51 / 76
Maid 51. 氷結の迷宮の最下層
しおりを挟む
最下層にたどり着いたガーネットたち。
下りてきたのは、凍った池の中心にある小さな浮島。
そこからは、まっすぐに道が伸びており、突き当たりには、人ひとりが通れるくらいの穴が空いている。
その先は、開けた空間へと続いているようだった。
中からは、
<ガキ~~~~ン!!>
「くっ!」
「よく止めた!ジルコン!いくぞ!キャッツアイ!」
「ええ!」
「ファイアソード!」
<スバッ!!>
「ファイアボール!」
<ゴォォォ~~~~!!>
「グォォォ~~~~ン!!」
「やったの?!」
「いや、とどめはさせなかったようだ!」
「回復してるよ!!」
「そんな~~~!!」
激しい戦いの音が聞こえてくる。
「な、何が起きてるの?!」
その勢いに押され気味のガーネット。
「どこかのパーティーが強敵と戦ってるみたいだね!」
(どういうこと?アメジストたちはどうしたの?)
アリーはそう言いながらも戸惑っているようだ。
「どうしよう...」
ガーネットが迷っていると、
「ミャ~~~~!!」
突然、マリンが声を上げた。
「どうしたの?マリン...ってキャッ!!池が溶けてる...」
ガーネットの周りの池の氷が溶けだし、階段のある陸地の部分が沈みそうになっている。
どうやら、凍っていないと、安定して浮いていられないらしい。
「くっ!仕方ない!『ウィンド』止めるよ!」
アリーが『ウィンド』を解除すると、島の沈下は止まったが、
<ブルッ!>
途端にガーネットが顔をしかめ、身を震わせる。
「代わりにこれで我慢して!...対氷結障壁!」
すると、ガーネットの周りに薄い青色の膜ができ、寒さが大幅に軽減された。
「あっ!マシになった...これなら我慢できる!」
アリーの魔法にホッと一息つくガーネット。
「対氷結障壁!」
マリンと自身にもかけたアリーは、
「ここでは炎系の魔法は気をつけなきゃダメみたいだね!『青の奇跡』もこんなところに咲くくらいだから、熱には弱いのかもしれない...」
そう言って、ガーネットたちに注意をする。
その推測は事実だった。
『青の奇跡』は寒い場所でないと、すぐに枯れてしまうのだ。
「でも、あの人たちは使ってるけど...」
「ファイアボール!」
時々、中から、炎系の魔法や特技の掛け声が聞こえる。
「敵に当てれば、周りには影響がないからいいの!...どうやら、炎が弱点のボスみたいだね!あたしたちも行きましょ!」
アリーがガーネットを誘う。
「うん!」
覚悟を決めたガーネットは、真剣な眼差しをすると、道の向こうの空間へ向かって走りだした。
☆彡彡彡
ちょうどその頃、アメジストたちは、ようやく『氷結の迷宮』にたどり着いていた。
「はぁ...はぁ...しんどいっス!」
「姫様に殺されたいのか?あたしらは走るしかないんだよ!!」
「それにこの寒さだ!動くのをやめたら死ぬぞ!」
『氷結の迷宮』の中は凍えるほどの寒さだ。
「中がこんなに寒いなんて...だから、あんな分厚い服、売ってたんスね!」
パールは後悔する。
街で、『誰がこんな動きにくい服を着るんだ?』とツッコミたくなりそうなモコモコの服や帽子を売っていた。
それはこの迷宮の探索用に作られたものだったのだ。
「ふふん!そこなんかあたしは、寒さで通信用の魔道具が壊れないように、ちゃんと置いてきたのさ!」
アメジストが自慢しているが、
「おい!!あの魔道具があれば、さっきの状況を報告できたんじゃないのか?」
ヒスイがアメジストを責める。
「あっ!!」
言われて初めて気付き、『失敗した』とばかりに顔をしかめるアメジスト。
「それに、『遅れる』って連絡もできたっス!」
パールにも指摘され、
「う、うるさいな!!とにかく間に合えばいいんだろ!!急ぐよ!!」
開き直るアメジスト。
「...それしかないな!この溶けた雪の跡をたどれば追いつくはずだ!」
ヒスイが地面を見ながら口にする。
ガーネットたちが通った後は、雪が溶け、うっすらと地面が見えていた。
「あの子たち、『ウィンド』であったかくしてるね!...いいな~~~!あたしも練習しとけば良かった!」
アメジストが愚痴る。
「文句言いたいのはこっちの方っスよ~~~!」
不満たらたらのパールだったが、
「うるさい!四の五の言わず、走れ!」
アメジストに怒鳴り返され、
「ひぃぃ~~~!」
諦めたように、前を見て走り続けるのだった。
下りてきたのは、凍った池の中心にある小さな浮島。
そこからは、まっすぐに道が伸びており、突き当たりには、人ひとりが通れるくらいの穴が空いている。
その先は、開けた空間へと続いているようだった。
中からは、
<ガキ~~~~ン!!>
「くっ!」
「よく止めた!ジルコン!いくぞ!キャッツアイ!」
「ええ!」
「ファイアソード!」
<スバッ!!>
「ファイアボール!」
<ゴォォォ~~~~!!>
「グォォォ~~~~ン!!」
「やったの?!」
「いや、とどめはさせなかったようだ!」
「回復してるよ!!」
「そんな~~~!!」
激しい戦いの音が聞こえてくる。
「な、何が起きてるの?!」
その勢いに押され気味のガーネット。
「どこかのパーティーが強敵と戦ってるみたいだね!」
(どういうこと?アメジストたちはどうしたの?)
アリーはそう言いながらも戸惑っているようだ。
「どうしよう...」
ガーネットが迷っていると、
「ミャ~~~~!!」
突然、マリンが声を上げた。
「どうしたの?マリン...ってキャッ!!池が溶けてる...」
ガーネットの周りの池の氷が溶けだし、階段のある陸地の部分が沈みそうになっている。
どうやら、凍っていないと、安定して浮いていられないらしい。
「くっ!仕方ない!『ウィンド』止めるよ!」
アリーが『ウィンド』を解除すると、島の沈下は止まったが、
<ブルッ!>
途端にガーネットが顔をしかめ、身を震わせる。
「代わりにこれで我慢して!...対氷結障壁!」
すると、ガーネットの周りに薄い青色の膜ができ、寒さが大幅に軽減された。
「あっ!マシになった...これなら我慢できる!」
アリーの魔法にホッと一息つくガーネット。
「対氷結障壁!」
マリンと自身にもかけたアリーは、
「ここでは炎系の魔法は気をつけなきゃダメみたいだね!『青の奇跡』もこんなところに咲くくらいだから、熱には弱いのかもしれない...」
そう言って、ガーネットたちに注意をする。
その推測は事実だった。
『青の奇跡』は寒い場所でないと、すぐに枯れてしまうのだ。
「でも、あの人たちは使ってるけど...」
「ファイアボール!」
時々、中から、炎系の魔法や特技の掛け声が聞こえる。
「敵に当てれば、周りには影響がないからいいの!...どうやら、炎が弱点のボスみたいだね!あたしたちも行きましょ!」
アリーがガーネットを誘う。
「うん!」
覚悟を決めたガーネットは、真剣な眼差しをすると、道の向こうの空間へ向かって走りだした。
☆彡彡彡
ちょうどその頃、アメジストたちは、ようやく『氷結の迷宮』にたどり着いていた。
「はぁ...はぁ...しんどいっス!」
「姫様に殺されたいのか?あたしらは走るしかないんだよ!!」
「それにこの寒さだ!動くのをやめたら死ぬぞ!」
『氷結の迷宮』の中は凍えるほどの寒さだ。
「中がこんなに寒いなんて...だから、あんな分厚い服、売ってたんスね!」
パールは後悔する。
街で、『誰がこんな動きにくい服を着るんだ?』とツッコミたくなりそうなモコモコの服や帽子を売っていた。
それはこの迷宮の探索用に作られたものだったのだ。
「ふふん!そこなんかあたしは、寒さで通信用の魔道具が壊れないように、ちゃんと置いてきたのさ!」
アメジストが自慢しているが、
「おい!!あの魔道具があれば、さっきの状況を報告できたんじゃないのか?」
ヒスイがアメジストを責める。
「あっ!!」
言われて初めて気付き、『失敗した』とばかりに顔をしかめるアメジスト。
「それに、『遅れる』って連絡もできたっス!」
パールにも指摘され、
「う、うるさいな!!とにかく間に合えばいいんだろ!!急ぐよ!!」
開き直るアメジスト。
「...それしかないな!この溶けた雪の跡をたどれば追いつくはずだ!」
ヒスイが地面を見ながら口にする。
ガーネットたちが通った後は、雪が溶け、うっすらと地面が見えていた。
「あの子たち、『ウィンド』であったかくしてるね!...いいな~~~!あたしも練習しとけば良かった!」
アメジストが愚痴る。
「文句言いたいのはこっちの方っスよ~~~!」
不満たらたらのパールだったが、
「うるさい!四の五の言わず、走れ!」
アメジストに怒鳴り返され、
「ひぃぃ~~~!」
諦めたように、前を見て走り続けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる