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五十六話
しおりを挟む前輪二つ
後輪一つ(でっかいやつ)
で、見た目はツーシーターの魔力車は速かった。
重さも箱型馬車から古代の一人乗り用戦車の様になってる為、重さも無い事から魔力を少し込めれば砂煙を上げて走る。
お陰で国境に着くのに一時間位でたどり着いた。
王都を出たのが朝だったのに午前中に辿り着けるなんて思ってなかった。
手続き中に運転してみたいとマロンが言うので操作方法を教える。
すると覚えが早かったのか、直ぐに一人でも運転出来そうだった。
なので、国境を過ぎてから少し運転を見ていたが問題はなさそうだったので完全にマロンに運転は任せて、俺は奥に引っ込んだ。
魔獣の類が出たら困るので、ペロンを助手席に座らせてナビゲーター兼レーダーの代わりをお願いした。
もし、何かあったら脳内通信で知らせる様にとお願いした。
序に周辺地図も憶えてくれるそうなので、お任せした。
この世界では地図というのは戦略情報になるので、冒険者が狩りに行く時でも大まかな地図しか出回っていない。
今後冒険を続ける上で地図が無いというのは不便なので、なるべく細かく作ってくれるようにお願いした。
「綿飴1袋で完璧に仕上げますよ?」
というので、それを対価にした。
メリヌの為に召喚した飴ちゃんセットの中に綿飴もあり、フワフワした飴を始めて見たうさぎ達は恐る恐る食べた。
そこから嵌ったらしく、何かに付けて強請ってくるようになっていた。
それを部屋の奥から観察していたラメル、レッド、チェリー、ソラ、ブラウンは自分達にも何か出来ないかそれぞれで考え始めた。
「マロンも綿飴でいいかい?」
「え、私にもくれるんですか?」
「運転してるからね」
「おお!では、これからも運転はお任せください!」
「うん、よろしく頼むよ。あ、なるべく安全運転でね」
「了解しましたっ!」
俄然やる気になったマロンは鼻歌交じりで運転し始めた。
マロンにはドライバーの称号を与えるとしよう。
ペロンはナビゲーターだな。
学園を卒業したら旅に付いてきてくれるか相談してみようと思う。
取り敢えず俺は集中して運転してた為、少し疲れたので屋上の風呂にで浸かりに行く。
運転席シートの後ろの壁に設置した扉を開く、旅館並の広さの玄関と下駄箱がある。
そこに靴を仕舞う。
そのまま観音開きの襖を開けると20畳くらいの畳の部屋がある。
何となくビ○ォーアフターの番組を真似て説明したくなったので、やりますね。
ここは寛ぎの間。
仕事の合間やちょっとした休憩様に作りました。
囲炉裏があり、お湯を沸かす為の鉄瓶が上から垂れ下がっています。
魚くらいなら焼けるし、煙が出ても転送魔法陣で外へと勝手に出ていく仕様です。
なので、煙に部屋が巻かれることも無いでしょう。
玄関から入って右側の襖を開けると中庭へと続く廊下があります。
口の形に成っていて、真ん中には生け簀が付いていて釣った魚を放し飼いに出来ます。
何時でも食べられるようにしたかったので、作った自慢の一品になりました。
たくさん釣って持って帰れず、逃してしまう事も無くなりました、そのうちたくさんの魚が泳ぐ事になるでしょう。
廊下を渡ると部屋が八つあり、ウサウサ達の個人部屋になってます。
適当に部屋は選ばせたので、誰がどの部屋かは分かりませんが、ウサウサ達も喜んでくれました。
中庭には燻製小屋もあるので、幾らでも桃魔森猪を移動しながらでも作れる様になりました。
街の空き地に野営して、作る手間も無くなりました。
囲炉裏の部屋に戻って右側の枝垂れ桜の絵がばばーんっと描かれた部屋を開けます。
ここは、主(俺)のプライベートスペース。
行灯
肘掛け
座布団付き座椅子とあり純和風に出来ております。
冬には掘り炬燵にも作り変えれるのでとても良い雰囲気になる事でしょう。
神棚には模造刀が飾ってあります。
そのうち掛け軸なんかも飾りたいですね。
ここは主にホームシックになった時に使おうと思っていますので、今は放置ですね。
そして再び囲炉裏の部屋へと戻ります。
戻って右側の部屋からはダイニングキッチンに成っておりまして、畳からガラリと装いを変えて板の間になっております。
オープンキッチンにカウンターが付いていて、作り手が皆の顔を眺めながらご飯を食べられる仕様になってます。
そのうちお酒なんかも置いても良いかもしれませんね。
店に入らずここで調理などする予定です。
そして、オープンキッチンの前には階段がありまして、そこを登っていくと広々としたロフトになっています。
そのロフトから続く様に扉が設置されていて、その扉を開くと……何ということでしょう! 屋上へと繋がりました。
空間を広げたお陰で魔力車なのに屋上ができてしまったのです。
この屋上はウサウサ達が自然を感じられる様に、草原風になっております。
チコの実や各種薬草、果物のなる木が所狭しと植えられているのです。
たとえ荒野を走っていても、ここに来れば癒やされる事でしょう。
そして、この屋上には畑もありますので野菜に困る事は無くなりました。
果物の木を超えて少し歩きますと、な、な、なんて言うことでしょう!
