上 下
17 / 28

授乳トレーニング

しおりを挟む
お産が終わったら入院準備に入る。

一日目はベッドの上でひたすら回復するのをまつ。

私の場合は歩くとフラフラして、立つことがしばらくの間はしんどかった。

しかし、夜中の陣痛+嘔吐をしていたためお腹は空いていたので朝食はペロリとたいらげた。


助産師さんにもすぐに完食できるのはすごいと驚かれていた。

入院してから半日後には歩行が可能になったが、お産時に小股が裂けてしまったため縫った傷口が痛みだし痛み止を処方してもらう。


痛みで座ることができないので、ドーナツ形のクッションに座り痛みを逃がす。

痛み止を飲んでも痛みは少し和らぐ程度だ。

初産でほとんどの方は裂けるか切られるかになるそうだ。

二日目からは授乳トレーニングが始まる。

妊娠中に乳頭マッサージを出産半年前くらいから開始するように指示があるが、これをやっていないとこの授乳トレーニングの時に痛い目を見る。

私はひたすら毎日かかさずマッサージをしていたおかげで、助産師さんに柔らかくて母乳がでやすいと誉めてもらえた。

そのおかげで、トレーニング二日目にして母乳が開通したのだ。

だがトラブルが発生した。

左側乳頭が気がつけば水ぶくれのように腫れ、二日目には血豆になりヒリヒリと痛みを伴うようになった。

搾乳を開始したがこれがまた陣痛に続く痛みであり、リンパが腫れている中を強く押されるので思わず痛いっ!と叫んでしまうほどだ。

対処法としては赤ちゃんに深く吸ってもらうこと、乳頭に塗れる保護薬を授乳後に毎回塗ること。

これからまた、長い痛みとの戦いになりそうだ。

授乳二日目に気が抜けたのか持病の偏頭痛が発症した。

閃輝暗点と呼ばれる視界が眩しくなり、その後に嘔吐、下痢、激しい頭痛が始まり一日動けなくなる病気だ。

幸いにも閃輝暗点が始まる前にベッドで横になっていたため、頭痛が発症せずにすんだ。

その際に一回授乳を逃してしまったために、寝た状態で搾乳をされた。

いままでで一番ひどい痛みをともない、そのせいで後々アザになってしまった。

妊婦生活から出産まで、さまざまなトラブルを抱えながら辛い日々を乗り越えてきた。

それなのに、まだ痛みとの戦いで私は心が折れかけていた。

リンパが腫れ、胸はパンパンに腫れ上り、乳頭は血豆で胸は重度の打撲をしたようなアザになりいつこの地獄から解放されるのだろうか。

心が折れかけていた時に、とても優しい助産師さんが担当をしてくれた。

アザをみて驚いていた。

誰にやられたのか、そこまで頑張らなくても大丈夫なのに辛かったねと。

私は溜まっていたものが溢れだし、ボロボロと涙を流した。

頑張らなくていいんだよと。

その一言で救われたのだ。

担当をしてくれた助産師さんの指導が上手だったため、次の日には一皮むけたように授乳が上手くできた。

初産のペースではないくらいに、開通が早くこのペースでいけば後2日くらいで楽になれるとのことだ。

我が子が負傷している胸を泣きながら吸わせられていたのは、ママが痛そうだから辞めてあげてといっているようだった。

我が子も必死に吸い付いてくれて、張りをなくそうと頑張ってくれている。

出産からはじめ、親子のリレーはまだまだ続くのであった。


マッサージ開始してから4日目くらいから張りが落ち着いてくる。

マッサージされると激痛だったが、痛みが我慢できるほどの痛みへとかわる。

しかし、相変わらず2、3時間もすればパンパンに胸が張るので搾乳はかかせない。


5日目からは急激に張りの変化を感じる。

朝一の授乳時に根本からマッサージを行うが、痛みがそれほど強くなくなる。

授乳がおわればパンパンだった胸もフニフニと柔らかくなる。

退院時には柔らかくなり張りを感じにくくなるというのは、どうやら本当らしい。

退院まであと1日。

希望の光が見えてきたようだ。
しおりを挟む

処理中です...