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Maid 52. 王国で一番の冒険者パーティー
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<ビュォォォ~~~~~!!>
「キャッ!」
入口から、大きく開けた空間に入ったガーネット。
しかし、そこは吹雪が吹き荒れ、視界が遮られていた。
<ガキ~~~~ン!!>
<スバッ!!>
<ゴォォォ~~~~!!>
戦いの音だけがどこからか聞こえてくる。
「くっ!まだ、倒れてくれないの?!」
「この寒さと吹雪で回復してんだよ!アイスゴーレムってのはそれが厄介なんだ!」
冒険者の声が聞こえた。
どうやら、アイスゴーレムと戦っているようだ。
アイスゴーレムはその名の通り、硬い氷でできたゴーレムで、氷系の魔法や特技は体力を回復させてしまう。
炎系が弱点だが、その体力は膨大で、倒すには相当のダメージを与える必要がある。
攻撃力、防御力、魔法防御力も一流だ。
しかも、寒い場所にいることが多く、放っておいたら回復してしまうため、絶え間なく高威力の攻撃を続けなければいけない。
中ボスクラスでも、最上位と言っていい攻略難易度を持っていた。
「どうやら、先客は王国でもトップクラスの冒険者パーティーだね!」
アリーが口を開いた。
「そうなの?」
ガーネットの問いに、
「そうじゃなきゃ、この環境でアイスゴーレムと互角以上に戦えるわけがない!!」
アリーは断言する。
「どうしよう...あの人たちも『青の奇跡』が目的だったら...」
ガーネットは心配するが、
「まあ、その時は眠ってもらうしかないね!」
アリーは淡々と答える。
「そっか...ズルみたいであんまり気が進まないけど...」
ガーネットが後ろめたそうにしていると、
「大丈夫!寝てる間に終わってるから!」
安心させるように笑いかけるアリー。
「そういう問題じゃないんだけど...」
ガーネットは顔をしかめているが、
「ん?分かってる?寝るのは相手じゃなくて...」
「えっ?じゃあ、誰が...」
「ミャ~~~~!!」
アリーが余計なことを話す前に、マリンが声を上げて止める。すると、
「と、とにかく、その前にアイスゴーレムをなんとかしなきゃ!ちょっとお手伝いしよっか?」
アリーはごまかすようにそう言うと、魔法を唱えた。
「ウィンド!」
「えっ!あっためたらダメなんじゃ...」
アリーの魔法にガーネットは驚くが、
「あれ?あったかくならない...」
さっきから吹きつけていた吹雪はおさまったが、気温は高くならない。
「風だけを抑えたの!温度は変化させてないよ!」
アリーの説明に納得のガーネット。
そして、見る間に視界が開けた。
そこには4人組の冒険者パーティーが!
「おい!吹雪がおさまったぞ!」
筋肉質の剣士らしき男性が口にする。
「いいわね!これで回復が遅くなるわ!」
魔法使いらしき、背の高い女性の顔がほころんだ。
「よし!おいらが押さえている間に...」
大柄なタンク役らしい戦士の男が、アイスゴーレムに体当たりすると、
<ガキ~~~~ン!!>
辺りに響き渡る大きな衝突音。
戦士もかなりの衝撃を受けているようだが、苦しそうな表情は見せない。
「じゃあ、とどめだね!...筋力強化!」
背の低い、僧侶らしき女性がバフをかけると、
「いくぞ!」
攻撃力の上がった剣士が、気合を入れる。続けて、
「ファイアソード!」
特技を発動。それとともに、その剣が真っ赤な炎に覆われる。そして、
「岩石粉砕!」
硬い材質に特攻効果のある特技で、アイスゴーレムを斬りつけた。すると、
「グォォォ~~~~~ン!!!」
大きく叫び声を上げたアイスゴーレムは、その場に轟音を立てて倒れ込むと、動かなくなった。
「ん?消えないな...まだ生きてるのか?」
アイスゴーレムのもとに歩み寄った剣士だったが、その様子に首をひねる。
「でもビクとも動かないよ!」
僧侶の言葉に、
「どうする?」
戦士が迷っていると、
「ん?そこにいるのは...あなたかしら?吹雪を止めてくれたのは!」
魔法使いがガーネットに気付き、声をかけてきた。
「あの...」
ガーネットが戸惑っていると、アリーが前に飛び出した。
「あたしだよ!あなたたちは誰?何しに来たの?」
そして、油断なく冒険者パーティーを見つめながら、問いかける。
「ほう...妖精を使っているメイドか...これは珍しい...」
興味深げにガーネットを見た剣士だったが、
「俺たちは金級の冒険者!『ラピスラズリ』と聞けば分かってもらえるかな?」
不敵に笑うと、名乗る。
「ラピスラズリか...確か、王国で一二を争う冒険者パーティー...あんまりいいうわさは聞かないけど...」
その名に、アリーが顔をしかめた。
「そうなの?」
ガーネットがアリーに聞くと、
(うん!強いことは強いけど、強引でやり方を選ばない無法者!場合によっては競争相手の冒険者をも傷つける...)
アリーがガーネットにささやいた。
(そんなのがどうして金級に?)
ガーネットがささやき返すと、
(まあ、彼らにしか倒せない魔物もいるから...そこは目をつぶってるって感じかな!)
アリーの返事に、
(そんな!!)
絶望の表情でラピスラズリたちを見るガーネット。すると、
「はっ、はっ、は!お嬢ちゃんたちには気に入っていただけなかったようだな!」
ラピスラズリが笑う。
「その金級様がどうしてこんなところに?」
アリーが睨みつけながら問うと、
「決まってるじゃない!『青の奇跡の雫』を取りに来たのよ!」
魔法使いが言った。
「ど、どうしよう...」
途方に暮れてしまうガーネットなのだった。
「キャッ!」
入口から、大きく開けた空間に入ったガーネット。
しかし、そこは吹雪が吹き荒れ、視界が遮られていた。
<ガキ~~~~ン!!>
<スバッ!!>
<ゴォォォ~~~~!!>
戦いの音だけがどこからか聞こえてくる。
「くっ!まだ、倒れてくれないの?!」
「この寒さと吹雪で回復してんだよ!アイスゴーレムってのはそれが厄介なんだ!」
冒険者の声が聞こえた。
どうやら、アイスゴーレムと戦っているようだ。
アイスゴーレムはその名の通り、硬い氷でできたゴーレムで、氷系の魔法や特技は体力を回復させてしまう。
炎系が弱点だが、その体力は膨大で、倒すには相当のダメージを与える必要がある。
攻撃力、防御力、魔法防御力も一流だ。
しかも、寒い場所にいることが多く、放っておいたら回復してしまうため、絶え間なく高威力の攻撃を続けなければいけない。
中ボスクラスでも、最上位と言っていい攻略難易度を持っていた。
「どうやら、先客は王国でもトップクラスの冒険者パーティーだね!」
アリーが口を開いた。
「そうなの?」
ガーネットの問いに、
「そうじゃなきゃ、この環境でアイスゴーレムと互角以上に戦えるわけがない!!」
アリーは断言する。
「どうしよう...あの人たちも『青の奇跡』が目的だったら...」
ガーネットは心配するが、
「まあ、その時は眠ってもらうしかないね!」
アリーは淡々と答える。
「そっか...ズルみたいであんまり気が進まないけど...」
ガーネットが後ろめたそうにしていると、
「大丈夫!寝てる間に終わってるから!」
安心させるように笑いかけるアリー。
「そういう問題じゃないんだけど...」
ガーネットは顔をしかめているが、
「ん?分かってる?寝るのは相手じゃなくて...」
「えっ?じゃあ、誰が...」
「ミャ~~~~!!」
アリーが余計なことを話す前に、マリンが声を上げて止める。すると、
「と、とにかく、その前にアイスゴーレムをなんとかしなきゃ!ちょっとお手伝いしよっか?」
アリーはごまかすようにそう言うと、魔法を唱えた。
「ウィンド!」
「えっ!あっためたらダメなんじゃ...」
アリーの魔法にガーネットは驚くが、
「あれ?あったかくならない...」
さっきから吹きつけていた吹雪はおさまったが、気温は高くならない。
「風だけを抑えたの!温度は変化させてないよ!」
アリーの説明に納得のガーネット。
そして、見る間に視界が開けた。
そこには4人組の冒険者パーティーが!
「おい!吹雪がおさまったぞ!」
筋肉質の剣士らしき男性が口にする。
「いいわね!これで回復が遅くなるわ!」
魔法使いらしき、背の高い女性の顔がほころんだ。
「よし!おいらが押さえている間に...」
大柄なタンク役らしい戦士の男が、アイスゴーレムに体当たりすると、
<ガキ~~~~ン!!>
辺りに響き渡る大きな衝突音。
戦士もかなりの衝撃を受けているようだが、苦しそうな表情は見せない。
「じゃあ、とどめだね!...筋力強化!」
背の低い、僧侶らしき女性がバフをかけると、
「いくぞ!」
攻撃力の上がった剣士が、気合を入れる。続けて、
「ファイアソード!」
特技を発動。それとともに、その剣が真っ赤な炎に覆われる。そして、
「岩石粉砕!」
硬い材質に特攻効果のある特技で、アイスゴーレムを斬りつけた。すると、
「グォォォ~~~~~ン!!!」
大きく叫び声を上げたアイスゴーレムは、その場に轟音を立てて倒れ込むと、動かなくなった。
「ん?消えないな...まだ生きてるのか?」
アイスゴーレムのもとに歩み寄った剣士だったが、その様子に首をひねる。
「でもビクとも動かないよ!」
僧侶の言葉に、
「どうする?」
戦士が迷っていると、
「ん?そこにいるのは...あなたかしら?吹雪を止めてくれたのは!」
魔法使いがガーネットに気付き、声をかけてきた。
「あの...」
ガーネットが戸惑っていると、アリーが前に飛び出した。
「あたしだよ!あなたたちは誰?何しに来たの?」
そして、油断なく冒険者パーティーを見つめながら、問いかける。
「ほう...妖精を使っているメイドか...これは珍しい...」
興味深げにガーネットを見た剣士だったが、
「俺たちは金級の冒険者!『ラピスラズリ』と聞けば分かってもらえるかな?」
不敵に笑うと、名乗る。
「ラピスラズリか...確か、王国で一二を争う冒険者パーティー...あんまりいいうわさは聞かないけど...」
その名に、アリーが顔をしかめた。
「そうなの?」
ガーネットがアリーに聞くと、
(うん!強いことは強いけど、強引でやり方を選ばない無法者!場合によっては競争相手の冒険者をも傷つける...)
アリーがガーネットにささやいた。
(そんなのがどうして金級に?)
ガーネットがささやき返すと、
(まあ、彼らにしか倒せない魔物もいるから...そこは目をつぶってるって感じかな!)
アリーの返事に、
(そんな!!)
絶望の表情でラピスラズリたちを見るガーネット。すると、
「はっ、はっ、は!お嬢ちゃんたちには気に入っていただけなかったようだな!」
ラピスラズリが笑う。
「その金級様がどうしてこんなところに?」
アリーが睨みつけながら問うと、
「決まってるじゃない!『青の奇跡の雫』を取りに来たのよ!」
魔法使いが言った。
「ど、どうしよう...」
途方に暮れてしまうガーネットなのだった。
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