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1章 追放

第8話 ミシェル視点

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(なんでなの?)

 なんで、私がティターニア様を探さなくちゃいけないの? 私が第三王女だから? 
王位継承権の可能性が低いから? 

 そう思いながらも、結局はお父様の頼みを断ることが出来ずに古代文字があるとされている場所を探し始めた。

 そこから一ヶ月ほどが経ったある日、やっとお父様が教えてくれたダンジョンにたどり着いた。

(本当に古代文字なんてあるのかしら?)

 そう思いながら、ダンジョンに入ろうとした時、一人の男性と目があった。私は、ビクッと少し驚きながらチラチラと視線を送ると、男性は一礼をしてくれた後、ダンジョンの中に入って行った。

(あの人も古代文字を探しているのかしら?)

 それにしてもあの人の眼、すごかったな。初めて見たオッドアイ。こんな人が人族にいるなんて思いもしなかった。

 そして、もう一つ思ったことは、あの人が私を見てもあまり動揺していなかったこと。普通、私達エルフや人外の種族を見たら、人族は不気味がる人が多い。それなのにあの人は平然とお辞儀してくれた。

(珍しい人もいるのね)

 そこから少し時間をおいてから、私もダンジョンの中に入って行った。中で少し歩いたところで先程見た男性とまた遭遇してしまった。

(ど、どうしよう......)

 不気味がられたらどうしよう? 襲われたら......。すると、男性の方から話しかけてきた。

「あなたもダンジョン探索ですか?」

 ダンジョン探索か......。まあ私が今やっていることって、ダンジョン探索だもんね。だから、その問いに頷きながら答えた。

 そこで、少し疑問に思ったことを質問してしまう。オッドアイってことは、魔眼なのかどうか。私の友人で魔眼持ちの人がいる。その人も眼の色が違うため、そうだと思ってしまった。でもこの人は、魔眼って意味を分かっていなさそうであった。

 だから、眼に魔力を込めてみたらと言ってみると、その人はしゃがみ込んでしまった。

(え? どうしたの?)

 驚きながらも男性に尋ねると、未来が見えたと言った。

(そんなことあり得るの?)

 そう思いながらも、男性の言われた場所を探し始めると、地下通路につながる場所にたどり着いた。

(本当に未来が見えているんだ)

 地下に行くと、古代文字がズラリと書かれていた。

(お父様が行っていたことは本当だったんだ)

 すると、男性は誰かと話しているようにぶつぶつとしゃべりだした。そして、あたり一面に風が起きて、小さな精霊が現れた。

「初めまして! リアムと契約したシルフだよ。よろしくね」

(本当に精霊様は実在したんだ......)

 ってことは、この人はもしかして。そう思うに他ならなかった。そこからリアムと一緒に冒険を始めると、リアムにも様々な支障があることが分かった。

(本当に可哀想な人)

 兄に死ねと言われ、家族から命を狙われる立場......。

(本当に人族って惨め)

 こんな才能に溢れている人なのに、家族が殺そうとするなんて本当に惨め。リアムは今後、必ず何かしらで世界に名を連ねる人だと思った。

 だからこそ、私がやらなければいけないことを放棄してでもこの人を支えたいと思った。少しドジだけど、私のために怒ってくれる人。そして、自分の命より他人の命をすぐさま考えてしまうほどお人好し。

 でも、リアムの実力はお世辞にも強いとは言えない。だけど、リアムは精霊と契約できると言っていた。だったら、それを手伝ってあげたい。でも正面から手伝うと言ってもリアムは断ってしまうだろう。

 だから、私の役目を理由付けた。リアムが精霊と契約して強くなったら、選択の幅が広がる。そして、家族を見返せるほどの実力をつけてほしい。そして縛れずに人生を送ってほしい。その時、私がリアムの隣にいなくてもいいから。



 ある日、リアムは私のことを考えてパーティを解散しようとしていた。だから私がやらなければいけないことを説明した。これで、リアムも罪悪感が少しは減ってくれればいい。

(本当にお人好しな人)

 お互いの利害が一致していれば気を使われないと思った。そして願わくば、リアムには自由に生きてほしい。

「それにしても、最近リアムのことばかり考えている......」

 昔の私なら考えられなかった。でも、しょうがないじゃない! 冒険者に襲われたとき、リアムの戦っている姿を見てかっこいいと思ったんだもん!

(誰だってあんな姿を見たらかっこいいと思うに決まっているよぉ)

 もし、エルフの国できちんとした功績を上げたら、お父様もリアムのことを認めてくれると思う。そしたら......!
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