書類を見たサンストーンはこともなげに言う。
「ホントですか?!どこに?!」
真剣な顔で問い詰めてくるガーネットに、
「近い近い!!可愛い顔してるけど、そんなに顔を近づけたら、誰かさんが妬いちゃうんじゃないかな?」
「あっ!!」
サンストーンの言葉に我に返ったガーネットが、恥ずかしそうに顔を離す。
「失礼しました...」
ガーネットは申し訳なさそうだが、
「シャ~~~~~~~!!」
マリンは殺さんばかりの目でサンストーンを見ている。
「...もしかして、もうちょっと近づいてたら本当に殺されてた?」
サンストーンがマリンに目をやると、
「ミャッ!」
鋭く睨むマリン。
<ブルッ!>
思わず、体が震えてしまうサンストーンだった。
「と、と、とにかく!...『溶岩のあふれ出る洞窟』とは『灼熱の迷宮』のことだね!『カリナン』の街の近くにあるよ!」
慌てて話を戻したサンストーンに、ガーネットが聞く。
「では、『氷に閉ざされた洞窟』は?」
すると、
「それは『氷結の迷宮』だね!『エカティ』の街からしばらく北に行ったところだ!」
サンストーンが詳しく教えてくれる。
「『カリナン』に『エカティ』か...」
ガーネットが難しい顔をする。
『カリナン』は王国の南の端にある。辺境で強い魔物がたくさん出る地域だ。
対して、『エカティ』は北の端。辺境なのは同じだが、方向が正反対だ。
「どうする?諦める?」
からかうように問いかけるサンストーンに、
「まさか!!姫様のためならどんな困難でも!!...とりあえず『カリナン』から!!」
決意に満ちた目で声を上げるガーネット。
すると、サンストーンはにっこりと笑い、
「だってさ!」
意味ありげにマリンを見る。
「ミャ~~~~...」
恥ずかしさとうれしさの交ざったような顔のマリン。
それを楽しそうに見ていたサンストーンだったが、
「じゃあ、7つ揃ったら戻っておいで!...ところでアリー、その後はどうするんだい?」
全て集まったら、どうしたらいいのか、アリーに聞いた。
「それはね!...ヒソヒソ...」
「ふん...ふん...」
しばらく、内緒話をしていた2人だったが、
「なるほど...でも、実例がないかもうちょっと調べてみたいところだね!アリーも手伝って...」
サンストーンが話しだした時、
「ねぇ!サンストーン!あたしもこの子たちについていってもいい?」
アリーはそんなことを言ってきたのだった。
その後、サンストーンと別れたガーネットたちは、アリーの案内で、研究所の資料室にやってきた。
中に入ると、
「うわぁ~~~~...」
見るなり顔をしかめるガーネット。
広い空間に棚が並べられているのだが、全く整理されていない。
ただ、書類の束が雑然と置かれているだけで、どこに何があるのか見当もつかなかった。
「どうしよう...こんなにたくさん...どこから手をつけたらいいのか...」
ガーネットが途方に暮れていると、
「もう!これくらいでくじけてちゃ、『奇跡の雫』なんて手に入らないよ!...えっと、その関連の研究論文は...」
そう言いながらもアリーは、関係する論文のありそうな場所にガーネットを案内してくれた。
「ここら辺だね!」
アリーの言葉に、
「それでもこんなに...でも、アリーの言う通りだよね!これくらいなんともない!!姫様のためなら!!」
ガーネットは自らを鼓舞するように口にすると、とりあえず持てるだけの書類を持って、机に向かう。
<ドン!>
「よし!」
書類の束を机に置いた、ガーネットは腕まくりをすると、一枚ずつ読み始めた。
「えっと...『薬草の癒やし効果と土中の養分構成の関係性』ってどういうこと?!」
タイトルを読んでみたものの、意味が全く分からない。
続きを読んでみるが、
「土中の魔力濃度をxとし、窒素化合物の濃度をyとした場合、各薬草とその癒やし効果の関係は次の方程式で...」
そこで口が止まる。
「どうしたの?」
アリーが聞くと、
「これ、何語?」
数式を見て、ガーネットが首を傾げている。
「これは関係ないよ!とにかく、斜め読みして、『奇跡の花』と『生育場所』という単語だけ探していかないと、永久に終わらないよ!」
アリーはため息をつきながら、ガーネットにアドバイスした。
「わ、分かった!」
