72 / 76
Maid 72. 天国へのぼるガーネット
しおりを挟む
「ガーネット!!...ガーネット!!...」
姫様が自分の名を呼ぶ声が聞こえる。
気が付くと、ガーネットは空中に浮いており、下には、動かなくなった抜け殻の体を揺り動かしている、姫様の姿が見えた。
「私...」
自分の手を見るガーネット。
うっすらと透けて見えた。
「死んだんだ...」
しかし、不思議と悲愴感はなかった。
「姫様...あんなに一生懸命になって...相変わらずお優しいんですね!」
必死に何かできないか、もがいている姫様を見て、笑顔になるガーネット。
「あっ!」
姫様が人工呼吸を始めた。
「ダ、ダメです!!姫様の大事なファーストキスを私なんかに...」
ガーネットが赤くなっていると、空から天使が現れた。
窓を通過すると、部屋へと入ってくる。
「ガーネットよ!お前は善人であったので、天国へと召される...ついてくるがよい!」
天使がそう言うと、ガーネットの体が部屋の外に出され、そのまま空へと昇っていく。
どんどんと見えなくなっていく姫様の姿。
「さよなら、姫様...どうか私のことは忘れて、好きな人と幸せになってください...」
姫様に向けて、最後の言葉を述べるガーネット。
(あの時、『姫様に好きな人がいる』と聞いた時、私は一瞬、目の前が真っ暗になりました...)
ガーネットは、旅に出た日の朝の、姫様と王様の会話を思い出していた。
(必死に作り笑いしましたけど...そうですよね!姫様とは身分が違います!...私などと...)
寂しそうにうつむくガーネット。
(でも、思ったんです!!これは、私に良くしていただいた姫様に恩返しをするチャンスだと!!)
しかし、ガーネットは再び、顔を上げる。
(ですから、私は危険を承知で『奇跡の雫』を探す旅に出ることを決意しました!!)
その時のことが頭をよぎったのか、ガーネットの目に決意の色が浮かぶ。
(姫様がついてこようとされたのには驚きましたけど...申し訳ありません!それだけは...姫様を危険な目にあわせるわけにはいかなかったのです!!...ひどいことを言ってごめんなさい...)
ガーネットは『ついてきたら絶交』と言ってしまったことを反省する。
(結局、自分では何もできず、アメジストさんたちやアリーのおかげで、なんとか、雫を手に入れることができました!ホントに感謝しかありません!!)
旅を思い返すと、助けられてばかりだった。自分が不甲斐なく思えてくる。
(そして、姫様に少しだけ恩返しをすることができました!!...死んじゃいましたけど...これで良かったんです...)
ガーネットはにっこりと微笑む。
(こんなこと言うと、軽蔑されるかもしれませんが...)
少し、間をとるとガーネットは続けた。
(姫様が他の誰かと仲睦まじくしていらっしゃるのを、心から祝福することはできません...)
寂しそうな顔のガーネット。
(もちろん、結婚は祝福します!!でも...お二人がご一緒におられるのを近くで見ているのは...)
ガーネットの顔が曇る。
(きっと、嫉妬の念が生じることでしょう...それくらいならいっそ!!)
思い詰めた様子のガーネット。
(これで...良かったんです...)
ガーネットが寂しく笑った時、天上の門が見えてくる。
(さよなら!綺麗で優しい姫様...愛してしまった私をお許しください...)
ガーネットがゆっくりと目を閉じた時、
「ん?」
天使が突然、声を上げた。
「??」
ガーネットが不思議に思っていると、
「どうやら、お前がここに来るのはお預けになったようだ!」
天使が口にする。
「どういう...キャ~~~~~~!!」
ガーネットが言葉の意味を聞こうとするが、その体は地上に向け、恐ろしい速さで落下していった。
(キャ~~~~~~!!死んじゃう!!)
ガーネットはその感覚に、死んでいるにもかかわらず、そんなことを思ってしまう。それと同時に、
<バサッ!>
メイド服のワンピースが舞い上がる。
風の影響は受けないはずだが、体が下に引っ張られている反動だろうか?
「キャッ!」
丸見えになってしまう下着。
前だけは隠そうと、必死になって、両手で服を押さえるガーネットだが、それが精一杯だ。
ワンピースの後ろからは、綺麗なおしりの形にくっきりと浮かび上がる、ピンクの布が見えていた。
落ちていく恐怖感と、おしりが見えてしまっている恥ずかしさに耐えていると、王城が視界に入ってきた。
(ぶつかる!!)
外壁に当たる瞬間、目を閉じるガーネット。
しかし、衝撃はない。
「・・・」
ガーネットが恐る恐る目を開けると、城の中を幽霊のように通り抜けていくのが分かった。
やがて、姫様の部屋にたどり着くと、そこには、
「姫様?...それに...アリーと大賢者様?!」
床に寝ている自分を取り囲む、3人の姿がハッキリと見て取れた。そして、
<スポッ!>
横たわった抜け殻の体にすっぽりと、収まる。
<パチッ!>
目を開けると飛び込んできたのは、
「ガーネット!!」
涙の跡が残った姫様の顔だった。
姫様が自分の名を呼ぶ声が聞こえる。
気が付くと、ガーネットは空中に浮いており、下には、動かなくなった抜け殻の体を揺り動かしている、姫様の姿が見えた。
「私...」
自分の手を見るガーネット。
うっすらと透けて見えた。
「死んだんだ...」
しかし、不思議と悲愴感はなかった。
「姫様...あんなに一生懸命になって...相変わらずお優しいんですね!」
必死に何かできないか、もがいている姫様を見て、笑顔になるガーネット。
「あっ!」
姫様が人工呼吸を始めた。
「ダ、ダメです!!姫様の大事なファーストキスを私なんかに...」
ガーネットが赤くなっていると、空から天使が現れた。
窓を通過すると、部屋へと入ってくる。
「ガーネットよ!お前は善人であったので、天国へと召される...ついてくるがよい!」
天使がそう言うと、ガーネットの体が部屋の外に出され、そのまま空へと昇っていく。
どんどんと見えなくなっていく姫様の姿。
「さよなら、姫様...どうか私のことは忘れて、好きな人と幸せになってください...」
姫様に向けて、最後の言葉を述べるガーネット。
(あの時、『姫様に好きな人がいる』と聞いた時、私は一瞬、目の前が真っ暗になりました...)
ガーネットは、旅に出た日の朝の、姫様と王様の会話を思い出していた。
(必死に作り笑いしましたけど...そうですよね!姫様とは身分が違います!...私などと...)
寂しそうにうつむくガーネット。
(でも、思ったんです!!これは、私に良くしていただいた姫様に恩返しをするチャンスだと!!)
しかし、ガーネットは再び、顔を上げる。
(ですから、私は危険を承知で『奇跡の雫』を探す旅に出ることを決意しました!!)
その時のことが頭をよぎったのか、ガーネットの目に決意の色が浮かぶ。
(姫様がついてこようとされたのには驚きましたけど...申し訳ありません!それだけは...姫様を危険な目にあわせるわけにはいかなかったのです!!...ひどいことを言ってごめんなさい...)
ガーネットは『ついてきたら絶交』と言ってしまったことを反省する。
(結局、自分では何もできず、アメジストさんたちやアリーのおかげで、なんとか、雫を手に入れることができました!ホントに感謝しかありません!!)
旅を思い返すと、助けられてばかりだった。自分が不甲斐なく思えてくる。
(そして、姫様に少しだけ恩返しをすることができました!!...死んじゃいましたけど...これで良かったんです...)
ガーネットはにっこりと微笑む。
(こんなこと言うと、軽蔑されるかもしれませんが...)
少し、間をとるとガーネットは続けた。
(姫様が他の誰かと仲睦まじくしていらっしゃるのを、心から祝福することはできません...)
寂しそうな顔のガーネット。
(もちろん、結婚は祝福します!!でも...お二人がご一緒におられるのを近くで見ているのは...)
ガーネットの顔が曇る。
(きっと、嫉妬の念が生じることでしょう...それくらいならいっそ!!)
思い詰めた様子のガーネット。
(これで...良かったんです...)
ガーネットが寂しく笑った時、天上の門が見えてくる。
(さよなら!綺麗で優しい姫様...愛してしまった私をお許しください...)
ガーネットがゆっくりと目を閉じた時、
「ん?」
天使が突然、声を上げた。
「??」
ガーネットが不思議に思っていると、
「どうやら、お前がここに来るのはお預けになったようだ!」
天使が口にする。
「どういう...キャ~~~~~~!!」
ガーネットが言葉の意味を聞こうとするが、その体は地上に向け、恐ろしい速さで落下していった。
(キャ~~~~~~!!死んじゃう!!)
ガーネットはその感覚に、死んでいるにもかかわらず、そんなことを思ってしまう。それと同時に、
<バサッ!>
メイド服のワンピースが舞い上がる。
風の影響は受けないはずだが、体が下に引っ張られている反動だろうか?
「キャッ!」
丸見えになってしまう下着。
前だけは隠そうと、必死になって、両手で服を押さえるガーネットだが、それが精一杯だ。
ワンピースの後ろからは、綺麗なおしりの形にくっきりと浮かび上がる、ピンクの布が見えていた。
落ちていく恐怖感と、おしりが見えてしまっている恥ずかしさに耐えていると、王城が視界に入ってきた。
(ぶつかる!!)
外壁に当たる瞬間、目を閉じるガーネット。
しかし、衝撃はない。
「・・・」
ガーネットが恐る恐る目を開けると、城の中を幽霊のように通り抜けていくのが分かった。
やがて、姫様の部屋にたどり着くと、そこには、
「姫様?...それに...アリーと大賢者様?!」
床に寝ている自分を取り囲む、3人の姿がハッキリと見て取れた。そして、
<スポッ!>
横たわった抜け殻の体にすっぽりと、収まる。
<パチッ!>
目を開けると飛び込んできたのは、
「ガーネット!!」
涙の跡が残った姫様の顔だった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる