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第一章 とても不思議な世界
40話 異世界③
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慌ただしい夜が明け、森の中にも日の光が差し始めた。昨晩の攻防が夢であったように感じられる程静かな朝を迎えた時、洞窟の中でオレガノは目を覚ました。
そこは、つい先程まで焚火が付いていたかのように、燃えた薪と煙の臭いが充満していた。
オレガノは自分の鼻をこすりながら、ここが何処であるかを確認しようと辺りを見渡し始める。
すると、自分が寝床に投げ出していた足の隣に、頭を腕に埋める様に突っ伏して眠っている日々喜の姿が目に入った。
「日々喜!」
オレガノは、日々喜の名前を叫びながら、その状態を確認しようと肩を揺すった。
「オレガノ? おはよう」
眠たげに頭をもたげ、日々喜はいつも通りの朝を迎えたかのように、オレガノに挨拶をした。
「おはよう、じゃないわ。怪我は? もう平気なの?」
「うん、怪我は治してもらったよ」
「治してもらったですって? 一体誰に?」
「あの白蛇、ムラサメと言うんだけど、彼が僕らの怪我を治してくれたんだ。ここで、コウミと一緒に暮らしてるみたいなんだ」
「コウミ師匠……。あ!?」
コウミの名前を聞き、オレガノの脳裏に昨晩の出来事が甦り始める。
ボロボロになった日々喜を抱き留めていた事。コウミがその場に現れた事。そして、自分が白蛇に食べられた事を。
途端に、オレガノの顔色が青くなり始めた。
「私、白蛇に食べられたんだ」
「それが、ムラサメの治療の仕方らしいよ」
「馬鹿な事言わないで。死んでしまったから、きっと、夢を見ているんだわ」
「死んでから、夢を見るの?」
「そうよ。そうでなかったら、ここは天国に違いないわ」
オレガノは、日々喜の言う事を信じる事が出来ず、自分の人生を悲観し始めた。
「飲み込まれている時に何か見なかった?」
日々喜は構わず質問した。
「憶えてないわ。一瞬で死んでしまったもの」
「そう……。オレガノ、落ち着いて聞いて。とても大切な事なんだ」
日々喜はオレガノの隣に座り、彼女の手を取った。それは、自分の義理の兄弟達を落ち着かせる時に、何時も取る手段だった。
「ムラサメ、白蛇のお腹の中で、大きな繭の様なベッドを見た。その中に二人の女の子が居て、彼女らは遊びながらアイディ・クインの名前を口にしていたんだ」
「日々喜……、それって」
「コウミは、その二人が後継者達で間違いないって、ムラサメはこれまで、お腹の中で彼女達を守って来ていたと話していたよ」
「本当に? 夢じゃないのね?」
「夢じゃない。本当の事だよ」
オレガノは日々喜を抱きしめた。
「良かった……。イバラは見捨てられてなかったんだわ。アイディはちゃんと後継者を私達に残してくれた。……本当に良かった」
「良かったねオレガノ。本当に良かった……」
日々喜は、オレガノの髪を優しく撫なでながら、そう応えた。
「そうと分かったら、早くフォーリアムの館へ帰りましょう。リグラと、後、キリアンの事も心配だわ」
オレガノはそう言って立ち上がった。
「キリアンとリグラは無事だよ。コウミがそう言ってた」
日々喜はそう応えながら、出口に向かって歩き出すオレガノの後に続いて行く。
洞窟の出入り口の辺りには、コウミが腰を落とし外の様子を窺い続けていた。
一晩中そうして警戒を行っていたのだろう。しかし、朝を迎えた今、そこから見通しの利く外の様子からは、警戒する必要を全く感じさせる事は無かった。
二人の姿を見咎め、コウミは何も言わず立ち上がる。
「あの! 昨日はありがとうございました。危ない所を助けて頂いて。それと、日々喜から聞きました。コウミ師匠さんは白蛇と一緒に居て、後継者の事を守っていたんですね?」
オレガノが、突然大きな声で話し掛けた。
コウミは小首を傾げる。
「ありがとうございました! 本当にありがとうございます!」
オレガノは、頭を下げ、お礼の言葉を述べた。
「朝からやかましいな。日々喜、そいつを黙らせろ」
腰を曲げたままだったオレガノを日々喜が止めた。
「行くぞ」
そう一言言うと、コウミは洞窟から出て行った。
