異世界で勇者になってたクラスメイトの愛が重すぎる

北山カナ

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お屋敷

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 馬車に乗って到着した小林くんの家は、家というよりもお屋敷だった。
 空き部屋がたくさんあるとか、使用人がいるとか言っていたからある程度は覚悟していたけど、想像をはるかに超えていた。
 最初にこの世界で見たのが王宮だったから若干麻痺しているが、豪奢で細やかなつくりの大きな建物に、美しい庭園。元の世界にこのままで残っていたら観光地になるレベルの建造物ではないだろうか。

「すごいね…」
「陛下に褒美としてもらったんだ。僕1人だからこんなに広くても持て余してるだけなんだよね」

 いつもと変わらない笑顔のはずなのに、なんとなく小林くんの表情が寂しそうに見えた。使用人がいるとはいえ、小林くんはこの広い屋敷でずっと1人だったんだ。そりゃ寂しくもなるよなぁ。

玄関前には白髪交じりの短髪に、黒のタキシードをピシッと着こなしている上品そうな男性が立っていた。後ろには数人の女性が控えている。メイド服らしき制服を着ているから、侍女だろうか。

「お帰りなさいませ、ご帰館お待ちしておりました。当主様…そして、お客様も」

男の人は小林くんに視線を送り、頭を下げた。それに伴い、後ろに控えていた侍女たちも恭しく頭を下げる。

「彼女は橘美優。いろいろあって…今日からこの屋敷に住むことになった。僕の大切な客人だ、丁重に接してくれ。部屋は後から用意する。今日はとりあえず客間を整えてくれ」
「かしこまりました」

 使用人に指示を出しながら小林くんが外套を脱ぐと、すぐさま侍女が受け取り、軽く汚れを払う。そのまま屋敷の中に足を踏み入れるのをボケっと眺めていると、侍女の1人が屋敷に入るように促した。

「彼女に屋敷を案内する。夕食は王宮でとってきたから必要ないとコックに伝えてくれ」
「かしこまりました」




「ここがダイニングだよ」

 ダイニングはつややかな大理石の床、天井はシャンデリアが吊るされており、壁には金色の額縁に入った大きな絵画がいくつも飾られていた。
 私ほんとにここで暮らすの?ダイニング1つとってもあまりにも場違いだ。

「自分の家だと思って好きにしてくれていいから」
「…うん」

 いや、無理ですけど。ダイニングだけでうちの1階くらいの広さあるから。きらびやかで高級そうな絵画だとかつぼだとか屋敷の至る所に飾られてて落ち着ける気がしない。

「絵画とかつぼとか多いけど、アンティーク好きなの?」
「いや…お礼とかなんかでもらうことが多くて」

 お礼に絵画とつぼを…?知らない世界すぎる。

「インテリアはセドリックー玄関前まで迎えに来てくれた男の人に一任してるんだけど、変えたいところとかあったら橘さんの好きにしていいからね」
「大丈夫です」

 親切にしてくれるのはありがたいけど、ここまで丁重に扱われると逆に気まずいというか…
 やっぱり無意識とはいえ、私をここに召喚しちゃったこと気にしてるんだろうなぁ。

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