バスト・バースト!

世々良木夜風

文字の大きさ
8 / 45

Burst 8. 二人で宿泊

しおりを挟む
「はぁ、もう真っ暗だね」
二人が3つ目の道の駅に着いた時にはもう日が沈んでいた。
「はい。暗くなると魔物も見つけにくいですし...明日は早く出るか、いっそのことゆっくりして、2つだけ移動しましょうか?」
「う~~ん、まだ、元気だし、早く出ようかな!みんな何時くらいに出てるの?」
「早い人は夜明けと共に出発します。しかし、7時ごろ出れば、明るいうちに着けるのではないでしょうか?」
「じゃあ、6時ごろ、起きればいいかな!...だけど、私、早起きは苦手で...」
「私が起こして差し上げます。きっと可愛い寝顔なんでしょうね...」
「わわっ!やっぱり自分で起きる!変な顔してたら恥ずかしいよぉ...」
「まあ、残念です...」

二人はいつものようにカードを機械にかざすと、泊まる部屋について相談する。
「宿泊は共同でいいですよね?そちらの方が安いですし...」
「私は雑魚寝でもいいけどな...でもマリアちゃんはそうもいかないよね」
「オトメさんこそ雑魚寝なんてとんでもない!もし、誰かに襲われたら...」
「いや~~、さすがにそれはないんじゃないかな...マリアちゃんはありそうだけど...」
「とにかく、部屋は私が取ります!お金も私が払いますから、オトメさんは安心してください!」
「えっ、そういう訳には...」
「いいんです!これは私のわがままです。それでお願いしますね!」
「は、はい...」
オトメはマリアの気迫にそう答えるしかなかった。

二人はマリアが取った二人部屋にやって来た。
ベッドが二つとテーブルに椅子が二脚。シンプルな部屋だ。
「鍵がかかりますので、荷物はここに置いて...『ご飯にする?お風呂にする?それとも...わ・た・し?』...なんちゃって...」
マリアが照れながら、どこかで聞いたフレーズを言った。すると、オトメは、
「マリアちゃん!」
「えっ!!」
「マリアちゃんにする!」
驚きのセリフを言った。
「で、でも汗、いっぱいかきましたし、お風呂の後の方が...もちろんオトメさんがそういうのが好みならいいのですが...」
マリアは真っ赤になりながらも、何とか言葉にする。
「お風呂の後でもいいけど、今、やってしまおうよ!」
「オ、オトメさんがそうしたいのなら...」
マリアはギュッと目を閉じ、オトメに全てを任せるかのように無防備な姿勢を取る。
マリアの耳にオトメの足音が聞こえてくる。
足音がマリアのすぐ傍で止まった...
オトメの手がマリアのワンピースのファスナーに触れる。
(私...結婚もしてないのに...でも...オトメさんなら...)
ファスナーが下ろされ、大きなフリルのついたワンピースがファサっと床に落ちる。
可愛いピンクの下着姿になったマリアがつぶやく。
「オトメさん...」
マリアは目を閉じたままだ。恥ずかしさで顔が真っ赤だが、体を隠すことはしない。
するとオトメは...ワンピースを拾うと裁縫道具を取り出した。
「ほら、ここ、ほつれてるよ!せっかくの可愛い服が台無し!恥ずかしいと思うけど、すぐ直すから待っててね!」
オトメは服をササッと直すと、元通り着せてあげた。
「じゃあ、先にご飯にしようか?お腹減っちゃって!」
「・・・」
マリアは急に無口になってしまった。
(何か怒らすことしちゃったかな...そっか、さすがに下着姿は恥ずかしいよね...私もマリアちゃんに見られるのは...でもこういうとき、どう言えばいいんだろう...)
オトメは掛ける言葉を考えながら食堂に向かった。

食堂で食事を取りながらオトメは思い切ってマリアに話しかける。
「さっきはごめんね...下着姿、恥ずかしかったでしょ。前に人に注目されるの苦手って言ってたよね。それなのに私...」
「いいんです!そんなんじゃないんです。私、オトメさんになら...ただ...違ったんだなって...」
「違う?どういうこと?」
「い、いいんです。確かにまだ早かったかもしれません...」
「???」(どういう意味だろう...たまにマリアちゃんの言う意味が分からない...やっぱりお嬢様は違うのかな...)
「本当に気にしてませんから...それに服を直していただいてありがとうございました」
「あのくらいならいつでもしてあげるよ...でもマリアちゃんの下着姿、可愛かったよ!下着もそうだけど、胸も大きいのに形がきれいで...羨ましいな!」
「そ、そんなこと...オトメさんの方がきれいです!」
マリアは照れながらも頬が緩んでいる。そして、オトメを褒めてきた。
「いや~~、私のなんて見る価値ないよ!大体ブラも...」(しまった!見られたらアンダーAだとバレる!でも、この後、お風呂に...)
「ふふふ。本当に謙虚ですね!この後のお風呂が楽しみです!きっと可愛いですよ!」
「そ、そう?」(ど、どうしよう...いっそのことブラはつけない主義だとか...でもこのぺったんこの胸を見られたら分かっちゃう!)

部屋に帰ってきた二人はお風呂の準備をする。
「替えの服を持っていった方がいいですよ!お風呂の中にもコインランドリーがありますから、入浴中に洗えば、時間の節約になります」
「そ、そう...」(どうしよう...刻一刻とその時が...)
そう言いながら着替えの用意をしていると、
「あら?可愛いショーツですね。ブラもお揃いですか?」
マリアがクリティカルなことを聞いてきた。
「あ、あの...私!実はアンダーAなの!ブラも買ってもらえなくて...」
オトメは泣きそうになりながらカミングアウトした。
「そうでしたか。私も配慮が足りなかったかもしれません。でもアンダーAも好きですよ!オトメさんを思う気持ちに変わりはありません!」
マリアは何事もなかったかのように答えた。
「へ、変だと思わないの?...女の子なのに...胸もなくて...ブラもしてなくて...」
「そんなこと思いませんよ!とっても素敵な個性だと思います!私、小さい胸が好きなんです!AでもアンダーAでも!」
「個性...」
「ブラジャーがつけられないのは女の子としては寂しいですよね...でもその分、可愛いショーツをはいたらいいじゃないですか!それ、とっても可愛いですよ!」
「ありがとう!マリアちゃんになら...私の全てを見せれそう!」
オトメはにっこりと笑って言った。
「ぶっ!!」
マリアはお風呂に行く前にしばらく静養することになってしまった...

「お風呂行ってきたよ~~。マリアちゃん、体の具合はどう?」
オトメがお風呂から帰ってきた。マリアはベッドで休んでいた。
「体はもう大丈夫ですが、心が...」
「どうしたの?悩み事?それなら聞かせて?」
オトメが心配してやってくる。
「いえ、オトメさんと一緒にお風呂にいきたかったな...と...」
そう言ったマリアが一瞬、『しまった!』というような顔をする。しかし、オトメは、
「そうだったの?でも明日も明後日もチャンスはあるよ!私もマリアちゃんと一緒にお風呂に入りたい!」
再び、笑顔で言う。
「ぶっ!!」
マリアはもう一休みすることになってしまった。

「マリアちゃん、今からお風呂行くの?体の具合、悪いみたいだし、今日は止めといたら?」
マリアは今、お風呂の準備をしていた。
「いいえ!オトメさんの前ではいつもきれいな私でいたいんです!お風呂に入らないなんて考えられません!」
「十分、きれいだと思うけど...っていうか私より、きれいじゃない状態なんて想像できない...」
「いいえ!オトメさんは私の理想なんです!可愛い顔...純朴なかおり...小さな胸...」
「最後の二つ、褒めてる?」
オトメの額に青筋が浮かぶ。
「もちろん!私もオーパイに行ったら...でもCまでしか落とせないなんて...」
「マリアちゃん、ケンカ売ってるよね!」
オトメの額に二筋目の青筋が浮かんだ。
「ごめんなさい。汗くさかったですよね!すぐにきれいにしてきます!」
マリアは怒らせた原因が自分の不衛生な状況にあったと思ったようだ。そう言うと、急いで部屋を出ていった。
「変わってるというか、マイペースというか...面白い子だよね...」
オトメは他人から見たら自分も同じように見えていることに気づいていなかった。
「でも、マリアちゃんといると楽しいな...ずっと一緒に...は無理か。オーパイまでだよね...」
オトメは何故かセンチな気分になっていた。しかし...
「考えても仕方ないか!その分、それまでの時間を楽しもう!!」
そう言ってベッドに潜り込むのだった。

その夜、オトメのベッドに忍び寄る影が一つ...
「オトメさんは全てを見せてくれると言った...今がその時...」
オトメの掛け布団が捲られる。
そこには夜間着の無防備なオトメが...
ゆっくりと近づく影、しかし...
「やはり、いけません!結婚前に関係を持つなど...貞操観念のない、ふしだらな女と思われてしまいます...その時までの我慢です...その時までの...」
影は掛け布団を直すと、自分のベッドに向かって戻っていった。
すんでのところでオトメは大事なものを奪われずに済んだのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...