「行く? どこに行くのかしら?」
オレガノは不思議そうにコウミの背中を見送った。
「ごめん、オレガノ。僕達は、もう行かなくちゃいけない」
「行かなくちゃって……。どうして!?」
日々喜がそう言うと、察した様にオレガノは聞き返した。
「後継者は見つかったわ。それを聞けばお嬢様も、お嬢様だけじゃない、イバラの皆が安心する。危険な事は何もないもの。日々喜がここから出て行く理由だって、何も無いじゃない!」
日々喜は言い辛そうに話し始めた。
「二人で決めた事なんだ。コウミは僕の事を守ってくれる。だから、僕はコウミに従って行かなくちゃいけない」
「間違ってる!」
オレガノが声を上げた。日々喜は驚いて、彼女の顔を見た。
「ここに居たいから、貴方はここまで来たじゃない! お嬢様の為ではなく、自分の為に後継者を探しに来た! そして、見つけ出したじゃない! ちゃんと、自分の目的を達成したの! それなのに今更、人の言い分に素直に従うなんて、貴方は間違っているわ!」
「オレガノ」
「本当の気持ちを伝えて、日々喜。正直に伝えれば、貴方のお師匠さんだって分かってくれるはずだわ」
「僕の、本当の気持ち……」
「今思っている事よ。どんな事でも、私は貴方の意見に賛成する。私達は、貴方と一緒にここまで来た。何時だって、貴方の味方だって分かるでしょ?」
オレガノは、日々喜の事を見つめながらそう言った。その間、日々喜もオレガノから目を逸らす事が出来なかった。
「何してる? 早く来い」
洞窟の外からコウミが声を掛けた。
洞窟の外へと出ると、眩しい程の朝日が、真向かいから二人の事を照らした。
その場所は少しばかり開けた所ではあったが、周囲は木々に囲まれており、自分達が依然森の中に居る事がすぐに分かった。
洞窟を出たすぐ目の前に、コウミは日々喜達が出て来るのを待っていた。日々喜は意を決した様に口を開いた。
「コウミ、僕は……」
「そこのお前」
その言葉を遮り、コウミがオレガノに尋ねた。
「私ですか?」
「名は?」
「オレガノ・ザイードです」
「見せたい物がある。お前も来いザイード」
コウミはそう言うと、森の中へと進んで行ってしまった。
日々喜達もその後を続いて行く。
鬱蒼とする森の中では、朝日はこもれ日となって木々の足下を照らしている。そこはシダ系の植物に覆いつくされ、地面のほとんどを隠していた。人はおろか動物さえも未だ足を踏み入れた事が無いのではないかと思える程だった。
イバラの森の最深部。
ここがルーラーの住処にほど近い場所であるとオレガノは察し、僅かに畏怖の念を抱き始めた。
やがて、歩き辛い森の中から、今度は岩を敷き詰めて作ったような石畳の小道に出た。
石畳の岩肌はびっしりと緑色の苔こけが生し、作られてから相当の時間が経過した事を思わせた。しかし、そうであっても岩と岩の間は、草一本生える事が出来ない程に、ピッタリと狭く敷き詰められており、僅かな起伏も許さない程に水平な道を成していた。
まるで、山道か古い神社やお寺に敷かれた道筋の様だ。
日々喜は石畳の上を歩きながらそう考える。
やがて、二人はルーラーの住処へと到達した。
そこは、森の中心でありながら、人の手が入ったかのように整地がなされ、脇を流れる小川の水を溜めた小さな池や、野原に咲く草花が植え付けられたように並べられている。
日々喜はその光景に見覚えがあった。
フェンネルに誘われた秘密の庭にそっくりだったのだ。
その場所の中央には、フェンネルの秘密の庭と同様に一本の木が生えていた。
周囲に生い茂る木々に比べて幹周りが太く、地上から一、二メートルの高さの辺りで、横に広がるように幾つもの太い枝へと別れて行っている。その様は、森の中にできた広い空間を余す事無く使う為に、上に伸びる事を止め、あえて横へ横へと不自然な程に腕を広げているかのように映った。落葉樹らしく一枚の葉っぱも付けていないその枝先に、白い花弁を広げた花が二、三輪顔を見せ始めていた。
「サクラが咲いてる」
遠目から、その花の開花を確認したオレガノが、その木の名前を呼んだ。
「……サクラ?」
日々喜の問いにオレガノは頷くと、思い出したように説明を付け足し始めた。
