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Episode 31. スカーレットの奮闘
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リッチ・・・それは本来は『不死の法を使い永遠を生きる賢者』のことを指す。
人...とはもう言えないかもしれないが...によっては千年以上生きており、その知識、魔力量は人間を凌駕する。
知識以外を欲しない為、幸いにも人と争うことはないが、もし戦えば一国の軍隊をもってしても勝てないだろう。
今、スカーレットたちに襲いかかったのは、冒険者の間でその通り名で呼ばれる魔物。
スケルトン種で、魔法に特化したものの中では最上位に位置する。
その魔法は強力かつ多彩で、並みの冒険者ならあっという間に全滅する。
しかもスケルトン種に特有の斬撃・刺突への耐性の為、冒険者の主力を務める剣士とは相性が悪い。
その上、魔法使いタイプとはいえ、上位種の為、体力がかなりある。
ワカクサのようなレベル10の浄化魔法をもってしても、倒すにはかなりの体力を削る必要があった。
もちろん、本物の『リッチ』とは比べ物にならないが、それでも冒険者に恐れられているのが分かるニックネームであった。
「くっ!ドラゴスケルトンに加えてリッチまで?!どうなってるんですの?!」
スカーレットはそれなりにダメージを受けたようで苦しそうな顔をしながらぼやく。
ワカクサの防御魔法がなかったら、危なかったかもしれない。
「ハイ・ヒール!!」
ワカクサの詠唱と共に、スカーレットの傷が全快する。
普通の『ヒール』よりも強力な中級回復魔法だ。
「ありがとう...あら、自分にはかけないんですの??」
ワカクサを見ると、ダメージを負っているにもかかわらず、自分を回復する気はないようだ。
「私は大丈夫です。魔力の消費を抑える為、ギリギリまで粘って、『パーフェクト・ヒール』で全回復します」
ワカクサは相変わらず淡々と答える。
「それならわたくしもギリギリでいいですわ!!リッチの後はドラゴスケルトンですものね!!魔力は節約して戦いなさい!」
スカーレットの言葉に、ワカクサが難色を示す。
「しかし、お嬢様のお怪我を放置しておくわけには...」
しかし、スカーレットは言った。
「この格好をしているときは一人の冒険者です!!いざという時に魔力が尽きないように言う通りになさい!!」
「...はい...分かりました...」
ワカクサがしぶしぶ了承する。
「では、相手に魔法を唱えさせないように一気にいきます!!防御魔法と回復魔法を適宜、お願いしますわ!!」
「はい!!」
スカーレットの言葉にワカクサが頷いた。
「いきますわよ!!」
スカーレットがリッチに横薙ぎに剣を叩きつける。
<ガン!!>
硬質な音と共に剣が弾かれた。
「くっ!!やはり硬いですわね!!本当は殴打武器があればいいのですけど...」
スケルトン系は斬撃・刺突に強い代わりに、ハンマーやナックルのような殴打武器には弱い。
実力差があるのならともかく、上位種の相手をする時は、殴打武器を使うのが定石だ。
また、炎系や神聖系の魔法も有効だ。
しかし、ワカクサはヒーラーとしては超一流だが、その他の魔法はほとんど使えなかった。
ある意味、マリーと対照的な一芸特化の魔法使いだった。
<ガン!!...ガン!!...>
スカーレットが流れるように斬りつける。
しかし、なかなか体力を削れない。
「くっ!!早く倒して、ローズたちの加勢をしなくてはいけませんのに!...リッチくらいに手間取っていては、ドラゴスケルトンには勝てませんわ!!」
スカーレットは焦るが、相性の悪い相手に苦戦していた。
「ファイアウォール!!」
無機質な声というよりも、むしろ音と言った方が正しいかもしれない。そういう詠唱が聞こえる。
<ゴォォ~~~~~!!>
瞬く間に、火炎が辺りを焼き尽くした。
「くっ!!」
スカーレットが顔を顰める。
まだ魔法防御が効いているのでかなり軽減されるが、それでもある程度のダメージにはなる。
ワカクサを見ると回復魔法を使うべきか迷っているようだ。
スカーレットは目で合図して『必要ない』と伝える。
ワカクサは何かに耐えるように、体を震わせていた。
(ワカクサ...そんな自分のことのように...このままでは埒が明きませんわ!!この状況を打開するには...)
スカーレットは必死で考える。
(そうですわ!!スケルトンに大剣は有効と聞いたことがあります!その重さで斬るというより叩くのだと...この剣でも叩くような攻撃方法はありませんかしら?)
そう考えながらしばらく斬りつけていると、
<バキッ!!>
リッチの肋骨が折れた。
「・・・」
リッチはアンデッドなので痛みは感じないようだが、明らかに効いているようだ。
(これは!!)
