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Maid 44. 姫様の脅迫
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その頃、街の高級宿では、
「ふっ、ふっ、ふ!なかなかの案だろ!」
アメジストがパールとヒスイに、話を持ちかけていた。
「すごいっス!そんなことを思いつくなんて!!」
パールは目を輝かせているが、
「しかし、そんなうまくいくのか?」
ヒスイは懐疑的なようだ。
「絶対、間違いないって!!あの後、調べたら、『王城で姫様が行方不明になり、極秘で捜し回っている』という情報が入った!」
アメジストはニンマリ笑うと、そう口にする。
「じゃあ、あの猫を『これが姫様です』と差し出したら!」
パールも顔をほころばせるが、
「しかし、どうやって連れていく?それに変身を解かなければ、信じてもらえないぞ!」
ヒスイは難しい顔で、問題点を指摘した。
「ふふふ!だから、今からその相談を...」
アメジストの言葉に、
「あら、楽しそうね!私もまぜてくれるかしら?」
綺麗な女性の声がかけられた。
「「「ひっ!!」」」
今日の昼間に聞いたその声に、飛び上がらんばかりに驚く、ろくでなし3人組。
「あ、あ、あなた様は!!...なぜ私たちの居場所を?」
アメジストはかろうじて、口を開く。
「あなたたちの魔力反応は覚えたわ!それをたどれば簡単よ!」
姫様の返事に、
「今の話は...その...す、すいませんっス!!つい、出来心で!!」
「わ、私は止めました!!悪いのはアメジスト...」
「おい!自分だけ、いい子になるつもりか?!」
慌てて言い訳をすると、続けて、言い争いを始める。
「いいのよ!続きを聞かせてちょうだい?」
姫様がにっこり笑って口にした言葉に、
「は、はい!あのメイドをさらって、『元の姿でここに来たら返してやる』と...」
「おい!!」
うっかりしゃべってしまったアメジストを、ヒスイが咎めるが、
「ウィンド!」
「「「あち~~~~!!」」」
姫様が笑顔のまま、呪文を詠唱すると、アメジストたちは顔を押さえて、苦しみだす。
「し、死ぬっス!!顔が焼けて...」
「お、お願いです!魔法を解いてください!!」
「なんで私まで...」
3人は必死で姫様にお願いをした。
「これが、火口に落ちたガーネットの苦しみよ!分かった?」
笑顔を崩さずに話しかける姫様。
「わ、わ、分かりました!!ホントに悪かったと思ってます!!」
「今の話もちょっとした冗談で...」
「だから、私は何度も止めようとしていたではありませんか?見てらっしゃらなかったのですか?」
ペコペコ頭を下げだすアメジストたち。
「ふん!」
姫様が魔法を解除すると、
「助かった~~~...」
「アメジストが余計なことを言うから!!」
「ホントだ!とんだとばっちりだ!!」
ホッとした様子のろくでなしたち。
「私はともかく、ガーネットに手を出してごらんなさい?あなたたちの存在がこの世から消えるわよ!!」
「「「ひえぇぇ~~~~~!!」」」
姫様の掌の上には、直径1mはあろうかという、火の玉ができていた。
「さて!ここに来た理由だけど...」
大人しくなったアメジストたちを見て、魔法をしまった姫様が話しだす。
「はっ!なんなりと!」
跪き、真剣な顔で姫様を見つめるアメジストたち。
「...調子いいわね!まあ、いいわ!これから私たちはエカティに向かうの!」
姫様の言葉に、
「そうですか!」
「お気をつけて!」
「ご無事をお祈りしております!」
早々に話を打ち切ろうと試みるアメジストたち。しかし、
「そして『氷結の迷宮』に潜るんだけど、ガーネットの護衛がいるのよね!」
姫様はそんなバカどもを無視して、続けた。
「えっ?でもあのメイドは強い...まさか!!」
そこまで話して、アメジストは何かに気付いたようだった。しかし、
「...『ガーネット様』」
そんなアメジストに姫様は冷たく言い放つ。
「はっ?」
『意味が分からない』といった顔のアメジストに、姫様は詳しく説明してあげた。
「これからガーネットのことは『様』付けで呼びなさい!それと私の100倍、敬うこと!!」
「で、でもあの子...」
<ギロッ!>
姫様に鋭い目で見つめられたアメジストは言い直す。
「ガーネット様は姫様のメイドでは?」
「ええ、そうよ!」
姫様は『それがどうしたの』とでも言いたげな顔をしているが、
「なぜ、そんなに敬う必要が...」
アメジストの当たり前の質問に、
「それは...その...」
姫様は消え入りそうな声で何か答えた。
「あの...申し訳ございませんが、良く聞き取れなかったのですが...」
アメジストの言葉に、
「しょ、将来の旦那様だからに決まってるでしょ!!」
姫様は顔を耳まで真っ赤にしながら、声を上げた。
「「「ええぇぇぇ~~~~~!!」」」
思わず、叫んでしまうアメジストたち。
そんな3人に姫様は言う。
「何か問題でも?」
とげのある口調に、
「い、いえ、決して!!」
それ以上は触れないでおこうと決めたアメジストたちだった。
「とにかく、ガーネットはか弱い女の子なの!!アリーがいるけど、高難易度の迷宮に挑むには戦力が足りないのよ!!」
姫様がごまかすように話を戻すと、
「で、では、オーガやドラゴンを倒したのは...」
「ええ!私よ!」
アメジストが質問してきたので、姫様は答える。
(なるほど!!それなら説明がつく...)
アメジストは、フェニックス戦や、灼熱の迷宮で、ガーネットが何もしていなかったことを思い出した。
それと同時に、ガーネットからなんのオーラも感じなかったことも理解する。
(力を隠していたのではなく、もともと、なんの力もなかったんだね...あたしとしたことが見誤るなんて...)
真の強者は一般人と変わらないように見えるという。
『オーガを倒した』という思い込みから、アメジストはガーネットが力を隠していると勘違いしていたのだ。
「とにかく、あなたたちには一緒にエカティに行って、迷宮にも同行してほしいの!」
姫様のお願いに、
「大変、申し訳ないのですが、私たちも多忙なものでして...」
アメジストが遠回しに断ろうとすると、
<ギロッ!>
姫様がアメジストたちを睨みつけた。
「じょ、じょ、冗談ですよ~~~!!」
慌てて撤回するアメジスト。
「よろしい!...それと...」
冷たい目でアメジストたちを見ている姫様が、意味ありげに口を止めた。
「な、な、なんでしょうか?!」
恐る恐る、尋ねるアメジスト。
「逃げたらどうなるか...よかったら、試してみてもいいわよ!」
姫様はにっこり笑うと、そう続けた。
「ふっ、ふっ、ふ!なかなかの案だろ!」
アメジストがパールとヒスイに、話を持ちかけていた。
「すごいっス!そんなことを思いつくなんて!!」
パールは目を輝かせているが、
「しかし、そんなうまくいくのか?」
ヒスイは懐疑的なようだ。
「絶対、間違いないって!!あの後、調べたら、『王城で姫様が行方不明になり、極秘で捜し回っている』という情報が入った!」
アメジストはニンマリ笑うと、そう口にする。
「じゃあ、あの猫を『これが姫様です』と差し出したら!」
パールも顔をほころばせるが、
「しかし、どうやって連れていく?それに変身を解かなければ、信じてもらえないぞ!」
ヒスイは難しい顔で、問題点を指摘した。
「ふふふ!だから、今からその相談を...」
アメジストの言葉に、
「あら、楽しそうね!私もまぜてくれるかしら?」
綺麗な女性の声がかけられた。
「「「ひっ!!」」」
今日の昼間に聞いたその声に、飛び上がらんばかりに驚く、ろくでなし3人組。
「あ、あ、あなた様は!!...なぜ私たちの居場所を?」
アメジストはかろうじて、口を開く。
「あなたたちの魔力反応は覚えたわ!それをたどれば簡単よ!」
姫様の返事に、
「今の話は...その...す、すいませんっス!!つい、出来心で!!」
「わ、私は止めました!!悪いのはアメジスト...」
「おい!自分だけ、いい子になるつもりか?!」
慌てて言い訳をすると、続けて、言い争いを始める。
「いいのよ!続きを聞かせてちょうだい?」
姫様がにっこり笑って口にした言葉に、
「は、はい!あのメイドをさらって、『元の姿でここに来たら返してやる』と...」
「おい!!」
うっかりしゃべってしまったアメジストを、ヒスイが咎めるが、
「ウィンド!」
「「「あち~~~~!!」」」
姫様が笑顔のまま、呪文を詠唱すると、アメジストたちは顔を押さえて、苦しみだす。
「し、死ぬっス!!顔が焼けて...」
「お、お願いです!魔法を解いてください!!」
「なんで私まで...」
3人は必死で姫様にお願いをした。
「これが、火口に落ちたガーネットの苦しみよ!分かった?」
笑顔を崩さずに話しかける姫様。
「わ、わ、分かりました!!ホントに悪かったと思ってます!!」
「今の話もちょっとした冗談で...」
「だから、私は何度も止めようとしていたではありませんか?見てらっしゃらなかったのですか?」
ペコペコ頭を下げだすアメジストたち。
「ふん!」
姫様が魔法を解除すると、
「助かった~~~...」
「アメジストが余計なことを言うから!!」
「ホントだ!とんだとばっちりだ!!」
ホッとした様子のろくでなしたち。
「私はともかく、ガーネットに手を出してごらんなさい?あなたたちの存在がこの世から消えるわよ!!」
「「「ひえぇぇ~~~~~!!」」」
姫様の掌の上には、直径1mはあろうかという、火の玉ができていた。
「さて!ここに来た理由だけど...」
大人しくなったアメジストたちを見て、魔法をしまった姫様が話しだす。
「はっ!なんなりと!」
跪き、真剣な顔で姫様を見つめるアメジストたち。
「...調子いいわね!まあ、いいわ!これから私たちはエカティに向かうの!」
姫様の言葉に、
「そうですか!」
「お気をつけて!」
「ご無事をお祈りしております!」
早々に話を打ち切ろうと試みるアメジストたち。しかし、
「そして『氷結の迷宮』に潜るんだけど、ガーネットの護衛がいるのよね!」
姫様はそんなバカどもを無視して、続けた。
「えっ?でもあのメイドは強い...まさか!!」
そこまで話して、アメジストは何かに気付いたようだった。しかし、
「...『ガーネット様』」
そんなアメジストに姫様は冷たく言い放つ。
「はっ?」
『意味が分からない』といった顔のアメジストに、姫様は詳しく説明してあげた。
「これからガーネットのことは『様』付けで呼びなさい!それと私の100倍、敬うこと!!」
「で、でもあの子...」
<ギロッ!>
姫様に鋭い目で見つめられたアメジストは言い直す。
「ガーネット様は姫様のメイドでは?」
「ええ、そうよ!」
姫様は『それがどうしたの』とでも言いたげな顔をしているが、
「なぜ、そんなに敬う必要が...」
アメジストの当たり前の質問に、
「それは...その...」
姫様は消え入りそうな声で何か答えた。
「あの...申し訳ございませんが、良く聞き取れなかったのですが...」
アメジストの言葉に、
「しょ、将来の旦那様だからに決まってるでしょ!!」
姫様は顔を耳まで真っ赤にしながら、声を上げた。
「「「ええぇぇぇ~~~~~!!」」」
思わず、叫んでしまうアメジストたち。
そんな3人に姫様は言う。
「何か問題でも?」
とげのある口調に、
「い、いえ、決して!!」
それ以上は触れないでおこうと決めたアメジストたちだった。
「とにかく、ガーネットはか弱い女の子なの!!アリーがいるけど、高難易度の迷宮に挑むには戦力が足りないのよ!!」
姫様がごまかすように話を戻すと、
「で、では、オーガやドラゴンを倒したのは...」
「ええ!私よ!」
アメジストが質問してきたので、姫様は答える。
(なるほど!!それなら説明がつく...)
アメジストは、フェニックス戦や、灼熱の迷宮で、ガーネットが何もしていなかったことを思い出した。
それと同時に、ガーネットからなんのオーラも感じなかったことも理解する。
(力を隠していたのではなく、もともと、なんの力もなかったんだね...あたしとしたことが見誤るなんて...)
真の強者は一般人と変わらないように見えるという。
『オーガを倒した』という思い込みから、アメジストはガーネットが力を隠していると勘違いしていたのだ。
「とにかく、あなたたちには一緒にエカティに行って、迷宮にも同行してほしいの!」
姫様のお願いに、
「大変、申し訳ないのですが、私たちも多忙なものでして...」
アメジストが遠回しに断ろうとすると、
<ギロッ!>
姫様がアメジストたちを睨みつけた。
「じょ、じょ、冗談ですよ~~~!!」
慌てて撤回するアメジスト。
「よろしい!...それと...」
冷たい目でアメジストたちを見ている姫様が、意味ありげに口を止めた。
「な、な、なんでしょうか?!」
恐る恐る、尋ねるアメジスト。
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