「日々喜は初めて見るのね。この花は神話の時代、五人の賢者と英雄が国中に広めた花よ。彼らは自分の旅した場所に魔導を伝え、サクラの木を植えて行ったんですって。だから、魔導連合王国では新年度を迎えると、サクラの白い花が国中に咲き誇るのよ」
「サクラの木を、国中に……」
日々喜はそう呟きながらその場所に生えているサクラの木をながめた。
自分の知らない種類の桜かも知れない。そうは考えるものの、その花は自分の母国で良く見た桜の花、ソメイヨシノに似た物だった。その為か、何か感情に訴えるものがあった。
そして、毎年この時期に咲き誇るサクラの姿を見て来たオレガノには、これから訪れる新たな季節の先駆けとして、将来に向かって歩こうとする彼女自身の背中を力強く押された気持ちがした。
もうじき、新年度を迎えるのだ。
「日々喜、ごめんね」
「何の事?」
「昨晩の事。貴方の事を守ると言ったのに、逆に私が貴方に守られていたわ」
オレガノは、意を決した様に日々喜の方へと向き直った。
「私、決めたわ。強くなるの。貴方だけじゃない、守れるもの全部。守りたいものは全て、ちゃんと守れる人間になる。そう言う魔導士になるわ」
「全部守るの?」
オレガノは勢い良く頷き返す。それを見て、日々喜は少し考えてから応える。
「それはきっと難しいよ、オレガノ。普通はできない事だと思う」
「それでもやるわ。私、必ずそうなる! そう決めたの!」
「分かった。僕は応援してる。でも、無理はしないで」
「ありがとう!」
そんな二人のやり取りを見計らったかのように、先程まで姿を消していたコウミが、森の一角から姿を現し、こちらへと歩み寄って来た。
コウミは二人の前に立つと、左手を差し出した。
「移ろいを感じたか?」
一陣の風が三人の間を吹き抜けた。コウミの手から一枚の白い花びらがこぼれ、日々喜の足下に舞い落ちた。
「本来、お前が脅威に感じなければいけないのは、こういう物のはずだ」
コウミは日々喜の事を見つめながらそう言った。日々喜も黙ってコウミの事を見つめ返した。
「一月、ここに来てからそれだけの時間が経とうとしてる。来月には新学期が始まるし、家族だって心配しているに違いないんだ。日々喜、家に帰るぞ」
コウミは日々喜の心情に訴えた。
その言葉は、先程、新たな季節の先駆けに触れたのと同じ様に、日々喜の胸に突き刺さった。
オレガノの言う通り、本当の気持ちを伝えなければいけない。それは、ここに留まりたいと望んだ自分自身と向き合うと言う事だろう。
日々喜は意を決して、自分の気持ちを言葉にし始めた。
「父さんと母さんが死んだ時も、叔父さんの家を出る時も、僕は仕方のない事だと思って言う事を聞いて来た。お婆ちゃまが亡くなって、きっとこのままなら、僕はまた叔父さんの家に戻る事になると思う」
「お前の家族だ。お前の事を快く受け入れてくれるだろ」
「僕もそう思う。だけど、僕は帰りたくない。帰る場所は、もう自分で決める」
「自分で決める……?」
日々喜は頷いて答えた。
「コウミ。僕はここに居たい。灯馬伯父様の様な覚悟は、まだ持っていないけど、それでもここで、皆の様に生きてみたいんだ」
「魔導士になりたいのか?」
日々喜は首を振って答えた。
「オレガノやキリアン、リグラの様に。自分の手で将来を切り開ける人間になりたい」
「自分の手で……。お前に取って、それが、そこまで重要なのか?」
日々喜は力強く頷く。
「皆から学ぶ事が沢山ある。僕は、魔導士の事が嫌いじゃないんだ」
「………………そうか、俺とは違う事を考えていたのか……」
コウミはそう一言漏らし、考え込む様に黙った。
日々喜の教育に腐心する灯馬と環世の姿を見て来た。心を閉ざした少年が、ここまで成長したのはそのたまものだったろう。しかし、既に環世はどこにも居ない。灯馬もまた、常に日々喜のそばに居られるわけではない。
その時が訪れている。コウミはようやく、日々喜の中に起きている変化を見出した気がした。
「しかし、よりにもよってこの世界の、それも魔導士か。憎たらしい物だぜ」
「コウミ?」
「いや、何でもない。こっちの事だ」
コウミは気を取り直し、日々喜と向き合う。
「良く聞け、日々喜」
「はい」
「古来より、どれだけ正しい考えを持とうと、どれだけ深い感情を秘めようと、それを正確に他人に伝える事は不可能だった。何故なら、そもそも、言葉というものが誤解を招く道具であったから」
コウミは話をし始めた。
「誤解と疑い。人々の目が猜疑に包まれた時、一人の悪魔が地中から姿を現した。悪魔は地上に瘴気をばら撒き、この世を暗闇で満たし、その目を塞いだ。その大本は、デーモンに備わりしダークマター。そしてその後、天上から五人の賢者が姿を現し、この世界に一人の英雄を招致した。彼らは人々に魔導を伝えた。営みを守る為の道具として。その大本は、人に備わりしエーテルだ」
「魔導神話?」
オレガノが呟く。
「英雄と賢者達は、魔導の伝導と共に悪魔の存在を求め、旅を続ける。そして東と西の中間、デーモンの森の中でそれらは出会い、互いに姿を消した。以来、数百年。この世界は暗闇に目を塞ぐ者と、輝きに目を奪われる者の二つに分かれた」
突然の神話の暗唱に、日々喜は茫然とした。
「何ですか?」
「教訓だ。俺の経験では、この話が最もこの世界の内情を表している。陰りも、輝きも、そもそもは人との関りから生まれた。この世界に留まる以上、お前はそうしたものに囚われてはいけない」
「この世界に留まる……。ここに居ても良いんですか!?」
「良かったじゃない。日々喜!」
日々喜がイバラ領に留まる事が決まり、オレガノも嬉しそうだ。
「最後まで聞け! 俺の話しは終わってない」
喜び合う二人に対して、コウミは怒鳴りつける。
「いいか。これまでに培った常識と、直感を頼りにし続けろ。そうであれば、お前は如何なるものにさえ、惑わされる事は無い」
「分かりました。やって見ます!」
自分の希望が叶い、興奮が冷めないのか、日々喜は浮かれた様にそう答えた。
「ふん。本当に分かっているのやら……、まあ何れにせよ、俺はこの森に居る。何か問題が起きれば、直ぐにでもお前を連れてここを出て行くからな」
「わかりました!」
日々喜は意気揚々と答えた。コウミはその様子に一笑する。
「ありがとうございます。コウミ」
「俺に礼などいらない。お前が決めた事だ日々喜。そうである以上、お前自身が責任を持つ事だ。どこまで突き通せるのか、俺は見定めさせてもらうぞ」
そう言うと、コウミは二人に背を向けてその場を立ち去って行った。
「コウミ師匠さん。怖い人だと思ったけど、意外と優しいのね」
「コウミは不器用で、恥ずかしがり屋なだけさ。話して見ないと分からない所があるんだ」
「後、少し気取り屋なのが玉にきずね。突然、神話の話なんてするから驚いちゃった」
オレガノはクスクス笑いながら一言付け加えた。
「それともう一つ!」
コウミの声がその場に響き、笑い合う二人を驚かせる。見れば小走りでコウミが戻って来る。
「言い忘れた事があった」
「何ですか?」
「ああ……、ほらあれだよ。ここに来る前、お前が言っていた事だ」
コウミはソワソワしながら、要領の得ない話をし始める。
「僕が言っていた事?」
「そうだよ。お前、ちゃんとお礼が言いたいとか、言っていただろ」
日々喜は思い出す。
ヴァーサ領のクレレ邸を出る際、良くしてくれたエリオットとマーガレットに、ちゃんとお礼を言いたいとコウミに話した事を。
「思い出したか、日々喜」
「はい」
「良し。四月になったら、エリオットに会いに行け。暫くここに留まる事になったと、お前の口から伝えてやるんだ」
「コウミは一緒に行かないんですか?」
「行かない。俺は森に居る」
「エリオットさんも、マーガレットさんも、コウミが来れば喜ぶと思うのに」
「かもな……。だが、俺は奴らと違う世界に生きている。本来、関わり合うべきじゃないのさ」
コウミはそう言うと、再び日々喜達に背を向けて、その場を立ち去り始めた。
「それじゃ、元気にしていると伝えておきます」
「お前の好きにすればいい」
振り向く事も無く、コウミは日々喜の言葉に応え、森の中へと向かって行った。
コウミの後姿を見つめながら、日々喜は先程自分が口にした言葉を思い返した。
不安を胸にしながらも、確かな言葉として出て来た自分の本心。それが、自分自身を鼓舞こぶしてくれていた。
将来を切り開ける人間になる。
そう望んだ以上、今日この日が、自分にとっての旅立ちの日となる。
何時か、長い時間が掛かろうと、自分から家に帰ろうと思うその日まで、そして、自分から家路につく日まで、長い長い旅が始まるのだ。
「一緒に行けばいいのに。何を気にしているのか知らないけど、気取り過ぎだわ」
コウミが居なくあった後に、オレガノが呆れた様にそう言った。
第一章 終
そこは、つい先程まで焚火が付いていたかのように、燃えた薪と煙の臭いが充満していた。
オレガノは自分の鼻をこすりながら、ここが何処であるかを確認しようと辺りを見渡し始める。
すると、自分が寝床に投げ出していた足の隣に、頭を腕に埋める様に突っ伏して眠っている日々喜の姿が目に入った。
「日々喜!」
オレガノは、日々喜の名前を叫びながら、その状態を確認しようと肩を揺すった。
「オレガノ? おはよう」
眠たげに頭をもたげ、日々喜はいつも通りの朝を迎えたかのように、オレガノに挨拶をした。
「おはよう、じゃないわ。怪我は? もう平気なの?」
「うん、怪我は治してもらったよ」
「治してもらったですって? 一体誰に?」
「あの白蛇、ムラサメと言うんだけど、彼が僕らの怪我を治してくれたんだ。ここで、コウミと一緒に暮らしてるみたいなんだ」
「コウミ師匠……。あ!?」
コウミの名前を聞き、オレガノの脳裏に昨晩の出来事が甦り始める。
ボロボロになった日々喜を抱き留めていた事。コウミがその場に現れた事。そして、自分が白蛇に食べられた事を。
途端に、オレガノの顔色が青くなり始めた。
「私、白蛇に食べられたんだ」
「それが、ムラサメの治療の仕方らしいよ」
「馬鹿な事言わないで。死んでしまったから、きっと、夢を見ているんだわ」
「死んでから、夢を見るの?」
「そうよ。そうでなかったら、ここは天国に違いないわ」
オレガノは、日々喜の言う事を信じる事が出来ず、自分の人生を悲観し始めた。
「飲み込まれている時に何か見なかった?」
日々喜は構わず質問した。
「憶えてないわ。一瞬で死んでしまったもの」
「そう……。オレガノ、落ち着いて聞いて。とても大切な事なんだ」
日々喜はオレガノの隣に座り、彼女の手を取った。それは、自分の義理の兄弟達を落ち着かせる時に、何時も取る手段だった。
「ムラサメ、白蛇のお腹の中で、大きな繭の様なベッドを見た。その中に二人の女の子が居て、彼女らは遊びながらアイディ・クインの名前を口にしていたんだ」
「日々喜……、それって」
「コウミは、その二人が後継者達で間違いないって、ムラサメはこれまで、お腹の中で彼女達を守って来ていたと話していたよ」
「本当に? 夢じゃないのね?」
「夢じゃない。本当の事だよ」
オレガノは日々喜を抱きしめた。
「良かった……。イバラは見捨てられてなかったんだわ。アイディはちゃんと後継者を私達に残してくれた。……本当に良かった」
「良かったねオレガノ。本当に良かった……」
日々喜は、オレガノの髪を優しく撫なでながら、そう応えた。
「そうと分かったら、早くフォーリアムの館へ帰りましょう。リグラと、後、キリアンの事も心配だわ」
オレガノはそう言って立ち上がった。
「キリアンとリグラは無事だよ。コウミがそう言ってた」
日々喜はそう応えながら、出口に向かって歩き出すオレガノの後に続いて行く。
洞窟の出入り口の辺りには、コウミが腰を落とし外の様子を窺い続けていた。
一晩中そうして警戒を行っていたのだろう。しかし、朝を迎えた今、そこから見通しの利く外の様子からは、警戒する必要を全く感じさせる事は無かった。
二人の姿を見咎め、コウミは何も言わず立ち上がる。
「あの! 昨日はありがとうございました。危ない所を助けて頂いて。それと、日々喜から聞きました。コウミ師匠さんは白蛇と一緒に居て、後継者の事を守っていたんですね?」
オレガノが、突然大きな声で話し掛けた。
コウミは小首を傾げる。
「ありがとうございました! 本当にありがとうございます!」
オレガノは、頭を下げ、お礼の言葉を述べた。
「朝からやかましいな。日々喜、そいつを黙らせろ」
腰を曲げたままだったオレガノを日々喜が止めた。
「行くぞ」
そう一言言うと、コウミは洞窟から出て行った。
「行く? どこに行くのかしら?」
オレガノは不思議そうにコウミの背中を見送った。
「ごめん、オレガノ。僕達は、もう行かなくちゃいけない」
「行かなくちゃって……。どうして!?」
日々喜がそう言うと、察した様にオレガノは聞き返した。
「後継者は見つかったわ。それを聞けばお嬢様も、お嬢様だけじゃない、イバラの皆が安心する。危険な事は何もないもの。日々喜がここから出て行く理由だって、何も無いじゃない!」
日々喜は言い辛そうに話し始めた。
「二人で決めた事なんだ。コウミは僕の事を守ってくれる。だから、僕はコウミに従って行かなくちゃいけない」
「間違ってる!」
オレガノが声を上げた。日々喜は驚いて、彼女の顔を見た。
「ここに居たいから、貴方はここまで来たじゃない! お嬢様の為ではなく、自分の為に後継者を探しに来た! そして、見つけ出したじゃない! ちゃんと、自分の目的を達成したの! それなのに今更、人の言い分に素直に従うなんて、貴方は間違っているわ!」
「オレガノ」
「本当の気持ちを伝えて、日々喜。正直に伝えれば、貴方のお師匠さんだって分かってくれるはずだわ」
「僕の、本当の気持ち……」
「今思っている事よ。どんな事でも、私は貴方の意見に賛成する。私達は、貴方と一緒にここまで来た。何時だって、貴方の味方だって分かるでしょ?」
オレガノは、日々喜の事を見つめながらそう言った。その間、日々喜もオレガノから目を逸らす事が出来なかった。
「何してる? 早く来い」
洞窟の外からコウミが声を掛けた。
洞窟の外へと出ると、眩しい程の朝日が、真向かいから二人の事を照らした。
その場所は少しばかり開けた所ではあったが、周囲は木々に囲まれており、自分達が依然森の中に居る事がすぐに分かった。
洞窟を出たすぐ目の前に、コウミは日々喜達が出て来るのを待っていた。日々喜は意を決した様に口を開いた。
「コウミ、僕は……」
「そこのお前」
その言葉を遮り、コウミがオレガノに尋ねた。
「私ですか?」
「名は?」
「オレガノ・ザイードです」
「見せたい物がある。お前も来いザイード」
コウミはそう言うと、森の中へと進んで行ってしまった。
日々喜達もその後を続いて行く。
鬱蒼とする森の中では、朝日はこもれ日となって木々の足下を照らしている。そこはシダ系の植物に覆いつくされ、地面のほとんどを隠していた。人はおろか動物さえも未だ足を踏み入れた事が無いのではないかと思える程だった。
イバラの森の最深部。
ここがルーラーの住処にほど近い場所であるとオレガノは察し、僅かに畏怖の念を抱き始めた。
やがて、歩き辛い森の中から、今度は岩を敷き詰めて作ったような石畳の小道に出た。
石畳の岩肌はびっしりと緑色の苔こけが生し、作られてから相当の時間が経過した事を思わせた。しかし、そうであっても岩と岩の間は、草一本生える事が出来ない程に、ピッタリと狭く敷き詰められており、僅かな起伏も許さない程に水平な道を成していた。
まるで、山道か古い神社やお寺に敷かれた道筋の様だ。
日々喜は石畳の上を歩きながらそう考える。
やがて、二人はルーラーの住処へと到達した。
そこは、森の中心でありながら、人の手が入ったかのように整地がなされ、脇を流れる小川の水を溜めた小さな池や、野原に咲く草花が植え付けられたように並べられている。
日々喜はその光景に見覚えがあった。
フェンネルに誘われた秘密の庭にそっくりだったのだ。
その場所の中央には、フェンネルの秘密の庭と同様に一本の木が生えていた。
周囲に生い茂る木々に比べて幹周りが太く、地上から一、二メートルの高さの辺りで、横に広がるように幾つもの太い枝へと別れて行っている。その様は、森の中にできた広い空間を余す事無く使う為に、上に伸びる事を止め、あえて横へ横へと不自然な程に腕を広げているかのように映った。落葉樹らしく一枚の葉っぱも付けていないその枝先に、白い花弁を広げた花が二、三輪顔を見せ始めていた。
「サクラが咲いてる」
遠目から、その花の開花を確認したオレガノが、その木の名前を呼んだ。
「……サクラ?」
日々喜の問いにオレガノは頷くと、思い出したように説明を付け足し始めた。
「日々喜は初めて見るのね。この花は神話の時代、五人の賢者と英雄が国中に広めた花よ。彼らは自分の旅した場所に魔導を伝え、サクラの木を植えて行ったんですって。だから、魔導連合王国では新年度を迎えると、サクラの白い花が国中に咲き誇るのよ」
「サクラの木を、国中に……」
日々喜はそう呟きながらその場所に生えているサクラの木をながめた。
