ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 43. ガーネットの失言

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「『姫様しか使えない』ということは、つまり、あの子...あの方は...あんた、もしかして、この国の姫様のメイドかい?!」
アメジストがガーネットに詰め寄る。
「そ、そうじゃありません!!...姫様の魔法の腕は国中に知れ渡ってますから...」
ガーネットはなんとかごまかそうとするが、
(バレバレだね...)
アリーは思う。
純粋なガーネットにウソはつけない。
その目は泳いでしまっていた。しかし、

「そうかい!」
アメジストは、特に気を留めた様子はない。

(いいのか?だとしたら私たちは大変な失礼を...)
(いいんだよ!向こうは何も言わなかったし、この子も否定した!)
(そうっスね!不敬にはならないっスよね!)
(そうさ!そして、この情報は...)
アメジストたちは、こっそりそんな会話をしながら、ほくそ笑んでいた。

(良かった!バレてない!)
そんな様子など、気が付く様子もなく、胸を撫で下ろしているガーネット。
しかし、アリーは、
(こいつら、また良からぬこと、考えてるね!後でお姫様に言っとかないと!)
アメジストたちを睨んでいる。すると、

「ミャ~~~~!」
マリンがどこからか歩いてきた。
「マリン!どこ行ってたの?無事で良かった!」
うれしそうに胸に抱きしめるガーネット。対し、

「な、な、なんでしょうか?私たちは決して、あなた様の正体には気付いておりません!」
「そ、そうっス!じゃなくて、そうです!秘密もバラしておりませんし...」
「な、何かお気に障ることがありましたら、ご容赦を!!」
ろくでなし3人組は低姿勢で、弁明らしきことをまくし立てている。

(そういう態度が怪しいんだよ...いくらニブいガーネットでも...)
姫様の秘密がバレるのではと、ハラハラするアリーだったが、

「いきなりどうしたんですか?...そっか!マリン、アメジストさんたちと遊んでもらってたんだね!なんの遊び?」
ガーネットは笑いながら、マリンを撫でている。
「ミャ~~~~!」
マリンはうれしそうに鳴いた。

(ふう...バレてない...今ので気付かない方も気付かない方だけど!)
今度はため息をつくアリー。すると、

「じゃ、じゃあ、そういうことで!」
アメジストたちはさっさと退散しようと、振り返り、階段へと向かう。
「あっ!」
ガーネットが引き留めようとすると、
「あっ!そうだ!」
アメジストが振り向く。そして、
「あの!助けて...」
お礼を言おうとするガーネットを遮って、口にしたのは、

「その...さっきは助けてくれてありがとう...」

意外にも、感謝の言葉だった。
恥ずかしいのか、頬を染め、目を逸らしてしまっているが、アメジストは確かにそう言った。

「・・・」
一瞬、驚いていたガーネットだったが、
「何言ってるんですか!!アメジストさんなら、落ちても簡単に脱出できましたよね?!余計なことをしてすいません...」
逆に恐縮する。
「そんなことはないさ!!ホント助かったよ!まあ、わびと言っちゃなんだが...」
アメジストが、財布を取り出すと、
「そんな!!お礼をしなきゃいけないのは私の方で!!...えっと、何を差し上げたら...」
ガーネットが身の回りのものを探しだす。
「えっ?いいのかい?」
その様子に、アメジストが思わず、頬を緩めてしまうと、
「シャ~~~~~!!」
マリンがアメジストを睨みつけた。
「い、いや!ホント、いらないし!!っていうか、もらったら死ぬし!!さよなら~~~~!!」
「バイバイっス!」
「さらばだ!!」
途端に、アメジストたちは逃げるように走り去っていく。

「ふふふ!本当に無欲な人たち!!」
笑顔のガーネットと、
「ミャ~~~!!」
難しい顔をしているマリン。
「でも...ちょっとはいいところもあるんだね!」
アメジストのお礼に、アリーは少し、心が明るくなるのだった。

☆彡彡彡

その夜、
「ス~~~~...ス~~~~...」
ベッドで寝ているガーネットのそばには姫様が。
「...また、ガーネットを危険な目にあわせてしまった...」
その目は悲しそうだ。
「ゴメンね!」
そして、ガーネットの髪を優しく撫でだす。
「んん...姫様...」
ガーネットの寝言。
気のせいか、表情が安らかになったように感じる。
「ふふふ!可愛い!」
一瞬、笑顔になった姫様だったが、
「でも...猫の姿ではガーネットを守れない!!本意ではないけれど...」
そうつぶやくと、魔法を唱える。
重力グラビティ操作コントロール!」
そして、窓からどこかへと飛び去っていくのだった。
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