30 / 45
Burst30. シージェラとジェンヌの喧嘩
しおりを挟む
「二人は共に過ごしているうちにいつしか恋心を抱くようになっておりました」
シージェラの屋敷で、船が出なくなった理由が語られようとしていた。
「まあ!それは素敵です!」
マリアが目を輝かせる。どうやら恋バナは好きなようだ。
オトメはお菓子に夢中だ。グレースはこの手の話は苦手なので空気になっていた。
「ところが、ジェンヌときたら、他の女性がいるとチラチラ横目で見ているのです!私が側にいるというのに!」
シージェラの声に怒りが混ざる。
「なんて失礼なのでしょう!こんなに可愛らしい恋人がいるというのに!」
マリアも一緒になって怒る。
「本当ですわ!何度も注意しました。その度に『悪い。もう二度と見ないと誓う』と言うのですが、しばらくするとまた元通り...」
「なんてひどい...」
「ついに堪忍袋の緒が切れた私はジェンヌに言ってしまったのです。『もう、ジェンヌなんか知らない!もう会いに来ないし、ついでにうちの領からこちらの領に人も寄越さない!』と...」
「いや、シージェラさんが行かないのは勝手だけど、なんで他の人まで寄越さないの?」
オトメがつい、余計な事を言ってしまう。
しかし、二人はオトメを見事にスルーした。
「そんなことが...でも、今でもジェンヌさんのことがお好きなのでしょう?」
マリアが優しく言う。
「そ、それは...」
シージェラの顔が赤くなる。
「それで謝りに来るのを待っているのですね。分かります、その気持ち...」
「そう言っていただけるとうれしいですわ。私はただ、『ごめん。今まで悪かった』と謝ってもらって、『僕には君しか見えない』と抱きしめてもらって、『結婚しよう』とプロポーズしてもらって、一生、仲睦まじく過ごしたいだけなのに...」
「うん、シージェラさんの妄想はよく分かったから、早く渡航を再開しよう!他の人は関係ないよ!」
オトメは懲りずに話に水を差した。
しかし、マリアとシージェラは話に夢中になっている。部外者の声など聞こえない。
「まあ...なんて素敵な...私もオトメさんに...いえ、何でもありません...分かりました!私がその夢を叶えてみせましょう!」
「本当ですか!でもどうやって...こちらからあちらに行くことはできません...」
「いや、普通に船に乗っていこうよ!」
まだ懲りない女が話に割り込む。
「行けないのなら来させればいいのです!私に考えがあります!」
「「えっ!どうやって?!」」
懲りない女と妄想女の声が重なる。
「魔物を呼ぶのです。もし、ジェンヌさんが今でもシージェラさんを好きならきっと助けに来てくれるでしょう!」
「『魔物を呼ぶ』ってどうやって...」
シージェラが言うが、
「簡単ですよね!オトメさん!」
「はい?」
オトメはマリアの言っている意味が分からなかった。
・・・
「あぁぁ~~~~~~ん!!!マリ...」
ここは、サーカイの街の入口。ここでオトメとマリアが人目も憚らずコトをしていた。
周りの目が集まる。
二人の近くにはグレースとシージェラの姿も見えた。
しばらく皆が見ていると...街の外から魔物が集まってきた。
目指すはオトメの出したバースト・ボール。
これは強力に魔物を引き寄せる。
だが、魔物は街には入らない。入れるのは最上位の魔物、『イケメンモドキ』だけだ。
理由は分からないが、元が持たざる者の嫉妬なので街の人に害を与えるようなことはしないのだろう。
そんなに多くはないが、それなりに集まってきた。
危なそうなのはグレースが切り捨てる。
しかし、街は騒然となる。
「おい、魔物がたくさん集まってきたぞ!」
「どうなってるの?こんなこと今までなかった!私、大丈夫かしら?」
騒ぎはどんどん大きくなる。
やがて、トナリノ領の見張り台からもその様子が見て取れた。
すぐに、管理者の元に伝令が飛ぶ。
「ジェンヌ様!大変です!」
「どうした?」
「多くの魔物がテジナ領の街の入口に集まっているようです!」
「何?本当か?どうしてそんなことが...」
「分かりません!しかし、テジナ領が騒然となっております!」
「シージェラ...シージェラは!」
「それが、街の入口におられるようでして...食い止めようとしているのかもしれません!」
「馬鹿な!あいつはEカップ!すぐに標的になるぞ!こうしてはおれん!僕も出る!冒険者を集めて船へ!」
「はっ!」
こうして狙い通り、トナリノ領から船でジェンヌと冒険者たちがやってきた。
・・・
オトメたちが街に魔物を集めてから小一時間。
「シージェラ!大丈夫か!」
冒険者たちの先頭に立って現れたのは凛々しい...女性だった。ボーイッシュな格好をしている。
「ジェンヌ!来てくれたのね!」
うれしそうなシージェラの顔。
それを聞いたオトメはバースト・ボールを魔物に叩きつける。
半分ほどの魔物が消えた。残りの魔物もマリアとグレースが簡単に片付ける。
「師匠...強くなったな!」
「お二人に負けてはいられません!私だって守られてばかりじゃないのですよ!」
「マリアちゃん...」
オトメもうれしそうだった。
「これは一体...」
ジェンヌが呆然と立ち尽くす。
「話はこれからです!私たちと一緒に来てもらいましょうか!」
マリアが怒った声でジェンヌに話しかける。
「君は誰だ?」
「後で説明します!とにかく、全部、洗いざらい吐いてもらいますからね!」
「冒険者の方は帰って結構です。特別に船を出しましょう。お騒がせしました」
シージェラが冒険者たちに声を掛け、部下に指示を出す。
すると、冒険者たちはその指示に従って帰っていった。
・・・
場所は改まって、シージェラの屋敷。
オトメたちとシージェラ、ジェンヌとその側近が応接室に集まっていた。
「その...すまん、シージェラ。もっと早くに来ようと思っていたのだが踏ん切りがつかなくてな」
「あやまることはないわ。所詮、私はあなたにとってそれだけの存在だったのよ。他の可愛い女の子と仲良くしたらいいんじゃないかしら...」
「違う!僕が好きなのはシージェラだけだ!」
「嘘よ!何度言っても他の可愛い女の子を見てるじゃない!私はそのうちの一人だった...それで勘違いしてしまったのよ...」
「だから違うんだ!僕が見てるのは女の子ではなく...」
そこでジェンヌは言い淀んでしまった。何度か口を開きかけるが結局、閉じてしまう。
「ほら、やっぱりそうなんじゃない」
そんな二人のやり取りを見ながらオトメはつぶやいていた。
「なるほど...こう言えばマリアちゃんが...『私が好きなのはマリ...だけなの!』なんちゃって!」
オトメが一人で照れていると、ふと視線を感じる。
それはジェンヌのものだった。
(あれ?この視線...覚えがある...これは私が...を見るときの...)
「ちょっと!どこ見てるの!よりによってマリアさんの失礼なお付きを見るなんて!」
その視線に気づいたシージェラが嫉妬の炎を燃やした。
「ち、違うんだ!僕が見たのはこの胸のないガサツな少女ではなくて...」
宝塚系のジェンヌがうろたえる。
「全く、失礼なカップルだなぁ...あれ?このセリフどこかで言った気が...じゃなくて、ジェンヌさんが見たのは私じゃないよ!」
オトメははらわたが煮えくり返る思いであったが、何とか笑顔をキープして言った。
「それでは何だといいますの?!」
「それは、可愛い洋服だよ!今日はマリアちゃんのために買った洋服を着てるから!」
「オ、オトメさん...」
マリアが赤くなって慌てている。
そういえば今日のオトメの服は冒険用の麻のワンピースではなく、ワガマーマで買ったミニワンピだ。
「それはどういう...」
「な、な、な、なんでそれを!」
シージェラはピンと来ないようだが、ジェンヌは傍から見ても分かるほど動揺している。
「だって、私の服を見た視線。私が他の子がブラをつけてるのを見る視線と同じだったから...もしかして、こういう服、好きなの?」
「ち、ち、違う!僕はそのような可愛らしい、女の子らしい服など、憧れたことも、着たいと思ったこともない!」
ジェンヌは更に動揺していた。しかし、頬が赤く染まり、恥ずかしがっているのが分かる。
「そ、そんな...カッコイイ服が似合う、凛々しいジェンヌが可愛らしい服を着たがっていたなんて...」
シージェラはその事実に衝撃を受けているようだ。
「...ごめん、シージェラ...僕は君が思うようなカッコイイ女子ではなくて、女の子らしい服に憧れる乙女な心を持っていたんだ...さよなら...」
ジェンヌはそう言うと、部屋の出口に向かって歩き始めた。
シージェラの屋敷で、船が出なくなった理由が語られようとしていた。
「まあ!それは素敵です!」
マリアが目を輝かせる。どうやら恋バナは好きなようだ。
オトメはお菓子に夢中だ。グレースはこの手の話は苦手なので空気になっていた。
「ところが、ジェンヌときたら、他の女性がいるとチラチラ横目で見ているのです!私が側にいるというのに!」
シージェラの声に怒りが混ざる。
「なんて失礼なのでしょう!こんなに可愛らしい恋人がいるというのに!」
マリアも一緒になって怒る。
「本当ですわ!何度も注意しました。その度に『悪い。もう二度と見ないと誓う』と言うのですが、しばらくするとまた元通り...」
「なんてひどい...」
「ついに堪忍袋の緒が切れた私はジェンヌに言ってしまったのです。『もう、ジェンヌなんか知らない!もう会いに来ないし、ついでにうちの領からこちらの領に人も寄越さない!』と...」
「いや、シージェラさんが行かないのは勝手だけど、なんで他の人まで寄越さないの?」
オトメがつい、余計な事を言ってしまう。
しかし、二人はオトメを見事にスルーした。
「そんなことが...でも、今でもジェンヌさんのことがお好きなのでしょう?」
マリアが優しく言う。
「そ、それは...」
シージェラの顔が赤くなる。
「それで謝りに来るのを待っているのですね。分かります、その気持ち...」
「そう言っていただけるとうれしいですわ。私はただ、『ごめん。今まで悪かった』と謝ってもらって、『僕には君しか見えない』と抱きしめてもらって、『結婚しよう』とプロポーズしてもらって、一生、仲睦まじく過ごしたいだけなのに...」
「うん、シージェラさんの妄想はよく分かったから、早く渡航を再開しよう!他の人は関係ないよ!」
オトメは懲りずに話に水を差した。
しかし、マリアとシージェラは話に夢中になっている。部外者の声など聞こえない。
「まあ...なんて素敵な...私もオトメさんに...いえ、何でもありません...分かりました!私がその夢を叶えてみせましょう!」
「本当ですか!でもどうやって...こちらからあちらに行くことはできません...」
「いや、普通に船に乗っていこうよ!」
まだ懲りない女が話に割り込む。
「行けないのなら来させればいいのです!私に考えがあります!」
「「えっ!どうやって?!」」
懲りない女と妄想女の声が重なる。
「魔物を呼ぶのです。もし、ジェンヌさんが今でもシージェラさんを好きならきっと助けに来てくれるでしょう!」
「『魔物を呼ぶ』ってどうやって...」
シージェラが言うが、
「簡単ですよね!オトメさん!」
「はい?」
オトメはマリアの言っている意味が分からなかった。
・・・
「あぁぁ~~~~~~ん!!!マリ...」
ここは、サーカイの街の入口。ここでオトメとマリアが人目も憚らずコトをしていた。
周りの目が集まる。
二人の近くにはグレースとシージェラの姿も見えた。
しばらく皆が見ていると...街の外から魔物が集まってきた。
目指すはオトメの出したバースト・ボール。
これは強力に魔物を引き寄せる。
だが、魔物は街には入らない。入れるのは最上位の魔物、『イケメンモドキ』だけだ。
理由は分からないが、元が持たざる者の嫉妬なので街の人に害を与えるようなことはしないのだろう。
そんなに多くはないが、それなりに集まってきた。
危なそうなのはグレースが切り捨てる。
しかし、街は騒然となる。
「おい、魔物がたくさん集まってきたぞ!」
「どうなってるの?こんなこと今までなかった!私、大丈夫かしら?」
騒ぎはどんどん大きくなる。
やがて、トナリノ領の見張り台からもその様子が見て取れた。
すぐに、管理者の元に伝令が飛ぶ。
「ジェンヌ様!大変です!」
「どうした?」
「多くの魔物がテジナ領の街の入口に集まっているようです!」
「何?本当か?どうしてそんなことが...」
「分かりません!しかし、テジナ領が騒然となっております!」
「シージェラ...シージェラは!」
「それが、街の入口におられるようでして...食い止めようとしているのかもしれません!」
「馬鹿な!あいつはEカップ!すぐに標的になるぞ!こうしてはおれん!僕も出る!冒険者を集めて船へ!」
「はっ!」
こうして狙い通り、トナリノ領から船でジェンヌと冒険者たちがやってきた。
・・・
オトメたちが街に魔物を集めてから小一時間。
「シージェラ!大丈夫か!」
冒険者たちの先頭に立って現れたのは凛々しい...女性だった。ボーイッシュな格好をしている。
「ジェンヌ!来てくれたのね!」
うれしそうなシージェラの顔。
それを聞いたオトメはバースト・ボールを魔物に叩きつける。
半分ほどの魔物が消えた。残りの魔物もマリアとグレースが簡単に片付ける。
「師匠...強くなったな!」
「お二人に負けてはいられません!私だって守られてばかりじゃないのですよ!」
「マリアちゃん...」
オトメもうれしそうだった。
「これは一体...」
ジェンヌが呆然と立ち尽くす。
「話はこれからです!私たちと一緒に来てもらいましょうか!」
マリアが怒った声でジェンヌに話しかける。
「君は誰だ?」
「後で説明します!とにかく、全部、洗いざらい吐いてもらいますからね!」
「冒険者の方は帰って結構です。特別に船を出しましょう。お騒がせしました」
シージェラが冒険者たちに声を掛け、部下に指示を出す。
すると、冒険者たちはその指示に従って帰っていった。
・・・
場所は改まって、シージェラの屋敷。
オトメたちとシージェラ、ジェンヌとその側近が応接室に集まっていた。
「その...すまん、シージェラ。もっと早くに来ようと思っていたのだが踏ん切りがつかなくてな」
「あやまることはないわ。所詮、私はあなたにとってそれだけの存在だったのよ。他の可愛い女の子と仲良くしたらいいんじゃないかしら...」
「違う!僕が好きなのはシージェラだけだ!」
「嘘よ!何度言っても他の可愛い女の子を見てるじゃない!私はそのうちの一人だった...それで勘違いしてしまったのよ...」
「だから違うんだ!僕が見てるのは女の子ではなく...」
そこでジェンヌは言い淀んでしまった。何度か口を開きかけるが結局、閉じてしまう。
「ほら、やっぱりそうなんじゃない」
そんな二人のやり取りを見ながらオトメはつぶやいていた。
「なるほど...こう言えばマリアちゃんが...『私が好きなのはマリ...だけなの!』なんちゃって!」
オトメが一人で照れていると、ふと視線を感じる。
それはジェンヌのものだった。
(あれ?この視線...覚えがある...これは私が...を見るときの...)
「ちょっと!どこ見てるの!よりによってマリアさんの失礼なお付きを見るなんて!」
その視線に気づいたシージェラが嫉妬の炎を燃やした。
「ち、違うんだ!僕が見たのはこの胸のないガサツな少女ではなくて...」
宝塚系のジェンヌがうろたえる。
「全く、失礼なカップルだなぁ...あれ?このセリフどこかで言った気が...じゃなくて、ジェンヌさんが見たのは私じゃないよ!」
オトメははらわたが煮えくり返る思いであったが、何とか笑顔をキープして言った。
「それでは何だといいますの?!」
「それは、可愛い洋服だよ!今日はマリアちゃんのために買った洋服を着てるから!」
「オ、オトメさん...」
マリアが赤くなって慌てている。
そういえば今日のオトメの服は冒険用の麻のワンピースではなく、ワガマーマで買ったミニワンピだ。
「それはどういう...」
「な、な、な、なんでそれを!」
シージェラはピンと来ないようだが、ジェンヌは傍から見ても分かるほど動揺している。
「だって、私の服を見た視線。私が他の子がブラをつけてるのを見る視線と同じだったから...もしかして、こういう服、好きなの?」
「ち、ち、違う!僕はそのような可愛らしい、女の子らしい服など、憧れたことも、着たいと思ったこともない!」
ジェンヌは更に動揺していた。しかし、頬が赤く染まり、恥ずかしがっているのが分かる。
「そ、そんな...カッコイイ服が似合う、凛々しいジェンヌが可愛らしい服を着たがっていたなんて...」
シージェラはその事実に衝撃を受けているようだ。
「...ごめん、シージェラ...僕は君が思うようなカッコイイ女子ではなくて、女の子らしい服に憧れる乙女な心を持っていたんだ...さよなら...」
ジェンヌはそう言うと、部屋の出口に向かって歩き始めた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる