Shine Apple

あるちゃいる

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四十四話

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 王城へと着くと俺達は公爵とは別の部屋に通された。
 お茶を呑んで寛いでいると、ノックがしてから四人の侍女が現れて

 「お客様、王様へ会う前に体を綺麗に……キレ……イ……ですね?」

 一人の侍女が俺とメリヌの髪を見て驚愕すると、その後ろに控えていた三人も口々に驚愕していた。
 
 「まぁ⁉ 何ですかこの艶のある髪は!それに何か花の様な薫りが体からしますわ!」
 「まぁぁ⁉ 私共さえ知らぬモノがあるなんて‼ 何処で手に入れましたの⁉」

 などと大騒ぎになった。

 女性とは余り会話をした事が無いメリヌはペタペタと髪を触られイジられ匂いを嗅がれて目を白黒させている。

 「なっ何だお前たちは⁉ や、やめろ!ちょっ! 変な所を触るなーっ! んっ!ち、ちょっと本当にやめっ……! んぁ……」

 とか、何か変な声が混じりはじめたので急いで侍女達を止める。

 やっと開放されてホッとしたのもつかの間俺の後ろへと隠れてしまったメリヌ。
 心なしか顔が熱っている。

 公爵から先触れが来たとき、俺達は屋上に作った露天風呂で入浴していた。(勿論別々に入浴した)

 その時にシャンプーとコンディショナーで頭を洗ったのだ。

 ドライヤー代わりに風魔法でメリヌの髪を乾かしていた時に使者が来たのだった。

 「「「失礼しました、取り乱してしまい申し訳ありません」」」

 と、深々と謝罪して来たので、いーですよーっと軽く返す。

 「それではお召し物を……えっと、そ、そのフードはまさか暗黒狼あんこくろうの毛で編んだ物ですか⁉ そちらのお嬢様のは……⁉ こ、黒龍こくりゅうの鱗で作られた鎧ですか⁉」

 「「‼」」

 部屋に通されお茶を置いて誰も居なくなったので、旅装束ってのも体裁が悪いと思ったので召喚陣を床にスタンプして、真ん中に二人で立ち、良さげな正装!っと呟いて着替えただけだった。
 なので、素材までは知らん。






 余りにも聞いていた話と違うので、侍女達は困惑を隠せないでいた。

 (何なんですか⁉ この方達は!……伝説の素材で作られた装備や服を着てるなんて……公爵様の仰ってた様な平民とは思えませんわ!)

 もしやどこぞの王族かと思えてきた侍女達は立ち居振る舞いを改めて、物凄く丁寧に扱う事にしたらしい。

 「それでは、王が待っていますので此方へ」

 何か突然恭しくして来たので逆に気持ち悪くて警戒するメリヌと、連だって謁見の間へと向かう。

 「この先からは我等は入れませぬゆえ……」

 そう言うと三人は左右に別れ礼をされて見送られた。

 その先には王の騎士だろう人達が待っていて敬礼された。

 「この先は我々が御案内する!」

 何処かしら似ている顔の三人と、後ろからスッと現れた全身鎧の騎士に前後左右を囲まれたまま歩き出す。

 メリヌは俺のすぐ横で腕にしがみついて歩くので、少し歩きにくいがさっきから少し膨らんだ胸が肘に当たっていた。

 今この時こそ至福の絶頂とばかりに全神経を集中させている俺。

 なので、廊下に飾られてる宝石が沢山付いたアクセサリーや高そうな壺にも目もくれず歩く。

 (ほう、金品には興味無しか……)
 タクミの後ろから観察していた男が思う。

 その後スタイルも良く、とても美しい女性が両端に立って居たが、それにも全く反応せずに肘に集中したまま通り過ぎる。

 タクミの横を歩いていた男が思う。

 (ほう……他の女にも興味がないか……)

 そのまま食堂の部屋があるのか奥の方から肉を焼く匂いがしたが、ケバブの方が何倍も美味いと思ってるので、メリヌでさえ無反応だった。

 タクミの前を歩いていた男が思う。

 (腹いっぱいでもよだれが出ると言われる王宮の料理にも反応せずか……流石であるな)

 そうしてようやく辿り着いた大きな扉の前が自動で開く。

 二人を囲む者達は思う。

 (魔力で開く最新の扉にも反応を見せぬとは! 信じられぬ!)

 メリヌは大木の家の扉が自動で開いていたので、初日は驚いたが、2日も住めば慣れてしまい得に驚くことはなかった。

 タクミは自動ドアが常識の世界から来ているので無反応は当然だった。寧ろ、反応が遅いと思うくらいだった。

 そしてそのまま謁見の部屋へと入ると、横を歩いていた騎士は途中で止まって膝を付き頭を下げた。

 そのまま進む様に他の者らに言われるまま歩くと、全員が膝を付いて止まったのでそれに習う様に俺達も膝を付いて頭を下げた。

 すると、コツコツと歩く数人の足音と布が擦れる音がしてきた。

 「おもてをあげよ」

 その声を聞いて頭をあげると、横に並ぶ人等が立ち上がったので習って俺達も立ち上がる。

 三段程高い所に豪華な椅子に座り、頭に王冠を乗っけたおじさんが座っていた。
 多分この人が王様だろうか。

 その横の椅子に美しい顔立ちの女性が座っている。
 どことなく横に立ってる三人の顔に似ていた。
 これが、奥さんで三人が王子かな?っと予測する。

 「息子達よ、してどうであった?」
 と、王が三人に声を掛けた。

 一人目が言うには
 「この者は物欲はありませんでした」
 二人目が言うには
 「この者は色欲はありませんでした」
 三人目が言うには
 「この者は食欲もありませんでした」

 そして、後ろの方を見て王は言う。
 「S級冒険者のラメルもご苦労であった、面をあげよ」
 「はっ!」

 後ろを振り返ると、先程部屋に来ていた侍女だった。
 (そーいえば三人しか下がらなかったな……)と、思い返していた。

 よく考えたら編んでる繊維や、鎧に使われてる色で素材が分かるのは冒険者くらいか……。

 (なるほどねぇ……この城に入った瞬間から人となりを見ていたと言う事か。
 まぁ当然か……公爵の話とはいえ、見ず知らずの者を早々信用はしないものだしな)うんうんと一人納得していると

 「この者たちの装備は全て伝説級の素材で素材が作られた物と思われます! フードは正しく魔導師ヨネ様と同じ物と思われます! そして、横の女性も黒龍の鱗で作った鎧かと思われます!」

 「うむうむ、そなたが言うのであれば確かであろう」

 「魔女の弟子タクミよ、よくぞ参った! そちの噂は従兄弟の公爵からよく聞いておるよ。 試す様な真似をしてすまなかったな、許しておくれ」

 「はい、当然かと思われます」
 「ほう、なぜ当然と思うた?」
 「話は聞いていたとしても人となりを正しく知るには時間が足りません。 なので当然の振る舞いかと思いました」
 「ホッホッホそうかの」

 そう言うと更に奥から公爵様が現れて手を振られた。
 そして王に耳元でコソコソ話をしたかと思うと頷いていた。

 「では、信用するとしてタクミにはコレを託そう」

 そう言うと王子の一人が王の足元へ膝まずき、何かを受け取ると俺に持ってきた。

 「? 何でしょう?」

 「それは、これから自由に王城へと入り、先程の部屋まで入れる通行書じゃよ 無くさないでほしいのぅ」

 そう王様は言ってから、奥様と王子様達を引き連れて後は頼むと公爵に告げると謁見の間から去った。

 「よし、急ぐぞタクミ!メリヌも共に来い!」

 そう言って先程の部屋へと来ると、暖炉の中へと進んでいく。
 その様子を後ろから眺めていると、何かのスイッチを押した。

 低い音がしたかと思うと床が開いていき、人一人が通れるくらいの階段が現れた。

 そこを下ると広間があって、其処に青白く光り、複雑に組み込まれた漢字と数字とが混ざりあった魔法陣が描かれていた。


 

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