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三話
しおりを挟む遠目に見える城下町は結構高い壁に囲まれていて、幅も広かった。
受付らしい場所は無く、切符売り場的な物も見当たらない。
自販機なんかも無いし、機械的な物が一切見当たらなかった。
門の奥が見えるかなーってくらいで銀色の鎧みたいな物を身に着けて、手に手に槍っぽい物を持った人々が出てきた。まるで中世時代の兵士のようだった。
中世ちっくな鎧に付いてる金具や備品は中々本格的に作ってるようで、細かい所も細工してあるように見えた。
中々本格的なアトラクション施設のようだ、もしかしたら映画でも撮っているのかもしれない。
って事は撮影中で怒られるのかも?っと身構えていたら止まれと言う合図を送ってきた。っというのも、何かしら言葉をかけられたのだが、理解は出来なかった。
かなり訛ってる人だったようで、津軽弁の様な……いや、博多弁か?……いや……名古屋弁……うーん?
聞いたことがある様で全く無い様な……
とりあえず何を言ってるか分からない。
なんと言うか……博多と名古屋と足して津軽弁で割ったような感じだ。
頭をひねってなんて言ってるか解読しようとするが、まるで分からないので
「標準語を話せる人は居ませんか?」
そう言ったら今度は向こうの人が頭をひねり出した。そのまま俺を取り囲んだままヒソヒソと話していたと思ったら、突然貝みたいな法螺貝の様な……角笛?のような物を取り出すと吹き始めた。
その音は結構大きく耳を塞ぐほどだった。すると、また少し遠くの方でその音が鳴り、またさらに遠くのほうで笛の音が鳴りはじめた。
そのまま暫く俺を取り囲みながらヒソヒソと何やら話したり俺を指差したりしていた。
俺は俺で立ち竦みながらもする事もなくボーッと空を眺めていると、何やらガラゴロと何か硬いものが転がる音が聞こえてきた。
なんだろうと門の奥を覗き込もうとすると、奥から物凄く古そうな車に乗った婆さんが見えた。
なんというか、最初の車と言えばいいだろうか……小型の馬車にエンジンとハンドル付けた様なやつだ。
その婆さんの服もフードみたいな……いうなれば魔女の様な服だった。
ここまで凝ってるのはコスプレくらいだなぁとか思ってると、俺を囲む兵士のコスプレをしていた人達が左右に割れて、目の前にレトロカーが止まり、婆さんが飛び降りた。
何となくどこかで見た事がある様な無い様な面影をしている婆さんが、これまた定番の様な魔女の杖を持って話しかけて来た。
だがさっぱりわからない。
今度は更に訛が酷くて、大阪弁と津軽弁を足して、更に名古屋弁に津軽弁を足したあと、その両方を2で掛けた様な言葉だった。
解読不可能だ。
【下村】の方々も訛ってはいたが、そこ迄理解出来ない言葉ではなかったのに、山一つ超えただけでここ迄分からない訛になるとは思っていなかった。
なのでもう一度「標準語を話せる人は居ませんか?」っと聞いてみたのだが、今度は婆さんも首を……ひねらずにおもむろに空間に手を伸ばすと、そこからくるくる巻かれた紙の様な皮の様な……羊皮紙か?まぁ何だ、そんな物を出してきたかと思うと俺に差し出してきた。
読めと言うのだろうか?
そんなジェスチャーをしている。
っていうか、これどっから出てきたの?手品か?と疑問に思っていたが、サッサと読めとばかりに杖を苛立たしげに地面へと突き刺してきたので、慌ててソレを開くと何やらミミズがはったような文字が書いてある。
所々虫が食ったのか読めない部分もあるが、何とか読もうとしてみる……
……どうやら読める様だ。
これは多分ひらがなだろうか……全部ひらがなで句読点の代わりに空欄が開いてるような、実に読み辛い文字だった。何とか読み進め、虫食いの所を想像しながら解読する。
そこにはこう書かれていた
「この文字を読めるか? 読めるなら今から言う事を信じよ。 ここは【上村】では無く、全く別の世界である。 裏の土手を降りて洞窟を抜けた先に果物が実っていたのを見たか? 食べたか? もし食べたのなら図形に手を置きそこに書かれている文字を読め。実を五個以上食べたのなら消してある部分も読むと良い」
そう書かれていた。
「5個以上……てか20個は食ってるな……なら消してある部分も読むのか……えーとだな……」
掌の絵を丸く囲んで何やらよく分からない文字で囲まれた物の下の方にひらがなで
【ぜんげんごりかい】と書かれていた
多分全言語理解と書いてあるのだろうと予測した、全言語理解というのはまぁ字のごとくそのままの意味だろう。俺は書かれているままに、英語やなんかも理解するようなイメージで手の形の場所に自分の掌を付けながら読んでみた。
「……全言語理解!」
するとその紙が光り輝き、俺の中から何かがゴッソリと抜けていった。そのまま段々気が遠くなって来て、直ぐに膝を付いた。
その光が俺の全身を覆うまで輝くと俺は意識を飛ばし、その場で倒れた。
何やら遠くの方で誰かの声が聴こえた。
「う、失われた古の大魔法だと⁉ そんなもん一人で使ったら気を失うわっ! おい誰か! コヤツをワシの屋敷まで運べ! まったくなんてやつじゃ……」
完全に意識を失った俺には何を言っていたかまでは分からなかったが、ただ何となく上村ばあちゃんの声に似ている気がした。
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