スカーレットは今、起こった事を思い返す。
(斬りつけた剣を抜くときに剣の腹が肋骨に引っかかって...無理やり力任せに引き抜いたのですが...そうですわ!!)
スカーレットは何かを思いついたようだった。
剣を横に傾けると、上段に構え、その腹を思いっきり、リッチに叩きつける。
<バキバキ!!>
リッチの骨が砕ける音がする。
(これですわ!!わたくしの剣はアダマンタイト製。十分な硬さがあります!斬るのではなく、腹で叩きつければ!!重さは腕力で補正してやればいけそうですわ!!)
上から下へ。左から右へ。また袈裟懸けに。
スカーレットが剣を振るうたびに、リッチがどんどん崩れていく。そして、
「ピュアリファイ!!」
十分、ダメージを与えたところでワカクサが浄化魔法を使う。
リッチは光と消えていった。
「大丈夫ですか?!お嬢様!!」
ワカクサが駆け寄ってきて、スカーレットと自分に回復魔法をかける。
「ええ。屋敷の中の様子は?」
スカーレットが聞くと、
「それが...先程まで大きな音と振動が聞こえていたのですが、急に静かになって...」
ワカクサが心配そうな顔をする。
「だ、大丈夫ですわ!!ローズたちに限って負けるようなことは...」
しかし、そう言うスカーレットの顔にも焦りが見える。
「とりあえず、急いで中に入りますわよ!!」
スカーレットは屋敷の入口へと向かった。
「これは...」
スカーレットが崩れた入口をよく観察する。
この屋敷は規模こそ大きいが、丸太を組み上げただけの簡単な作りだ。
無闇に叩き壊すと屋敷全体が崩壊する可能性がある。
「よし!!こことここを切断すれば...」
スカーレットは入口を塞いでいる丸太に目星をつけると、それを切り取って中に入るスペースを確保することにする。
「はっ!!」
<ズバッ!!>
気合一閃、鋭い剣捌きによって丸太が真っ二つになる。
その結果、計算通り、中へと入るスペースを作ることが出来た。
「行きますわよ!ワカクサ!!」
「はい!」
そのスペースに潜り込み、屋敷の中へと入っていくスカーレットとワカクサ。
「...ローズ...マリー...無事でいて...」
スカーレットは二人の無事を祈りながら、空間を通り抜け、大きく開けた内部に足を踏み入れた。
そこでスカーレットが見たものは、思いもよらない光景だった。
「えっ!!」
スカーレットは、声を出さずにはいられなかった。
人...とはもう言えないかもしれないが...によっては千年以上生きており、その知識、魔力量は人間を凌駕する。
知識以外を欲しない為、幸いにも人と争うことはないが、もし戦えば一国の軍隊をもってしても勝てないだろう。
今、スカーレットたちに襲いかかったのは、冒険者の間でその通り名で呼ばれる魔物。
スケルトン種で、魔法に特化したものの中では最上位に位置する。
その魔法は強力かつ多彩で、並みの冒険者ならあっという間に全滅する。
しかもスケルトン種に特有の斬撃・刺突への耐性の為、冒険者の主力を務める剣士とは相性が悪い。
その上、魔法使いタイプとはいえ、上位種の為、体力がかなりある。
ワカクサのようなレベル10の浄化魔法をもってしても、倒すにはかなりの体力を削る必要があった。
もちろん、本物の『リッチ』とは比べ物にならないが、それでも冒険者に恐れられているのが分かるニックネームであった。
「くっ!ドラゴスケルトンに加えてリッチまで?!どうなってるんですの?!」
スカーレットはそれなりにダメージを受けたようで苦しそうな顔をしながらぼやく。
ワカクサの防御魔法がなかったら、危なかったかもしれない。
「ハイ・ヒール!!」
ワカクサの詠唱と共に、スカーレットの傷が全快する。
普通の『ヒール』よりも強力な中級回復魔法だ。
「ありがとう...あら、自分にはかけないんですの??」
ワカクサを見ると、ダメージを負っているにもかかわらず、自分を回復する気はないようだ。
「私は大丈夫です。魔力の消費を抑える為、ギリギリまで粘って、『パーフェクト・ヒール』で全回復します」
ワカクサは相変わらず淡々と答える。
「それならわたくしもギリギリでいいですわ!!リッチの後はドラゴスケルトンですものね!!魔力は節約して戦いなさい!」
スカーレットの言葉に、ワカクサが難色を示す。
「しかし、お嬢様のお怪我を放置しておくわけには...」
しかし、スカーレットは言った。
「この格好をしているときは一人の冒険者です!!いざという時に魔力が尽きないように言う通りになさい!!」
「...はい...分かりました...」
ワカクサがしぶしぶ了承する。
「では、相手に魔法を唱えさせないように一気にいきます!!防御魔法と回復魔法を適宜、お願いしますわ!!」
「はい!!」
