ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 60. マリンが戻ると

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「ではお気をつけて...」
使者を見送ったガーネットは部屋に戻る。
そして、マリンが見当たらないことに気付いた。
「あれ?マリン!...マリン!...」
しばらく捜したが見つからない。
「どうしたのかな...また、散歩かな...」
落ち着かない様子で待っていると、

「ミャ~~~~!」
窓からマリンが飛び込んできた。
「マリン!!」
ガーネットはマリンを抱きしめる。
「ミャ~~~!...ミャミャッ!!」
マリンはうれしそうに胸に頬ずりしたが、その感触に真っ赤になってしまった。
「あっ!下着つけてないから...イヤだった?」
ガーネットがマリンに聞くと、
<フルフル!>
慌てて、顔を横に振っている。
そして、もう一度、恐る恐る胸に顔を近づけてくる。
「こっちの方がいい?ホントはちょっと、くすぐったいんだけど...まあ、いいよ!でもあんまり動かさないでね!」
ポッと頬を染めると、マリンを思いっきり抱きしめるガーネット。
「ミャ~~~~~!!」
マリンは陶酔したような声を上げるのだった。

「もう!何してるの!」
すると、アリーが真っ赤な顔をしながら窓から入ってきた。
「あっ!アリーもいたんだ!...もしかしてマリンと一緒だったの?」
ガーネットはそんなアリーの様子に気付くふうもなく聞く。
「え、ええ...ちょっとね!」
アリーの返事に、
「ありがと!マリンの散歩を見張っててくれて!...もう!私が寝てるとすぐにいなくなるんだから!!」
ガーネットがマリンを叱る。
「ミャミャ~~~~...」
面目なさそうなマリン。
「大丈夫だよ!マリンはしっかりしてるから!」
アリーはそんなマリンをかばうように言った。
「ミャッ!」
自慢げに地面に飛び下りるマリン。
「まあ、そうなんだけど...心配したんだよ!」
悲しそうなガーネットの顔に、
「ミャ~~~~!」
足にすり寄るマリン。
「ふふふ!ありがと!」
ガーネットがしゃがみ込むと、
「ミャミャッ!!」
マリンは驚いた顔をして、何かを見つめている。
「どうしたの?」
ガーネットがその視線の先を見ると...自分のメイド服の中だった。
スカート丈がミニな上に、足を軽く開いているため、その間がハッキリ見えてしまっている。
「キャ~~~~~!!」
思わず、ワンピースの裾を手で押さえるガーネット。
「ミャッ!!ミャッ!!」
マリンは言い訳するようにあたふたしていた。
「も、もう!!またここのにおいを嗅ぎたいの?...なら、お風呂に入り直す?」
ガーネットは赤くなりながらも、マリンを誘うと、
「ミャ~~~~!」
うれしさと恥ずかしさの混ざったようなマリンの声。
すると、アリーは、
「じゃあ、あたしはこれで...」
去ろうとするが、ふと、テーブルの上のポーチに気が付いた。

「あれ?なんでここに...」
不思議に思ったアリーが、ポーチのもとに飛んでいくと、
「ちょっと待って!!雫の入ったガラス瓶は?!」
空になった中を見て焦りだす。
「あっ!それ?...聞いて!!姫様が...」
ガーネットが姫様からの使者のことを話しだした。

☆彡彡彡

「...というわけなの!すごいでしょ!姫様って!」
ガーネットは得意になって自慢しているが、
「ミャ~~~~~~!!」
部屋にマリンの大声がこだました。
「ど、どうしたの?」
ガーネットはその異様な行動に驚いてしまう。
「あのね!!...」
何か言おうとしたアリーだったが、口を閉じた。その顔はこわばっている。
「ホントにみんな、どうしたの?」
ガーネットが首を傾げていると、

「...行こうか!!」
アリーがマリンに呼びかける。
「ミャ~~~~!!」
マリンもそれに応える。その声は怒っているようにも聞こえた。
「なに?どこに行くの?」
ガーネットが尋ねるが、
「大丈夫!!全部、あたしとマリンに任せて!!...行くよ!」
「ミャ~~~~!!」
アリーはマリンとともに部屋を飛び出していった。


「・・・」
ポツンと部屋に残されたガーネット。
「もう!なんなの!!」
少し、怒った様子を見せたが、
「まあ、アリーと一緒なら大丈夫だよね!」
そう自分に言い聞かせると、
「もう一回、お風呂入ろ!」
風呂場へと足を向けるのだった。

☆彡彡彡

ところ変わって、再び、アメジストたちの宿では...

「くそっ!やってられるか!!」
アメジストが文句を言いながら、部屋に入ってくる。
その手にはウイスキーのボトルが何本も。
「ホントっス!!姫様はあたいらを使い捨てるつもりっス!!」
続けてパールが。その手にはブランデーのボトルが握られていた。
「全く!『これで終わり』などとぬか喜びさせやがって!!」
最後にヒスイがやってくる。同じくブランデーのボトルを抱えていた。

「あら、どこに行ってたの?」
そんなアメジストたちに声がかけられる。

「決まってんだろ!!酒を買いに行ってたのさ!!」
「今夜は飲み明かすっス!!」
「イヤなことは忘れて楽しくやるんだ!!」
威勢よく答えたアメジストたちだったが...

「ん?」
ふと、違和感を感じる。

「あたしたち、3人だよね?」
「そうっス!それにどこかで聞いた声...」
「まさか!!」
3人が声のした方に振り向くと、

「実はお願いがあって来たんだけど...」
テーブルには姫様が座っていた。アリーもいる。

「姫様!!...これは...えっと...そ、そう!酒を飲みながら誰にするか考えようと思いまして!!」
「こういうことは本音で話し合わないと!!」
「すぐに結論を出しますので、それまでお待ちを!!」
大慌ての3人。

「『結論を出す』?...ああ、あれね!」
姫様は先ほど戻る時に、『誰が犠牲になるか決めておけ』と命じたことを思い出す。

「やはりパールが...」
「いや、ヒスイしか...」
「何を言う!!リーダー以外の誰がいるというのだ!!」
また、言い争いを始めた3人に、

「あれならいいわ!私も少し、言いすぎちゃった...」
「では...」
姫様の言葉にアメジストたちの顔が明るくなる。

「ただ、困ったことが起きちゃったの!!助けて!!」
「「「・・・」」」
アメジストたちは、珍しく腰の低い姫様に、顔を見合わせるのだった。
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