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Episode 52. ジークのお話(後編)
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「午後からは王様への謁見がある。そこで正式に『英雄』の称号が授与される!」
ジークが続きの予定を話す。
「お、王様と謁見?!」
それを聞いたマリーの表情が強張る。
どうやらとても緊張しているようだ。
「そ、そうね!あたしもどうしたらいいのか...礼儀作法なんて知りませんよ?!」
ローズも緊張気味の声でジークを問い詰めるが、
「大丈夫だ!午前中に十分に予行練習をするから、その通り振る舞ってくれたらいい!!」
ジークは二人を落ち着かせるようにそう言った。
「そ、それで朝早くから出かけるんですね!...でも、緊張で間違えたら...」
マリーはそう言いながらも気が気でないらしい。
「少しくらい間違えても問題ない!王様はおおらかなお方だ。許してくださる!」
「ならいいですけど...」
ジークの言葉に少し安心したマリーだったが、ジークが一点だけ注意事項を述べる。
「ただ、無闇に王様に近づいてはいけない!下手したらその場で斬り殺されても文句はいえないよ!」
「そりゃそうよね!大丈夫!!それだけは絶対にしないわ!!」
それに答えたのはローズだった。
二人が良い感じに緊張感を持ったのを見たジークは、一つ頷いて、その後の予定を話す。
「その後は、王城で皆へのお披露目がある!」
「お披露目?!」
またマリーが緊張した顔になる。しかし、ローズは、
「あら、いいじゃない!マリーの可愛さを王城中にアピールするチャンスだわ!!」
そう言って、うれしそうな顔をした。
(王城というと、高級貴族や高級将校がいるはず!!マリーの将来のお婿さん候補だわ!!最高のお披露目ね!!)
ローズはそんなことを考えていたが、マリーは、
「もう!!私じゃなくて、メインはローズちゃんでしょ!!ローズちゃんっていうすごい剣士がいることをみんなに知ってもらわないと!!...私、足を引っ張らないように頑張るね!!」
気を引き締めた様子でそう言った。
「その後は、馬車で王都の大通りをパレードする!これは王都の一般市民へのお披露目だな!!」
ジークは二人の様子を見て、大丈夫だと思ったのか、続きを話し出す。
「また?!...目立つことばっかり...でも頑張るね!!ローズちゃんの為だもん!!」
マリーはあまり目立つのは好きではないらしいが、健気にもそう言うのだった。
(ふふん!!マリーの国宝級のプロポーションをみんなに見せつけてやらなきゃ!!...ってあんまりジロジロ見られるのも...ああ!あたし、どうしたらいいの?!)
ローズは一人、うれしいのかうれしくないのか分からなくなっていた。
「それで終わり?」
マリーがジークに聞くと、ジークは少し表情を硬くするとその問いに答えた。
「...最後に王族を交えた晩餐会がある...」
「えっ?!」
その言葉に呆然とするマリー。一方、ローズは、
「えっ!!もしかして豪華な料理がいっぱい?!...でもマナーとかあるのかしら...」
一瞬、目を輝かせたが、心配そうにそう言う。
「ああ!マナーは気にしなくていい!存分に楽しんでくれ!!」
ジークが笑顔で答えると、
「マリー!!マナー、気にしなくていいって!!楽しみだわ~~!!」
そう言って、今までで一番、うれしそうな顔をしたのだった。
浮かれているローズを尻目に、ジークはマリーにそっと話しかけた。
「...あの話があるかもしれないし、ないかもしれない...まだ話してないのならローズ君に自分はどうしたいのか話しておくんだな!」
「・・・」
マリーはその忠告に無言で俯くだけだった。
☆彡彡彡
その夜、
「じゃあ、『英雄の証』は指輪で決定ね!!」
ローズはマリーと英雄の証を何にするか相談していた。
いろいろ迷った挙句、激しく動き回るローズにとって、指輪が一番、邪魔にならないという結論に達したのだ...建前としては...
((ひ、左手の薬指にはめたりして...))
しかし、二人は同じことを考えていた。
(ローズちゃんが私の手を取って、そっと指輪をつけてくれるの...『あたしのお嫁さんになって!』...なんちゃって!!なんちゃって!!)
喜びが隠しきれなくて頰が緩んでしまっているマリー。
(こ、これは別に意味があるわけじゃないの!!マリーの虫よけの為よ!!マリーには最高の旦那さんが必要...それ以外には用はないわ!!)
必死に言い訳をしているローズ。
理由はともかく、二人とも左手の薬指につける気のようだった。
「じゃあ、明日は早いし、もう寝ましょ!!二つ名は決めれなかったけど、明日までにお互い、考えておくということで!」
「うん!」
ローズとマリーはそう話すと、おのおの自分の部屋に入っていくのだった。
(マリーの二つ名かぁ...やっぱり、あの美貌を象徴するものにするべきかしら?...最高の旦那さんを見つける為にも...)
ベッドで考え事をするローズ。しかし、この考えは思わぬ方向に向かっていく。
(...結婚したらマリーとは別れることになるわね...いっそのことこのまま...ってなに言ってるの?!マリーの幸せを第一に考えなきゃ!!マリーにはそれが一番、いい道なのよ!!)
頭に思いついた考えを必死に振り払うローズ。実際、頭が動いてしまっていた。
(へ、下手したら明日、見初められて、即、結婚っていう事も...ダメダメ!!マリーの旦那さんはあたしが徹底的にチェックするんだから!!...最低、2、3年は必要よね!!)
何とかしてその日を遅らせようとするローズ。
(...でも...マリーは本当はどうしたいのかな?...『あたしと一緒に冒険したい』って言ってくれたら...ってそんな訳ないわよね...)
ローズは悲しそうな顔をすると、布団に深く潜り込むのだった。
一方、マリーはベッドの中で、
(ローズちゃんの二つ名...やっぱり、その雄姿が世界に轟くような...)
ローズと同じく、初めは二つ名を考えていたが、
(...あの話...あるのかな?)
どうしてもそっちに頭がいってしまう。
ちなみに今日、晩餐会があると聞いてからずっとそのことを考えている。
そして、シェナリーからサクラノに帰ってきた後、ジークと話した時の事を思い出していた。
☆彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡
「...そうなんですか...やっぱりローズちゃんは...」
「...そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。結局、確証はない!確証がないから今でも動けないのだろう...」
マリーとジークはローズについて何やら話しているようだった。
しばらくの沈黙の後、ジークはマリーに問う。
「マリー君はこれからどうしたいのかね?」
「それはもちろん、ローズちゃんと一緒にずっと冒険がしたいです。でも...」
「なら、それをローズ君に直接、伝えるべきだ!!...そうしないときっと後悔することになるよ!」
マリーが何か言おうとするのを遮って、ジークはそうアドバイスをした。
「でも、そんなの分かって...」
マリーは言うが、
「本当にそうかな?...通じ合っている者同士でも、言葉にしないと分からないこともある!!むしろ、その言葉こそローズ君が待っているものなんじゃないのかな?」
「...そんな訳...ないです...」
ジークの問いに、マリーは寂しそうに呟いた。
「...まあ、仮の話だ。このまま、何もない可能性も高い。しかし、私の言葉を覚えておいてくれ!」
「はい...」
ジークの言葉に小さく頷くと、マリーはギルドを出ていくのだった。
ミミミミミミミミミミミ☆
(ジークさんはああ言ってたけど...)
「でも...私にローズちゃんは縛れないよ...」
マリーは寂しく、そう呟いた。
(大丈夫!!ローズちゃんは剣が!冒険が大好きだもの!!冒険を諦めるはずがない!!私はローズちゃんを信じる!!)
そう思うと、少し元気が出てきた。
(明日...何もないといいな...)
そんな事を考えながら眠りにつくのだった。
ジークが続きの予定を話す。
「お、王様と謁見?!」
それを聞いたマリーの表情が強張る。
どうやらとても緊張しているようだ。
「そ、そうね!あたしもどうしたらいいのか...礼儀作法なんて知りませんよ?!」
ローズも緊張気味の声でジークを問い詰めるが、
「大丈夫だ!午前中に十分に予行練習をするから、その通り振る舞ってくれたらいい!!」
ジークは二人を落ち着かせるようにそう言った。
「そ、それで朝早くから出かけるんですね!...でも、緊張で間違えたら...」
マリーはそう言いながらも気が気でないらしい。
「少しくらい間違えても問題ない!王様はおおらかなお方だ。許してくださる!」
「ならいいですけど...」
ジークの言葉に少し安心したマリーだったが、ジークが一点だけ注意事項を述べる。
「ただ、無闇に王様に近づいてはいけない!下手したらその場で斬り殺されても文句はいえないよ!」
「そりゃそうよね!大丈夫!!それだけは絶対にしないわ!!」
それに答えたのはローズだった。
二人が良い感じに緊張感を持ったのを見たジークは、一つ頷いて、その後の予定を話す。
「その後は、王城で皆へのお披露目がある!」
「お披露目?!」
またマリーが緊張した顔になる。しかし、ローズは、
「あら、いいじゃない!マリーの可愛さを王城中にアピールするチャンスだわ!!」
そう言って、うれしそうな顔をした。
(王城というと、高級貴族や高級将校がいるはず!!マリーの将来のお婿さん候補だわ!!最高のお披露目ね!!)
ローズはそんなことを考えていたが、マリーは、
「もう!!私じゃなくて、メインはローズちゃんでしょ!!ローズちゃんっていうすごい剣士がいることをみんなに知ってもらわないと!!...私、足を引っ張らないように頑張るね!!」
気を引き締めた様子でそう言った。
「その後は、馬車で王都の大通りをパレードする!これは王都の一般市民へのお披露目だな!!」
ジークは二人の様子を見て、大丈夫だと思ったのか、続きを話し出す。
「また?!...目立つことばっかり...でも頑張るね!!ローズちゃんの為だもん!!」
マリーはあまり目立つのは好きではないらしいが、健気にもそう言うのだった。
(ふふん!!マリーの国宝級のプロポーションをみんなに見せつけてやらなきゃ!!...ってあんまりジロジロ見られるのも...ああ!あたし、どうしたらいいの?!)
ローズは一人、うれしいのかうれしくないのか分からなくなっていた。
「それで終わり?」
マリーがジークに聞くと、ジークは少し表情を硬くするとその問いに答えた。
「...最後に王族を交えた晩餐会がある...」
「えっ?!」
その言葉に呆然とするマリー。一方、ローズは、
「えっ!!もしかして豪華な料理がいっぱい?!...でもマナーとかあるのかしら...」
一瞬、目を輝かせたが、心配そうにそう言う。
「ああ!マナーは気にしなくていい!存分に楽しんでくれ!!」
ジークが笑顔で答えると、
「マリー!!マナー、気にしなくていいって!!楽しみだわ~~!!」
そう言って、今までで一番、うれしそうな顔をしたのだった。
浮かれているローズを尻目に、ジークはマリーにそっと話しかけた。
「...あの話があるかもしれないし、ないかもしれない...まだ話してないのならローズ君に自分はどうしたいのか話しておくんだな!」
「・・・」
マリーはその忠告に無言で俯くだけだった。
☆彡彡彡
その夜、
「じゃあ、『英雄の証』は指輪で決定ね!!」
ローズはマリーと英雄の証を何にするか相談していた。
いろいろ迷った挙句、激しく動き回るローズにとって、指輪が一番、邪魔にならないという結論に達したのだ...建前としては...
((ひ、左手の薬指にはめたりして...))
しかし、二人は同じことを考えていた。
(ローズちゃんが私の手を取って、そっと指輪をつけてくれるの...『あたしのお嫁さんになって!』...なんちゃって!!なんちゃって!!)
喜びが隠しきれなくて頰が緩んでしまっているマリー。
(こ、これは別に意味があるわけじゃないの!!マリーの虫よけの為よ!!マリーには最高の旦那さんが必要...それ以外には用はないわ!!)
必死に言い訳をしているローズ。
理由はともかく、二人とも左手の薬指につける気のようだった。
「じゃあ、明日は早いし、もう寝ましょ!!二つ名は決めれなかったけど、明日までにお互い、考えておくということで!」
「うん!」
ローズとマリーはそう話すと、おのおの自分の部屋に入っていくのだった。
(マリーの二つ名かぁ...やっぱり、あの美貌を象徴するものにするべきかしら?...最高の旦那さんを見つける為にも...)
ベッドで考え事をするローズ。しかし、この考えは思わぬ方向に向かっていく。
(...結婚したらマリーとは別れることになるわね...いっそのことこのまま...ってなに言ってるの?!マリーの幸せを第一に考えなきゃ!!マリーにはそれが一番、いい道なのよ!!)
頭に思いついた考えを必死に振り払うローズ。実際、頭が動いてしまっていた。
(へ、下手したら明日、見初められて、即、結婚っていう事も...ダメダメ!!マリーの旦那さんはあたしが徹底的にチェックするんだから!!...最低、2、3年は必要よね!!)
何とかしてその日を遅らせようとするローズ。
(...でも...マリーは本当はどうしたいのかな?...『あたしと一緒に冒険したい』って言ってくれたら...ってそんな訳ないわよね...)
ローズは悲しそうな顔をすると、布団に深く潜り込むのだった。
一方、マリーはベッドの中で、
(ローズちゃんの二つ名...やっぱり、その雄姿が世界に轟くような...)
ローズと同じく、初めは二つ名を考えていたが、
(...あの話...あるのかな?)
どうしてもそっちに頭がいってしまう。
ちなみに今日、晩餐会があると聞いてからずっとそのことを考えている。
そして、シェナリーからサクラノに帰ってきた後、ジークと話した時の事を思い出していた。
☆彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡彡
「...そうなんですか...やっぱりローズちゃんは...」
「...そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。結局、確証はない!確証がないから今でも動けないのだろう...」
マリーとジークはローズについて何やら話しているようだった。
しばらくの沈黙の後、ジークはマリーに問う。
「マリー君はこれからどうしたいのかね?」
「それはもちろん、ローズちゃんと一緒にずっと冒険がしたいです。でも...」
「なら、それをローズ君に直接、伝えるべきだ!!...そうしないときっと後悔することになるよ!」
マリーが何か言おうとするのを遮って、ジークはそうアドバイスをした。
「でも、そんなの分かって...」
マリーは言うが、
「本当にそうかな?...通じ合っている者同士でも、言葉にしないと分からないこともある!!むしろ、その言葉こそローズ君が待っているものなんじゃないのかな?」
「...そんな訳...ないです...」
ジークの問いに、マリーは寂しそうに呟いた。
「...まあ、仮の話だ。このまま、何もない可能性も高い。しかし、私の言葉を覚えておいてくれ!」
「はい...」
ジークの言葉に小さく頷くと、マリーはギルドを出ていくのだった。
ミミミミミミミミミミミ☆
(ジークさんはああ言ってたけど...)
「でも...私にローズちゃんは縛れないよ...」
マリーは寂しく、そう呟いた。
(大丈夫!!ローズちゃんは剣が!冒険が大好きだもの!!冒険を諦めるはずがない!!私はローズちゃんを信じる!!)
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