スカーレットの言葉にワカクサが頷いた。
「いきますわよ!!」
スカーレットがリッチに横薙ぎに剣を叩きつける。
<ガン!!>
硬質な音と共に剣が弾かれた。
「くっ!!やはり硬いですわね!!本当は殴打武器があればいいのですけど...」
スケルトン系は斬撃・刺突に強い代わりに、ハンマーやナックルのような殴打武器には弱い。
実力差があるのならともかく、上位種の相手をする時は、殴打武器を使うのが定石だ。
また、炎系や神聖系の魔法も有効だ。
しかし、ワカクサはヒーラーとしては超一流だが、その他の魔法はほとんど使えなかった。
ある意味、マリーと対照的な一芸特化の魔法使いだった。
<ガン!!...ガン!!...>
スカーレットが流れるように斬りつける。
しかし、なかなか体力を削れない。
「くっ!!早く倒して、ローズたちの加勢をしなくてはいけませんのに!...リッチくらいに手間取っていては、ドラゴスケルトンには勝てませんわ!!」
スカーレットは焦るが、相性の悪い相手に苦戦していた。
「ファイアウォール!!」
無機質な声というよりも、むしろ音と言った方が正しいかもしれない。そういう詠唱が聞こえる。
<ゴォォ~~~~~!!>
瞬く間に、火炎が辺りを焼き尽くした。
「くっ!!」
スカーレットが顔を顰める。
まだ魔法防御が効いているのでかなり軽減されるが、それでもある程度のダメージにはなる。
ワカクサを見ると回復魔法を使うべきか迷っているようだ。
スカーレットは目で合図して『必要ない』と伝える。
ワカクサは何かに耐えるように、体を震わせていた。
(ワカクサ...そんな自分のことのように...このままでは埒が明きませんわ!!この状況を打開するには...)
スカーレットは必死で考える。
(そうですわ!!スケルトンに大剣は有効と聞いたことがあります!その重さで斬るというより叩くのだと...この剣でも叩くような攻撃方法はありませんかしら?)
そう考えながらしばらく斬りつけていると、
<バキッ!!>
リッチの肋骨が折れた。
「・・・」
リッチはアンデッドなので痛みは感じないようだが、明らかに効いているようだ。
(これは!!)
スカーレットは今、起こった事を思い返す。
(斬りつけた剣を抜くときに剣の腹が肋骨に引っかかって...無理やり力任せに引き抜いたのですが...そうですわ!!)
スカーレットは何かを思いついたようだった。
剣を横に傾けると、上段に構え、その腹を思いっきり、リッチに叩きつける。
<バキバキ!!>
リッチの骨が砕ける音がする。
(これですわ!!わたくしの剣はアダマンタイト製。十分な硬さがあります!斬るのではなく、腹で叩きつければ!!重さは腕力で補正してやればいけそうですわ!!)
上から下へ。左から右へ。また袈裟懸けに。
スカーレットが剣を振るうたびに、リッチがどんどん崩れていく。そして、
「ピュアリファイ!!」
十分、ダメージを与えたところでワカクサが浄化魔法を使う。
リッチは光と消えていった。
「大丈夫ですか?!お嬢様!!」
ワカクサが駆け寄ってきて、スカーレットと自分に回復魔法をかける。
「ええ。屋敷の中の様子は?」
スカーレットが聞くと、
「それが...先程まで大きな音と振動が聞こえていたのですが、急に静かになって...」
ワカクサが心配そうな顔をする。
「だ、大丈夫ですわ!!ローズたちに限って負けるようなことは...」
しかし、そう言うスカーレットの顔にも焦りが見える。
「とりあえず、急いで中に入りますわよ!!」
スカーレットは屋敷の入口へと向かった。
「これは...」
スカーレットが崩れた入口をよく観察する。
この屋敷は規模こそ大きいが、丸太を組み上げただけの簡単な作りだ。
無闇に叩き壊すと屋敷全体が崩壊する可能性がある。
「よし!!こことここを切断すれば...」
スカーレットは入口を塞いでいる丸太に目星をつけると、それを切り取って中に入るスペースを確保することにする。
「はっ!!」
<ズバッ!!>
気合一閃、鋭い剣捌きによって丸太が真っ二つになる。
その結果、計算通り、中へと入るスペースを作ることが出来た。
「行きますわよ!ワカクサ!!」
「はい!」
そのスペースに潜り込み、屋敷の中へと入っていくスカーレットとワカクサ。
「...ローズ...マリー...無事でいて...」
スカーレットは二人の無事を祈りながら、空間を通り抜け、大きく開けた内部に足を踏み入れた。
そこでスカーレットが見たものは、思いもよらない光景だった。
「えっ!!」
スカーレットは、声を出さずにはいられなかった。
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