もしかしてだけど勇者の妄想指導係になりました!?

丸晴いむ

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「貴方が神の使いですか」
「そうです。エナとお呼びくださいな…勇者さま」

 神の使いと肯定する事も"勇者さま"と声に出すことも、正直めちゃくちゃ恥ずかしい。
ゲームも漫画も卒業してはいなかったけど、頭の中での妄想を現実の行動に起こすだなんて…私もう30手前よ?
いやほんの数年前までコスプレもしてたけどさ、ちょっとその話は置いといていただきたいわけよ。

「エナ様」

 様付け!苗字なら店の受付で呼ばれるけど、下の名前をこんなシチュエーションで呼ばれちゃうと思わず腰が砕けそうになる。
こんな場面っていうと、壁の装飾が世界遺産レベルで美しい教会で、ステンドグラスから差し込む光が床に鮮やかな色を落とし、顔のいい男が私の手を取りながらの事を言う。
 あぁやめてほしい。無駄にどきどきしてしまう。

「エナ、とお呼びくださいませ。勇者さまのお名前は?」

 神様からの無茶ぶり&丸投げで録に説明もされずにここに送り込まれた私は、勇者を導けとしか聞かされていない。
今からそなたを勇者の元へ送る、とだけ言われてこの場に居るのだ。そしてこの場には彼しかいないので、彼が勇者なのだろう。知らないけどさ。

「俺の?」
「え、はい…別に偽名でも何でも大丈夫ですけど」

 私からの普通な質問に、何故か戸惑った様子をみせる。あれか、小さい頃から勇者の力に目覚めた孤児だか奴隷だとかで名前もなく"勇者"と呼ばれているとか?

「ルドヴィークとお呼びください」

 可哀想なパターンじゃなくてよかった。まだ二十歳ぐらいなのにしっかりした子だわ流石勇者。うちの新人とは佇まいが大違いだなぁ。

 っと、基本楽観的な私は思ったのでした。



***


 事の始まりは3分程前。
 気が付くと何もない空間に居て、体中に響くような声を聞いてからの記憶しかない。

「恵那」

「え!?あ、はい!」

「お前に教育係を頼みたい」
「え、新人教育は加藤先輩が…」
「それはもう終わった人生だ、ほら次いくぞ次」
「ええっ!?どういう…え!?]

 何だコレ、変な夢。っていうか死んだのに仕事させられる私可哀想すぎない?どういうこと。

「丁度いいタイミングで死んだからそのまま使う事にした。次の生では特別いい事が起こるから一時私の手足として働いておくれ」
「まぁ別にいいですけど…」

 特別にいい事。とても気になる…。石油王の子に生まれるとかIQ200の超天才とか黄金比率美人とか?超能力もありかも。

「それでは今から勇者の元へ行き、導いてやってくれる?」
「はい。…それってどういう」

 どういう風に、とかどうやって、と聞きたかった私の言葉はどこにも届かず、気付いたら最初の場面だったってわけ。
 勇者の言葉から読み取るに、きっと私を派遣したのは神様だったのでしょう。

 ルドヴィークは魔の勇者と呼ばれる魔法を使う勇者らしい。魔法使いなのか勇者なのかどっちなのって感じだけど、この世界には勇者が4人選抜されていて最終的にPTを組んで世界を救うらしい。
魔法使いの魔の勇者、剣士の剣の勇者、武闘家の技の勇者、癒術師の癒しの勇者。前衛後衛回復でまぁまとまりのあるPTかな。
なんて情報は挨拶代わりに勇者が高らかに歌った伝承の歌詞から読み取った。

 神聖な教会で出会いを果たした後は雪崩れ込んできた白服の皆さんの手により風呂にぶち込まれ磨き上げられて、白い服を着せられて馬車にぶち込まれている。
そういえば脱がされた服がスーツだったけど、私スーツの時に死んだのかな?交通事故?過労死するほどは働いてないし。

 ところで私はどこに連れていかれているのでしょうか。

 
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