自分の知らない種類の桜かも知れない。そうは考えるものの、その花は自分の母国で良く見た桜の花、ソメイヨシノに似た物だった。その為か、何か感情に訴えるものがあった。
そして、毎年この時期に咲き誇るサクラの姿を見て来たオレガノには、これから訪れる新たな季節の先駆けとして、将来に向かって歩こうとする彼女自身の背中を力強く押された気持ちがした。
もうじき、新年度を迎えるのだ。
「日々喜、ごめんね」
「何の事?」
「昨晩の事。貴方の事を守ると言ったのに、逆に私が貴方に守られていたわ」
オレガノは、意を決した様に日々喜の方へと向き直った。
「私、決めたわ。強くなるの。貴方だけじゃない、守れるもの全部。守りたいものは全て、ちゃんと守れる人間になる。そう言う魔導士になるわ」
「全部守るの?」
オレガノは勢い良く頷き返す。それを見て、日々喜は少し考えてから応える。
「それはきっと難しいよ、オレガノ。普通はできない事だと思う」
「それでもやるわ。私、必ずそうなる! そう決めたの!」
「分かった。僕は応援してる。でも、無理はしないで」
「ありがとう!」
そんな二人のやり取りを見計らったかのように、先程まで姿を消していたコウミが、森の一角から姿を現し、こちらへと歩み寄って来た。
コウミは二人の前に立つと、左手を差し出した。
「移ろいを感じたか?」
一陣の風が三人の間を吹き抜けた。コウミの手から一枚の白い花びらがこぼれ、日々喜の足下に舞い落ちた。
「本来、お前が脅威に感じなければいけないのは、こういう物のはずだ」
コウミは日々喜の事を見つめながらそう言った。日々喜も黙ってコウミの事を見つめ返した。
「一月、ここに来てからそれだけの時間が経とうとしてる。来月には新学期が始まるし、家族だって心配しているに違いないんだ。日々喜、家に帰るぞ」
コウミは日々喜の心情に訴えた。
その言葉は、先程、新たな季節の先駆けに触れたのと同じ様に、日々喜の胸に突き刺さった。
オレガノの言う通り、本当の気持ちを伝えなければいけない。それは、ここに留まりたいと望んだ自分自身と向き合うと言う事だろう。
日々喜は意を決して、自分の気持ちを言葉にし始めた。
「父さんと母さんが死んだ時も、叔父さんの家を出る時も、僕は仕方のない事だと思って言う事を聞いて来た。お婆ちゃまが亡くなって、きっとこのままなら、僕はまた叔父さんの家に戻る事になると思う」
「お前の家族だ。お前の事を快く受け入れてくれるだろ」
「僕もそう思う。だけど、僕は帰りたくない。帰る場所は、もう自分で決める」
「自分で決める……?」
日々喜は頷いて答えた。
「コウミ。僕はここに居たい。灯馬伯父様の様な覚悟は、まだ持っていないけど、それでもここで、皆の様に生きてみたいんだ」
「魔導士になりたいのか?」
日々喜は首を振って答えた。
「オレガノやキリアン、リグラの様に。自分の手で将来を切り開ける人間になりたい」
「自分の手で……。お前に取って、それが、そこまで重要なのか?」
日々喜は力強く頷く。
「皆から学ぶ事が沢山ある。僕は、魔導士の事が嫌いじゃないんだ」
「………………そうか、俺とは違う事を考えていたのか……」
コウミはそう一言漏らし、考え込む様に黙った。
日々喜の教育に腐心する灯馬と環世の姿を見て来た。心を閉ざした少年が、ここまで成長したのはそのたまものだったろう。しかし、既に環世はどこにも居ない。灯馬もまた、常に日々喜のそばに居られるわけではない。
その時が訪れている。コウミはようやく、日々喜の中に起きている変化を見出した気がした。
「しかし、よりにもよってこの世界の、それも魔導士か。憎たらしい物だぜ」
「コウミ?」
「いや、何でもない。こっちの事だ」
コウミは気を取り直し、日々喜と向き合う。
「良く聞け、日々喜」
「はい」
「古来より、どれだけ正しい考えを持とうと、どれだけ深い感情を秘めようと、それを正確に他人に伝える事は不可能だった。何故なら、そもそも、言葉というものが誤解を招く道具であったから」
コウミは話をし始めた。
「誤解と疑い。人々の目が猜疑に包まれた時、一人の悪魔が地中から姿を現した。悪魔は地上に瘴気をばら撒き、この世を暗闇で満たし、その目を塞いだ。その大本は、デーモンに備わりしダークマター。そしてその後、天上から五人の賢者が姿を現し、この世界に一人の英雄を招致した。彼らは人々に魔導を伝えた。営みを守る為の道具として。その大本は、人に備わりしエーテルだ」
「魔導神話?」
オレガノが呟く。
「英雄と賢者達は、魔導の伝導と共に悪魔の存在を求め、旅を続ける。そして東と西の中間、デーモンの森の中でそれらは出会い、互いに姿を消した。以来、数百年。この世界は暗闇に目を塞ぐ者と、輝きに目を奪われる者の二つに分かれた」
突然の神話の暗唱に、日々喜は茫然とした。
「何ですか?」
「教訓だ。俺の経験では、この話が最もこの世界の内情を表している。陰りも、輝きも、そもそもは人との関りから生まれた。この世界に留まる以上、お前はそうしたものに囚われてはいけない」
「この世界に留まる……。ここに居ても良いんですか!?」
「良かったじゃない。日々喜!」
日々喜がイバラ領に留まる事が決まり、オレガノも嬉しそうだ。
「最後まで聞け! 俺の話しは終わってない」
喜び合う二人に対して、コウミは怒鳴りつける。
「いいか。これまでに培った常識と、直感を頼りにし続けろ。そうであれば、お前は如何なるものにさえ、惑わされる事は無い」
「分かりました。やって見ます!」
自分の希望が叶い、興奮が冷めないのか、日々喜は浮かれた様にそう答えた。
「ふん。本当に分かっているのやら……、まあ何れにせよ、俺はこの森に居る。何か問題が起きれば、直ぐにでもお前を連れてここを出て行くからな」
「わかりました!」
日々喜は意気揚々と答えた。コウミはその様子に一笑する。
「ありがとうございます。コウミ」
「俺に礼などいらない。お前が決めた事だ日々喜。そうである以上、お前自身が責任を持つ事だ。どこまで突き通せるのか、俺は見定めさせてもらうぞ」
そう言うと、コウミは二人に背を向けてその場を立ち去って行った。
「コウミ師匠さん。怖い人だと思ったけど、意外と優しいのね」
「コウミは不器用で、恥ずかしがり屋なだけさ。話して見ないと分からない所があるんだ」
「後、少し気取り屋なのが玉にきずね。突然、神話の話なんてするから驚いちゃった」
オレガノはクスクス笑いながら一言付け加えた。
「それともう一つ!」
コウミの声がその場に響き、笑い合う二人を驚かせる。見れば小走りでコウミが戻って来る。
「言い忘れた事があった」
「何ですか?」
「ああ……、ほらあれだよ。ここに来る前、お前が言っていた事だ」
コウミはソワソワしながら、要領の得ない話をし始める。
「僕が言っていた事?」
「そうだよ。お前、ちゃんとお礼が言いたいとか、言っていただろ」
日々喜は思い出す。
ヴァーサ領のクレレ邸を出る際、良くしてくれたエリオットとマーガレットに、ちゃんとお礼を言いたいとコウミに話した事を。
「思い出したか、日々喜」
「はい」
「良し。四月になったら、エリオットに会いに行け。暫くここに留まる事になったと、お前の口から伝えてやるんだ」
「コウミは一緒に行かないんですか?」
「行かない。俺は森に居る」
「エリオットさんも、マーガレットさんも、コウミが来れば喜ぶと思うのに」
「かもな……。だが、俺は奴らと違う世界に生きている。本来、関わり合うべきじゃないのさ」
コウミはそう言うと、再び日々喜達に背を向けて、その場を立ち去り始めた。
「それじゃ、元気にしていると伝えておきます」
「お前の好きにすればいい」
振り向く事も無く、コウミは日々喜の言葉に応え、森の中へと向かって行った。
コウミの後姿を見つめながら、日々喜は先程自分が口にした言葉を思い返した。
不安を胸にしながらも、確かな言葉として出て来た自分の本心。それが、自分自身を鼓舞こぶしてくれていた。
将来を切り開ける人間になる。
そう望んだ以上、今日この日が、自分にとっての旅立ちの日となる。
何時か、長い時間が掛かろうと、自分から家に帰ろうと思うその日まで、そして、自分から家路につく日まで、長い長い旅が始まるのだ。
「一緒に行けばいいのに。何を気にしているのか知らないけど、気取り過ぎだわ」
コウミが居なくあった後に、オレガノが呆れた様にそう言った。
第一章 終
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