アリーに従い、書類を次々にめくっていくガーネット。すると、
<パラパラパラ...>
隣からも書類をめくる音が聞こえる。
「ん?」
見ると、マリンも書類に目を通していた。
猫の手で器用に紙を扱っている。
「ふふふ!マリンも手伝ってくれてるの?ありがと!」
ガーネットが微笑ましげに笑う。
<パラパラパラパラ...>
しばらく資料室に紙をめくる音だけが響いていた。
「ふぁぁぁ~~~あ!サンストーンの部屋は分かる?見つけたら戻って...」
アリーがあくびをしながら、そう口にした時、
「ミャ~~~~~!!」
マリンが叫び声を上げる。
「どうしたの?マリン!あんまり大きな声を出すとまた、怒られるよ!」
ガーネットが注意するが、
「ミャッ!ミャッ!」
マリンは、とある書類を『見てくれ』とばかりに手で叩いていた。
「どうしたの?いたずらは...って...えっ?!」
その書類を見たガーネットは驚いてしまう。
そこに書かれていたのは、
『赤の奇跡と青の奇跡-赤は暑さを好み、青は寒さを好む。人目のつかない洞窟の最奥にて、ひっそりと芽を出すと言われており...』
「こ、これは!!」
ガーネットが紙を取り上げて、詳しく読む。
そして最後まで読み切ると、口を開く。
「つまり、『赤の奇跡』は『溶岩のあふれ出る洞窟』に、『青の奇跡』は『氷に閉ざされた洞窟』にあるんだね!...でも、肝心のその洞窟はどこに...」
そこまでは書かれていなかった。
「それなら、サンストーンが知ってると思うよ!一度、部屋に帰ろうか?」
「うん!!」
アリーの勧めに、ガーネットたちは駆け足でサンストーンの居室に戻ったのだった。
☆彡彡彡
「ああ!それなら大体の見当はつくよ!」
ガーネットが持ってきた書類を見たサンストーンはこともなげに言う。
「ホントですか?!どこに?!」
真剣な顔で問い詰めてくるガーネットに、
「近い近い!!可愛い顔してるけど、そんなに顔を近づけたら、誰かさんが妬いちゃうんじゃないかな?」
「あっ!!」
サンストーンの言葉に我に返ったガーネットが、恥ずかしそうに顔を離す。
「失礼しました...」
ガーネットは申し訳なさそうだが、
「シャ~~~~~~~!!」
マリンは殺さんばかりの目でサンストーンを見ている。
「...もしかして、もうちょっと近づいてたら本当に殺されてた?」
サンストーンがマリンに目をやると、
「ミャッ!」
鋭く睨むマリン。
<ブルッ!>
思わず、体が震えてしまうサンストーンだった。
「と、と、とにかく!...『溶岩のあふれ出る洞窟』とは『灼熱の迷宮』のことだね!『カリナン』の街の近くにあるよ!」
慌てて話を戻したサンストーンに、ガーネットが聞く。
「では、『氷に閉ざされた洞窟』は?」
すると、
「それは『氷結の迷宮』だね!『エカティ』の街からしばらく北に行ったところだ!」
サンストーンが詳しく教えてくれる。
「『カリナン』に『エカティ』か...」
ガーネットが難しい顔をする。
『カリナン』は王国の南の端にある。辺境で強い魔物がたくさん出る地域だ。
対して、『エカティ』は北の端。辺境なのは同じだが、方向が正反対だ。
「どうする?諦める?」
からかうように問いかけるサンストーンに、
「まさか!!姫様のためならどんな困難でも!!...とりあえず『カリナン』から!!」
決意に満ちた目で声を上げるガーネット。
すると、サンストーンはにっこりと笑い、
「だってさ!」
意味ありげにマリンを見る。
「ミャ~~~~...」
恥ずかしさとうれしさの交ざったような顔のマリン。
それを楽しそうに見ていたサンストーンだったが、
「じゃあ、7つ揃ったら戻っておいで!...ところでアリー、その後はどうするんだい?」
全て集まったら、どうしたらいいのか、アリーに聞いた。
「それはね!...ヒソヒソ...」
「ふん...ふん...」
しばらく、内緒話をしていた2人だったが、
「なるほど...でも、実例がないかもうちょっと調べてみたいところだね!アリーも手伝って...」
サンストーンが話しだした時、
「ねぇ!サンストーン!あたしもこの子たちについていってもいい?」
アリーはそんなことを言ってきたのだった。
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