岩風呂がありました。
シャワー代わりの打たせ湯まであり、湯船嫌いのメリヌさんにもお風呂に入れてあげる事が出来るようになりました。
天井を見上げれば満天の星空も見える様に設計してありますので、窮屈に感じることもありません。
一日の疲れを癒やしてくれる場所になりました。
(予定通り少し風呂で浮く)
一階に戻ると、右側に扉がついています。ここは、寝室です。
少し階段をおりると、ダブルベッドがおいてあります。
ここで主(俺)とメリヌさんが寝るのです。
そして、主が寝たあとコッソリ床で寝てしまうメリヌさんの為に!
白銀の毛皮で作ったフカフカの寝床まであります。
これにはメリヌさんも喜んでくれました。
「……なにしてんの?タクミ」
ブツブツ言いながら部屋に入って来たタクミを見上げるメリヌ
「ん? いや、自分で作った部屋を回って感動してたところさ」
ベッドに腰掛けながら毛皮の上に座っていたメリヌの頭を撫でる。
「あ~、倒れてからあまり他の部屋確認してなかったもんね」
「まぁな」
「で? 感想は?」
「最高! 魔法ってすげーんだな」
メリヌとタクミはその後、これからの予定などを話たり、笑いあったりしていた。
『はぁぁ……こんな魔法見た事も聞いた事も無いんだけど……常識を学ばせるって大変なのね……』
そんな二人をカウンターに座って眺めながら、お茶を啜っていたラメルは呟きながらため息を吐く
「……おかわり」
と、カウンターに居たブラウンに言う。
レッドは頭にコック帽を被り、お昼ご飯の用意をしている。
ブラウンは胸に黒い蝶ネクタイをして、バーテンダー風にお茶を淹れていた。
どうやらこの二人(二匹)は、自分の場所を確保したようだ。
ソラはキッチンやトイレの水回りに生け簀とお風呂管理。
チェリーは水を温めたり暖炉に火を灯したり、厨房に使う火の管理をするボイラー係になった様だ。
お茶を啜りながらため息を吐くラメルは
「私は何しようかなぁ……」
と、机に突っ伏して呟く。
早い者勝ちの様に役職を取られてしまい、途方に暮れていた。
そんな時ペロンから通信が入った。
全員の頭の中へかけ巡る警笛。
非常事態の様でメリヌとタクミが慌てて部屋から出てきた。
「何だどした⁉」
と、タクミはペロンに聞く
「前方二百メートル先に黒魔森猪の群れを発見! 誰かが襲われてる模様!」
それを聞いたメリヌは武器を取り出して外へと向かおうとしたが、そこへ黒い手(前脚)が遮った。
「ちょっと!何すんのよ黒ウサ!」
「ラメルよ! 羊娘!」
「ここは私に任せなさい! そう! 今から私はこの馬車の防衛隊よ!」
そう叫ぶと屋上へと走って登り、外へと飛び出して消えた。
そんなラメルを見てメリヌが囁くようにタクミに聞く
「……タクミ」
「んー……」
「ラメルどした?……」
「さぁな……何かしらあったんじゃないか?」
「そう……」
屋上へと消えたラメルを見送る二人は、取り敢えず、帰りを待つことにしてカウンターへと座る。
そんな二人にお茶を出しながら
(どうやら黒ウサも自分の役割を見付けたんだな)と一人頷くブラウンだった。
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