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「なら早速攻撃魔法の授業を始めましょうか」
「あれ?でも先生…」
それも2年で習うやつですよね?
「いいんですか?」
「んー、やっぱり一人だからか進みが早いのよね。他に教える事もないし、次の段階に進んでもいいと思うの。基礎魔法をこれ以上繰り返してても意味ないしね」
魔法陣は、既に覚えてしまった。最近の午後授業はもっぱら読書だ。
精巧な絵が描かれた図鑑や地図や、挿絵が素敵な物語をみんなに読み聞かせてる。
わたしと妖精たちとのイメージを近づける事が、相互理解が魔法にはとっても大事みたい。
「魔法は使えば使う程強くなるって聞きましたけど」
「基礎魔法陣だけだと、妖精の力を引き出しているだけにすぎないの。威力の調整や方向指定の応用も聞かないでしょう。自分の意思通りに操れてこその魔法よ」
妖精のポテンシャルに左右されるが、これはこれで魔力をほぼ使わないので使う場面は多いらしい。
得手不得手や力量は妖精ごとに違うから、魔法使いは最低でも2人の妖精と契約を交わすそうだ。
「シェリーの場合力のある妖精と組んでて基礎魔法が派手だから、最初は物足りないかもね」
実技室へと向かう間、4人はわたしの周りを得意げにくるくる回る。
「みんなの力を発揮できるように、頑張ります!…力のない妖精もいるんですか?」
「そういう意味じゃなくて、シェリーの子達が特別ってこと」
まだ魔術科に普通に生徒がいた頃は、力が弱い産まれたばかりの妖精が協力してくれていたらしい。
というのも若い妖精は好奇心が旺盛で、古い妖精は自然をはぐくむのに夢中であまり関心がなかったからだそうだ。
契約した若い妖精から話だけは聞いていて、それぐらいの距離感でよかったんだって。
若い妖精は知らない事ばかりで、人が名前を付けた現象や行動を理解できていない。
知識を教えて、人と認識を近づける事が大変だったんだって。
先生の時はこの勉強で1年はかかったみたい。
「みんなもう大人なの?」
リナーもリーグもルーフもダナーも、しっかりとした意思を持っているように感じる。
「10年以上魔術科はいないから人と交流がなかったでしょう、古い妖精が様子見に来たってとこね。契約しなければ妖精は大体30年程で世界に還るから、当時を知っていて声をかけてきたとしたら十分古株よ」
考えたことなかったけど、みんなわたしと年が近いんだ。嬉しいなー!
ハイタッチしようと両手を掲げると、わたしの手にタッチしに来てくれた。うちの子可愛い。
「はいはい、授業を続けるわよ」
実技室に着くなり、先生が空中に魔法陣を描く。
「最初は風で練習ね」
風属性の、基本魔法陣。いつもはこれを丸で囲んで終わりだけど、他に妖精文字を書き加えて行く。
「属性の基礎の周りに4つ指示の為の妖精語を書くの。なんて書いたか分かるかしら?」
「"鋭い"、"小さい"、えーっと"狭い"。"速く"」
「正解よ。これで陣を閉じると…エアカッター!」
ヒュっと風を切る音がして、先生が掲げた紙がスパッと切れる。
「これが初歩攻撃魔法のエアカッター。失敗しても被害が少ないからまずはこれからね」
「やってみていいですか?」
「ええ、ゆっくりでいいから間違えないようにね」
先生の魔法陣を真似て、慎重に描いて行く。
「基礎魔法で、どの子が風と相性がいいか分かってるわよね。攻撃魔法も防御魔法も、同じ陣で妖精を変えると実際に使う時に混乱しちゃうわ。この子専用って決めていきましょう」
風が得意なリナーにお願いしよう。
先生は5秒ぐらいで描き終わってたけど、わたしは描き切るまでに20秒はかかった。
最終的に綺麗に円に閉じれるようにって考えると、バランスが難しいよ。
「いくよリナー。…エアカッター!」
杖を持っていない方の手で、紙を掲げ持つ。
ヒュンと風を切る音がなって、紙には指で突いたような穴が開いた。
「…失敗ですか?」
「そんなにしょんぼりしないでよ、これが妖精との認識の違いね。んー、齟齬は"狭い"、かしら。理解が速い分違いを改めるのが難しいのよね成長した妖精は。一回別の子で試してみて」
「次はリーグお願いね」
もう一度挑戦すると、先生と同じようにスパッと紙が切れた。
「ここは学校だから同じような効果が発揮できるようにしてもらうけど、魔法に正解はないの。シェリーと妖精が協力して、この魔法陣ではこんな魔法が出るって分かり合うのが重要なのよ」
遠い目をして、先生がため息をつく。
「先生の時にも1人大人の妖精と組んだ子が居て、その子だけ認識が合わないものだから特別にスペルを考えたり呪文を見直したり…。全然意思疎通がとれない子が居て授業が進まなかったり、多分魔法って学校でみんなで習うには不向きなんでしょうねぇ」
「…初めて一人でもよかったかなーって思いました」
魔法って、難しいね。
「あれ?でも先生…」
それも2年で習うやつですよね?
「いいんですか?」
「んー、やっぱり一人だからか進みが早いのよね。他に教える事もないし、次の段階に進んでもいいと思うの。基礎魔法をこれ以上繰り返してても意味ないしね」
魔法陣は、既に覚えてしまった。最近の午後授業はもっぱら読書だ。
精巧な絵が描かれた図鑑や地図や、挿絵が素敵な物語をみんなに読み聞かせてる。
わたしと妖精たちとのイメージを近づける事が、相互理解が魔法にはとっても大事みたい。
「魔法は使えば使う程強くなるって聞きましたけど」
「基礎魔法陣だけだと、妖精の力を引き出しているだけにすぎないの。威力の調整や方向指定の応用も聞かないでしょう。自分の意思通りに操れてこその魔法よ」
妖精のポテンシャルに左右されるが、これはこれで魔力をほぼ使わないので使う場面は多いらしい。
得手不得手や力量は妖精ごとに違うから、魔法使いは最低でも2人の妖精と契約を交わすそうだ。
「シェリーの場合力のある妖精と組んでて基礎魔法が派手だから、最初は物足りないかもね」
実技室へと向かう間、4人はわたしの周りを得意げにくるくる回る。
「みんなの力を発揮できるように、頑張ります!…力のない妖精もいるんですか?」
「そういう意味じゃなくて、シェリーの子達が特別ってこと」
まだ魔術科に普通に生徒がいた頃は、力が弱い産まれたばかりの妖精が協力してくれていたらしい。
というのも若い妖精は好奇心が旺盛で、古い妖精は自然をはぐくむのに夢中であまり関心がなかったからだそうだ。
契約した若い妖精から話だけは聞いていて、それぐらいの距離感でよかったんだって。
若い妖精は知らない事ばかりで、人が名前を付けた現象や行動を理解できていない。
知識を教えて、人と認識を近づける事が大変だったんだって。
先生の時はこの勉強で1年はかかったみたい。
「みんなもう大人なの?」
リナーもリーグもルーフもダナーも、しっかりとした意思を持っているように感じる。
「10年以上魔術科はいないから人と交流がなかったでしょう、古い妖精が様子見に来たってとこね。契約しなければ妖精は大体30年程で世界に還るから、当時を知っていて声をかけてきたとしたら十分古株よ」
考えたことなかったけど、みんなわたしと年が近いんだ。嬉しいなー!
ハイタッチしようと両手を掲げると、わたしの手にタッチしに来てくれた。うちの子可愛い。
「はいはい、授業を続けるわよ」
実技室に着くなり、先生が空中に魔法陣を描く。
「最初は風で練習ね」
風属性の、基本魔法陣。いつもはこれを丸で囲んで終わりだけど、他に妖精文字を書き加えて行く。
「属性の基礎の周りに4つ指示の為の妖精語を書くの。なんて書いたか分かるかしら?」
「"鋭い"、"小さい"、えーっと"狭い"。"速く"」
「正解よ。これで陣を閉じると…エアカッター!」
ヒュっと風を切る音がして、先生が掲げた紙がスパッと切れる。
「これが初歩攻撃魔法のエアカッター。失敗しても被害が少ないからまずはこれからね」
「やってみていいですか?」
「ええ、ゆっくりでいいから間違えないようにね」
先生の魔法陣を真似て、慎重に描いて行く。
「基礎魔法で、どの子が風と相性がいいか分かってるわよね。攻撃魔法も防御魔法も、同じ陣で妖精を変えると実際に使う時に混乱しちゃうわ。この子専用って決めていきましょう」
風が得意なリナーにお願いしよう。
先生は5秒ぐらいで描き終わってたけど、わたしは描き切るまでに20秒はかかった。
最終的に綺麗に円に閉じれるようにって考えると、バランスが難しいよ。
「いくよリナー。…エアカッター!」
杖を持っていない方の手で、紙を掲げ持つ。
ヒュンと風を切る音がなって、紙には指で突いたような穴が開いた。
「…失敗ですか?」
「そんなにしょんぼりしないでよ、これが妖精との認識の違いね。んー、齟齬は"狭い"、かしら。理解が速い分違いを改めるのが難しいのよね成長した妖精は。一回別の子で試してみて」
「次はリーグお願いね」
もう一度挑戦すると、先生と同じようにスパッと紙が切れた。
「ここは学校だから同じような効果が発揮できるようにしてもらうけど、魔法に正解はないの。シェリーと妖精が協力して、この魔法陣ではこんな魔法が出るって分かり合うのが重要なのよ」
遠い目をして、先生がため息をつく。
「先生の時にも1人大人の妖精と組んだ子が居て、その子だけ認識が合わないものだから特別にスペルを考えたり呪文を見直したり…。全然意思疎通がとれない子が居て授業が進まなかったり、多分魔法って学校でみんなで習うには不向きなんでしょうねぇ」
「…初めて一人でもよかったかなーって思いました」
魔法って、難しいね。
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