43 / 76
Maid 43. ガーネットの失言
しおりを挟む
「『姫様しか使えない』ということは、つまり、あの子...あの方は...あんた、もしかして、この国の姫様のメイドかい?!」
アメジストがガーネットに詰め寄る。
「そ、そうじゃありません!!...姫様の魔法の腕は国中に知れ渡ってますから...」
ガーネットはなんとかごまかそうとするが、
(バレバレだね...)
アリーは思う。
純粋なガーネットにウソはつけない。
その目は泳いでしまっていた。しかし、
「そうかい!」
アメジストは、特に気を留めた様子はない。
(いいのか?だとしたら私たちは大変な失礼を...)
(いいんだよ!向こうは何も言わなかったし、この子も否定した!)
(そうっスね!不敬にはならないっスよね!)
(そうさ!そして、この情報は...)
アメジストたちは、こっそりそんな会話をしながら、ほくそ笑んでいた。
(良かった!バレてない!)
そんな様子など、気が付く様子もなく、胸を撫で下ろしているガーネット。
しかし、アリーは、
(こいつら、また良からぬこと、考えてるね!後でお姫様に言っとかないと!)
アメジストたちを睨んでいる。すると、
「ミャ~~~~!」
マリンがどこからか歩いてきた。
「マリン!どこ行ってたの?無事で良かった!」
うれしそうに胸に抱きしめるガーネット。対し、
「な、な、なんでしょうか?私たちは決して、あなた様の正体には気付いておりません!」
「そ、そうっス!じゃなくて、そうです!秘密もバラしておりませんし...」
「な、何かお気に障ることがありましたら、ご容赦を!!」
ろくでなし3人組は低姿勢で、弁明らしきことをまくし立てている。
(そういう態度が怪しいんだよ...いくらニブいガーネットでも...)
姫様の秘密がバレるのではと、ハラハラするアリーだったが、
「いきなりどうしたんですか?...そっか!マリン、アメジストさんたちと遊んでもらってたんだね!なんの遊び?」
ガーネットは笑いながら、マリンを撫でている。
「ミャ~~~~!」
マリンはうれしそうに鳴いた。
(ふう...バレてない...今ので気付かない方も気付かない方だけど!)
今度はため息をつくアリー。すると、
「じゃ、じゃあ、そういうことで!」
アメジストたちはさっさと退散しようと、振り返り、階段へと向かう。
「あっ!」
ガーネットが引き留めようとすると、
「あっ!そうだ!」
アメジストが振り向く。そして、
「あの!助けて...」
お礼を言おうとするガーネットを遮って、口にしたのは、
「その...さっきは助けてくれてありがとう...」
意外にも、感謝の言葉だった。
恥ずかしいのか、頬を染め、目を逸らしてしまっているが、アメジストは確かにそう言った。
「・・・」
一瞬、驚いていたガーネットだったが、
「何言ってるんですか!!アメジストさんなら、落ちても簡単に脱出できましたよね?!余計なことをしてすいません...」
逆に恐縮する。
「そんなことはないさ!!ホント助かったよ!まあ、わびと言っちゃなんだが...」
アメジストが、財布を取り出すと、
「そんな!!お礼をしなきゃいけないのは私の方で!!...えっと、何を差し上げたら...」
ガーネットが身の回りのものを探しだす。
「えっ?いいのかい?」
その様子に、アメジストが思わず、頬を緩めてしまうと、
「シャ~~~~~!!」
マリンがアメジストを睨みつけた。
「い、いや!ホント、いらないし!!っていうか、もらったら死ぬし!!さよなら~~~~!!」
「バイバイっス!」
「さらばだ!!」
途端に、アメジストたちは逃げるように走り去っていく。
「ふふふ!本当に無欲な人たち!!」
笑顔のガーネットと、
「ミャ~~~!!」
難しい顔をしているマリン。
「でも...ちょっとはいいところもあるんだね!」
アメジストのお礼に、アリーは少し、心が明るくなるのだった。
☆彡彡彡
その夜、
「ス~~~~...ス~~~~...」
ベッドで寝ているガーネットのそばには姫様が。
「...また、ガーネットを危険な目にあわせてしまった...」
その目は悲しそうだ。
「ゴメンね!」
そして、ガーネットの髪を優しく撫でだす。
「んん...姫様...」
ガーネットの寝言。
気のせいか、表情が安らかになったように感じる。
「ふふふ!可愛い!」
一瞬、笑顔になった姫様だったが、
「でも...猫の姿ではガーネットを守れない!!本意ではないけれど...」
そうつぶやくと、魔法を唱える。
「重力操作!」
そして、窓からどこかへと飛び去っていくのだった。
アメジストがガーネットに詰め寄る。
「そ、そうじゃありません!!...姫様の魔法の腕は国中に知れ渡ってますから...」
ガーネットはなんとかごまかそうとするが、
(バレバレだね...)
アリーは思う。
純粋なガーネットにウソはつけない。
その目は泳いでしまっていた。しかし、
「そうかい!」
アメジストは、特に気を留めた様子はない。
(いいのか?だとしたら私たちは大変な失礼を...)
(いいんだよ!向こうは何も言わなかったし、この子も否定した!)
(そうっスね!不敬にはならないっスよね!)
(そうさ!そして、この情報は...)
アメジストたちは、こっそりそんな会話をしながら、ほくそ笑んでいた。
(良かった!バレてない!)
そんな様子など、気が付く様子もなく、胸を撫で下ろしているガーネット。
しかし、アリーは、
(こいつら、また良からぬこと、考えてるね!後でお姫様に言っとかないと!)
アメジストたちを睨んでいる。すると、
「ミャ~~~~!」
マリンがどこからか歩いてきた。
「マリン!どこ行ってたの?無事で良かった!」
うれしそうに胸に抱きしめるガーネット。対し、
「な、な、なんでしょうか?私たちは決して、あなた様の正体には気付いておりません!」
「そ、そうっス!じゃなくて、そうです!秘密もバラしておりませんし...」
「な、何かお気に障ることがありましたら、ご容赦を!!」
ろくでなし3人組は低姿勢で、弁明らしきことをまくし立てている。
(そういう態度が怪しいんだよ...いくらニブいガーネットでも...)
姫様の秘密がバレるのではと、ハラハラするアリーだったが、
「いきなりどうしたんですか?...そっか!マリン、アメジストさんたちと遊んでもらってたんだね!なんの遊び?」
ガーネットは笑いながら、マリンを撫でている。
「ミャ~~~~!」
マリンはうれしそうに鳴いた。
(ふう...バレてない...今ので気付かない方も気付かない方だけど!)
今度はため息をつくアリー。すると、
「じゃ、じゃあ、そういうことで!」
アメジストたちはさっさと退散しようと、振り返り、階段へと向かう。
「あっ!」
ガーネットが引き留めようとすると、
「あっ!そうだ!」
アメジストが振り向く。そして、
「あの!助けて...」
お礼を言おうとするガーネットを遮って、口にしたのは、
「その...さっきは助けてくれてありがとう...」
意外にも、感謝の言葉だった。
恥ずかしいのか、頬を染め、目を逸らしてしまっているが、アメジストは確かにそう言った。
「・・・」
一瞬、驚いていたガーネットだったが、
「何言ってるんですか!!アメジストさんなら、落ちても簡単に脱出できましたよね?!余計なことをしてすいません...」
逆に恐縮する。
「そんなことはないさ!!ホント助かったよ!まあ、わびと言っちゃなんだが...」
アメジストが、財布を取り出すと、
「そんな!!お礼をしなきゃいけないのは私の方で!!...えっと、何を差し上げたら...」
ガーネットが身の回りのものを探しだす。
「えっ?いいのかい?」
その様子に、アメジストが思わず、頬を緩めてしまうと、
「シャ~~~~~!!」
マリンがアメジストを睨みつけた。
「い、いや!ホント、いらないし!!っていうか、もらったら死ぬし!!さよなら~~~~!!」
「バイバイっス!」
「さらばだ!!」
途端に、アメジストたちは逃げるように走り去っていく。
「ふふふ!本当に無欲な人たち!!」
笑顔のガーネットと、
「ミャ~~~!!」
難しい顔をしているマリン。
「でも...ちょっとはいいところもあるんだね!」
アメジストのお礼に、アリーは少し、心が明るくなるのだった。
☆彡彡彡
その夜、
「ス~~~~...ス~~~~...」
ベッドで寝ているガーネットのそばには姫様が。
「...また、ガーネットを危険な目にあわせてしまった...」
その目は悲しそうだ。
「ゴメンね!」
そして、ガーネットの髪を優しく撫でだす。
「んん...姫様...」
ガーネットの寝言。
気のせいか、表情が安らかになったように感じる。
「ふふふ!可愛い!」
一瞬、笑顔になった姫様だったが、
「でも...猫の姿ではガーネットを守れない!!本意ではないけれど...」
そうつぶやくと、魔法を唱える。
「重力操作!」
そして、窓からどこかへと飛び去っていくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる